2025.02.21[トヨタV]“最後の地”からのリスタート。マイケル・フーパーが流れを変える

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第9節(交流戦)
2025年2月22日(土)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
コベルコ神戸スティーラーズ vs トヨタヴェルブリッツ

トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)

マイケル・フーパー選手の存在がチーム力にどう作用するのか。「チームはタフな状況ですが現状を変えられると私は思っています」

連敗が4に伸び、順位も10位と苦しい状況が続くトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)。今節はプレーオフトーナメント出場圏内に位置する6位のコベルコ神戸スティーラーズとのビジターゲームに臨む。後半戦に希望をつなぐためにもしっかりと勝ち点差を詰めておきたい一戦だ。

反転攻勢を掛けたいトヨタVは、この試合で世界的なレジェンドに「7」番を託した。元オーストラリア代表キャプテンのマイケル・フーパー。2015年、19年と2度のラグビーワールドカップを経験し、代表キャップは125を数える。トヨタV(当時・トヨタ自動車ヴェルブリッツ)にはジャパンラグビー トップリーグ時代の2020-2021年シーズンに所属し、4年ぶりの復帰となった。

「4年前、日本で素晴らしい経験ができました。またトヨタVに戻ってプレーをしたいという気持ちが強く、素晴らしいチャンスをもらえたと思っています」(フーパー)

輝かしい実績と尊敬を集めるフーパーだが、この4年間は決して華やかな時間ではなかった。ラグビーワールドカップ2023では登録メンバーから漏れ、その後7人制(セブンズ)に転向して24年パリ五輪出場を目指したもののその目標は叶えられなかった。それでも地元のラグビーチームでコーチをしながら地道にトレーニングを続け、今回トヨタVからの熱烈なオファーに応える形で戻ってきた。

そして先週、14日に行われたトレーニングマッチに先発し約50分プレー。ハードなタックルとキャプテンシーは健在で、実戦から1年以上離れていたにもかかわらずトライを挙げた。「チームにいいエナジーを与えていたし、コンディションもいい。スタートが最適だと判断した」と、イアン・フォスター共同コーチは先発起用の理由を語る。

奇しくもフーパーにとって東大阪市花園ラグビー場は、4年前日本で最後にプレーをしたスタジアム。ただそのときは(コロナ禍の影響で)無観客開催で、試合後の握手さえ禁止されていた。日本でのリスタートを制限のない形で迎えられることが何よりうれしいと語る。

「チームはタフな状況ですが現状を変えられると私は思っています。いいエナジー、そしてゲームを楽しむという姿勢、与えられた役割をいい形で遂行したいと思っています」

インタビュー後に交わしたレジェンドとの握手は、とてつもなく熱かった。

(斎藤孝一)

2025.02.21[神戸S]ボールキャリーで証明する“前へ進むことの大切さ”。キャプテン・レタリックが背中で示す道

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第9節(交流戦)
2025年2月22日(土)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
コベルコ神戸スティーラーズ vs トヨタヴェルブリッツ

コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスA)

ブロディ・レタリック キャプテン。ポジションはロックだがトライも多く、5トライで9位タイにつけている(第8節終了時点)

コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)は2月22日に東大阪市花園ラグビー場でトヨタヴェルブリッツと対戦する。キックオフは14時30分。3試合ぶりの勝利を飾り、シーズン後半戦への確かな勢いにつなげたい。

キャプテンはどういう存在であるべきか──。その問い掛けに、昨季は山下楽平と、今季は李承信と共同キャプテンを務めるブロディ・レタリックは答えた。

「ラグビーは“体現すること”が大切です。自分の背中でしっかり引っ張れるような人でないといけないと思っています」

コーチやチームメートから頼られ、コミュニケーションをしっかり取る必要性を語った上で、仲間を奮い立たせるパフォーマンスも大事だと強調したレタリック。ニュージーランド代表で109キャップを記録する世界的プレーヤーは今季ここまで全試合に先発し、ボールキャリーやオフロードパスでチームトップ、奪ったトライは同3位。相手につかまれながらも前に、前にボールを運ぶ姿は鬼神さながらだ。

もう一人の共同キャプテンの李承信は今季、けがと向き合うシーズンを過ごすが、レタリックは「100%ではない中でも頑張って試合に出てくれている。できるだけ負担にはならないように自分自身も努力しているところですが、とてもいいキャプテンです」とひと回り歳下の‟相棒”をリスペクト。そして、試合に臨む23人が持つべき心構えも口にした。

「自分がキャプテンとしてやるべきことは、ゲームに出場する23人に自分の役割を全うさせること。そこに伴う責任を自覚しています。試合になったときに一人ひとりが責任を全うできなければいけません」

直近の神戸Sは2連敗と結果が出ていない。だが、レタリックはフィールド上での佇まい同様、まるで動じるところを見せなかった。

「まだ6位、最終的な順位もコントロール可能な位置にあります。先週(前節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦)の前半40分はすごく良かった。選手へのメッセージがあるとすれば『40分できたパフォーマンスを80分続ける、そうすれば結果は自ずと付いてくる』ということです。敗北からの学びはたくさんありますが、そこに執着していても前に進むことはできません」

キャプテンはボールキャリーで証明する。神戸Sは前のみに進む。

(小野慶太)

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