2025.02.28[トヨタV]低迷する名門に新たな風は吹くのか。大学ラグビー界屈指の才能がいざ初陣へ

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第10節(交流戦)
2025年3月1日(土)12:00 Jヴィレッジスタジアム (福島県)
浦安D-Rocks vs トヨタヴェルブリッツ

トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)

リザーブでメンバー入りとなった青木恵斗選手。練習会場でスティーブ・ハンセン ヘッドコーチ/D.O.Rと

後半戦のスタートとなるディビジョン1の第10節。現在、11位のトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)は、12位の浦安D-Rocksとのビジターゲームに臨む。絶対に負けられない一戦だ。

世界一のコーチ陣に加え、多くの日本代表選手をそろえるトヨタVが低迷している要因は、キャプテンの姫野和樹をはじめ、多くの選手が負傷離脱してしまったことも理由の一つ。前節も試合中に松田力也が骨盤を負傷し長期離脱が確定。さながら野戦病院と化しているが、それでも楽しみな選手が次々と出てくるのが、トヨタVの強みである。

今節、初めてリザーブメンバー入りを果たしたのは、アーリーエントリーの青木恵斗と小村真也。ともに大学選手権で4連覇を達成した帝京大学の主力で、およそ3週間前にトヨタVに合流した。激闘を制したばかりでボロボロだったコンディションを急ピッチで整え、先週のMIRAI MATCHで猛アピール。ベンチ入りの切符をつかみ取った。

恵まれたフィジカルを武器に、大学選手権決勝でもトライを挙げるなど大活躍だった青木は、「ベンチ入りを伝えられたときは素直にうれしかったし、トヨタVは本当に選手層が厚いので、絶対にこのチャンスをつかみたい」と眼をギラギラと光らせる。彼のポジションであるフランカーには、ワールドラグビーが選出する男子15人制年間最優秀選手のピーターステフ・デュトイがおり、時には姫野が務めることもある。彼らが戻ってくるまでに自分の立ち位置を確立しておきたい。それは選手として当然の思いだろう。

試合2日前の練習で青木は、遠征の出発時間ギリギリまで一つ年上の奥井章仁とタックル練習に勤しんでいた。「大学ではやっていませんでしたが、トヨタVに来てからはずっと練習をしています。いろいろな先輩たちも個人トレーニングをしていて、自分も絶対にやらないと試合には絡めないと思ったので毎日やっています」と、すでに危機感をもって取り組んでいる。

世界を知るスティーブ・ハンセン ヘッドコーチ/D.O.Rからも「まだ完成されていないし、楽しみだ」と大きな期待を寄せられている青木はどんなファーストキャップを刻むのだろうか。

(斎藤孝一)

2025.02.27[浦安DR]ブレない男の頼もしき不動心。「『あの経験があったからこそ』と言える年になる」

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第10節(交流戦)
2025年3月1日(土)12:00 Jヴィレッジスタジアム (福島県)
浦安D-Rocks vs トヨタヴェルブリッツ

浦安D-Rocks(D1 カンファレンスA)

経験豊富な金正奎選手。「すべての部分で“良い習慣作り”を日々意識しています」

もがきながらもディビジョン1での前半戦を確かな手ごたえとともに終えた浦安D-Rocks(以下、浦安DR)は今節、一つ上の順位につけるトヨタヴェルブリッツとJヴィレッジスタジアムで対戦する。

前節・東京サントリーサンゴリアス戦で金正奎がピッチに立った。昨季のD2第4節・豊田自動織機シャトルズ愛知戦で顔面を骨折する大けがを負い、さらに今季はノンメンバーの時間が続いたが、開幕からちょうど2カ月のタイミングで今季初出場を果たした。

彼のことをチームメートやスタッフは「ブレない人」と言う。その秘訣、原動力を本人に問うと「ひと言で表すのはすごく難しい」と前置きしながらも丁寧に教えてくれた。

「食事、睡眠、ラグビー以外の運動、人との接し方など、すべての部分で“良い習慣作り”を日々意識しています」

そうするようになるきっかけは何だったのか、そうすることで何がどう変わったのか。今年で34歳を迎えるベテランは、自らに言い聞かせるように続ける。

「1年ちょっと前から一度全部見直して、やれることは本当に全部やろうと。ちょうど顔をけがしたタイミングです。そのときに『もっとやれることがあるんじゃないか』と自分を見つめ直す時間も多くなり、いまに至ったと思います。それまではいろいろな外的要因に左右されていたけど、いまはブレることなく、自分と向き合えています」

浦安DR創設時からのメンバーの一人であり、経験豊富な金正奎はチームに対しても冷静な目線を注ぐ。「いまは苦しいことがほとんどで、てっぺんがどこにあるのかも見えないような状態だと思うけど、それでもみんなでひたすらに歯を食いしばって前に進むことを続けないといけない」。それはその先にこそ“未来”が待っていると知っているからだ。

「(前身の)シャイニングアークス(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安)の歴史を遡っても、2部リーグから上がって、入替戦を3年くらい経験してからやっとベスト8やトップ5に入った歴史があります。やっぱり最初は苦労する。このチームは2年間2部リーグで戦い、1部は初めてのシーズンと歴史はまだ浅いからこそ、この経験は本当に必要。この経験が次の年、また次の年、そして中長期的な目で見ても『あの経験があったから』と言える年になると思っています」

残りのシーズンも苦しい場面、困難な状況はあるだろう。ただ、浦安DRには“ブレない男”がいる。「僕は何も変わらないです。心も体もいつでも準備はできています」。不変の金正奎がチームを押し上げる。

(須賀大輔)

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