2025.02.14[S東京ベイ]その泥臭いプレーが観る者を魅了する。気持ちで戦う男の生きざまがそこにある

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第8節(交流戦)
2025年2月15日(土)14:30 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs コベルコ神戸スティーラーズ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)

ラックに入る末永健雄選手(中央、金髪)。「たとえ体のどこかに痛いところがあっても、意外とラグビーはできるので」

今節で連続スタメン出場30戦目。THE CROSS-BORDER RUGBYやプレシーズンマッチを含めると、その数はさらに増える。偉業を称えるように「これは本当にすごいことですよね」と尋ねると、彼は表情を緩めることもなく、静かに「気持ちの問題です」と答えた。

「(スタメンに)選ばれるかどうかは別として、試合に出られる状態にあるか、グラウンドに立てる状態にあるかは気持ちの問題なんです。たとえ体のどこかに痛いところがあっても、意外とラグビーはできるので」

そう語る末永健雄の顔には、割と派手目な擦り傷が張り付いていた。2季前のプレーオフトーナメント準決勝では試合中に手のひらを骨折。それでも最後まで戦い続け、その6日後には何事もなかったかのように決勝に出場。そうした中でのスタメン連続出場。すべては「気持ちの問題」なのである。

「もともと痛みに強かったわけではないんです。学生時代にひざが痛すぎて、(耐える中で)そこでちょっと強くなったかもしれないです」

けがや病の類は予告なくやってきては日常を停止させる。末永は大学3年時にシーズンの開幕戦で左ひざ靱帯を断裂。そこで得た教訓が、いまも心に深く刻まれている。

「(プレー中に)ここで無理すべきかどうか。そういったことは考えるようになりました。いまは変に無理をするようなことはありません。自分の体との付き合い方が分かってきたというのはあるかもしれません」

第7節を終えた時点でのトータルのプレー時間は500分で、1試合平均約71分25秒。ポジションはフランカーで背番号は「7」。ほとんどの試合において、ピッチに入ればノーサイドの瞬間まで全力で戦い抜く。

「僕は一発でインパクトを残すよりも、長い時間プレーしたほうがいいタイプだと思うんです。今季は試合中に足がつって交代したことがあったのですが、それじゃあダメなんです」

今節はホストスタジアム「えどりく」(スピアーズえどりくフィールド)でのコベルコ神戸スティーラーズ戦。勝てば同会場での連勝記録を20に伸ばす。激しい肉弾戦が予想されるこの一戦。「いつもどおり」の末永がそこにいる。

「要は負けず嫌いなんです」

そうした言葉の裏に存在するのは、決して華麗さだけではない。しかし、その泥臭いプレーこそが、観る者の心をつかんで離さない。タフでなければ表現できない、彼の生き方がそこにある。

(藤本かずまさ)

2025.02.14[神戸S]けがで離脱していたキャプテンの復帰戦 いまこそ溜まったうっぷんを晴らすとき

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第8節(交流戦)
2025年2月15日(土)14:30 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs コベルコ神戸スティーラーズ

コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスA)

今シーズンはけがで思うように出場できていない李承信 共同キャプテン。今節、3試合ぶりに復帰

6位のコベルコ神戸スティーラーズは2月15日の第8節、スピアーズえどりくフィールドに乗り込み、勝ち点6差で追う3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイと対戦する。3試合ぶりに復帰する李承信は「自分たちにはどの相手と戦っても勝てる力はある。一つひとつの精度だったり、どれだけ一貫性をもってプレーできるかが大事になる」と必勝を期した。

けがに泣かされるシーズンを送っている。

今節、12番で先発出場する李。開幕直後に右耳を17針縫うけがを負い、第5節では左足首を痛めて直近2試合の欠場を余儀なくされた。ブロディ・レタリックと共同キャプテンを務める24歳は、もどかしさを抱えながらのシーズンを過ごす。

「昨季は大きなけがをすることなく全試合に出場しましたし、それが自分の中の当たり前になっていました。最近は練習にも入れていなかったですし、グラウンドに立てないこと、ラグビーができないことは一番のストレスです。キャプテンという立場でもあり、フラストレーションは溜まっていました」

それでも、離脱中は自らを見つめる大切な時間にあてた。「新しいけがが増える中で、どれだけ自分がタフでいられるか、試合や練習に向けてどう準備すべきか、自分のコンディションと向き合っていました。これからのキャリアに向けてもいい時間は過ごせていると思います」とポジティブに心と体を整えていたという。

全体練習に戻ったのは今週の頭。想定よりも長引いたというが、「メディカル(スタッフ)のサポートももらいながらやれている」とトレーニングに集中し、「グラウンドに戻ってきてエナジーをもってできています。絶対に勝ってチームに貢献したい思いが強い」と気合い十分。チームは前半の戦い方に課題を抱えているが、24歳の共同キャプテンは「一人ひとりがスイッチを入れるしかない」と語気を強めた。

「リーダーのメッセージだったり、チームの雰囲気はもちろんありますけど、ウォーミングアップでどれだけ自分のスイッチを入れられるか。全員がプロフェッショナルなので、そこは一人ひとりの責任です。自分としても、しっかりみんなをリードできるくらい、モチベーションを高く準備していきたいと思っています」

溜まったうっぷんがある。李も、チームも、それを晴らすときを待つ。

(小野慶太)

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