2025.02.06[静岡BR]“モーターズ”が支えるチーム力。大黒柱不在でも証明する層の厚さ

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第7節(交流戦)
2025年2月8日(土)12:00 Jヴィレッジスタジアム (福島県)
リコーブラックラムズ東京 vs 静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

庄司拓馬選手。「今季は試合に出る機会が少なくて悔しい思いをしてきたので、この思いをしっかりと試合にぶつけたい」

今節からビジターゲームが3戦続く静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)。リコーブラックラムズ東京との対決は福島県(Jヴィレッジスタジアム)での開催だが、キャプテンのクワッガ・スミスとバイスキャプテンの家村健太がメンバー外となり、フランカーには今季二度目の先発となる庄司拓馬、10番にはけがから5試合ぶりに復帰するサム・グリーンが起用される。またリザーブには今季初のメンバー入りとなる作田駿介と奥村翔が入り、フレッシュな息吹が加わっている。

その中でも「今季は試合に出る機会が少なくて悔しい思いをしてきたので、この思いをしっかりと試合にぶつけたいです。ただ空回りはせずに、自分らしくプレーできるように準備していきたいです」と気合十分なのが、今節のバイスキャプテンも任された庄司だ。

本来は常に先発で出られるだけの実力を持つ選手だが、今季はチーム内の競争が非常にハイレベルになった中で悔しい状況が続いてきた。試合前の練習では、試合の先発メンバーとバックアップメンバーの数人は青のジャージーを、その他の選手は赤のジャージーを着て仮想の対戦相手としてプレーするが(静岡BRではノンメンバーを「モーターズ」と呼ぶ)、そこでも庄司は周囲をけん引しながら先発メンバーが良い準備をできるように全力を出し続けてきた。

チーム内では毎週試合メンバーだけでなくモーターズからそれぞれ一人を選んで表彰しているが、先週は庄司がモーターズのMVPに選ばれ、今節の先発に至った。

「モーターズの全員がチームのためにしっかりと準備していますし、一番は悔しさからその激しさが出ていると思いますが、それによって強度の高い練習ができて、試合にも生きていると思います。もちろん自分も含めてみんなモーターズの選手でいいとは思っていないし、試合に出てチームに貢献することを第一に考えているので、誰かがけがしても誰でも行ける準備ができています。だからこそ、層の厚いレヴズになってきていると思います」と庄司は胸を張る。

さらにもう一つ、彼には今節に対して特別な感慨がある。

「今回僕の中で一番うれしかったのは、大卒同期の5人が全員メンバー入りしたことです。山下憲太と郭玟慶と僕が先発で、奥村と岡﨑航大がインパクトメンバーで、同期5人全員がそろったのは入団してから初めてなんですよ。僕らはずっとそれを目標にしてきたんですが、今まで誰かがけがをしていたりしてなかなか実現できなくて。4年目でやっとそろったので本当に楽しみです」

けがによる長期離脱からの復帰戦となる奥村も「同期5人で『一つの夢やね』って話していました」と目を輝かせる。そんな2021年大卒加入組やモーターズ組の働きが静岡BRにどんな化学反応をもたらすのか。今後の戦いに向けても重要な意味を持つ一戦になりそうだ。

(前島芳雄)

2025.02.06[BR東京]「目立たないものを目立たせていきたい」。いまの自分を受け入れ、若武者が期す進化

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第7節(交流戦)
2025年2月8日(土)12:00 Jヴィレッジスタジアム (福島県)
リコーブラックラムズ東京 vs 静岡ブルーレヴズ

リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスB)

今節はリザーブでメンバー入り。伊藤耕太郎選手

今季これまで全試合に出場している伊藤耕太郎。2024年11月の日本代表欧州遠征にも招集された、期待のルーキーだ。

登録ポジションはスタンドオフだが、けが人の影響もあり、今季はフルバックとしての出場が続く。

「スタンドオフからスライドする形で、僕がフルバックに入ることになりました。だから最初は悔しかった」と本音を明かす。

腹を括ったのは開幕戦の試合メンバーが決定したころのこと。「試合に出たくても出ることのできないメンバーが多くいる」とチームにコミットすることを決意した。

とはいえ、悔しさ募る瞬間は何度も訪れた。

第5節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦。中楠一期が出場できなかった試合で10番を任されたのは、スクラムハーフが本職のTJ・ペレナラだった。

「悔しかったです。自分の実力(不足)を認めるしかない」と唇を噛んだ。

課題は1対1のコリジョンだ

そして、およそ1カ月ぶりのホストゲームとなる今節。福島県のJヴィレッジスタジアムに静岡ブルーレヴズを迎える一戦は、4試合ぶりにリザーブへまわることになった。

「タンバイ・マットソン ヘッドコーチからは『最後まで10番(での先発起用)と迷った』と説明を受けました。そして指摘されたのは、1対1のコリジョンとハードワーク。いまの自分に足りない部分を、映像を交えながら教えてもらいました。だからしっかりと受け入れて、次の練習から見返してやろうと。反骨心でアグレッシブに頑張っていきたい」と奮起する。

そう。フルバックでの出場が続いているが、スタンドオフを務める可能性がまったくない、というわけではないことを知った。

課題は明確だ。ディフェンス、それに尽きる。

「第5節終了後、エディー・ジョーンズ 日本代表ヘッドコーチとの電話ミーティングがありました。いまの課題は、ディフェンスでのコリジョン。でも自主練習のほとんどが、アタックメインの練習になってしまっていることを指摘されました」

だから、これからはディフェンスにもコミットしたい。ディフェンスで活躍する、アタッキングプレーヤーを目指したい。

「タックルやハードワークは、目立たないもの。目立たないものを目立たせていきたいです」

アタックとディフェンスの比重を変えながら、進化したいと決意を語る23歳はネクストステップへと踏み出した。

(原田友莉子)

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