2025.03.14[神戸S]努力、誠実さ、献身性を併せもつ22歳。周囲へのリスペクトを胸に、初先発の舞台に立つ

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第11節(交流戦)
2025年3月15日(土)14:30 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場 (兵庫県)
コベルコ神戸スティーラーズ vs 三重ホンダヒート

コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスA)


ラグビーのこと、ラグビー以外のこと、いろいろなハードルを越えてきたソロモネ・フナキ選手(中央)。写真は15日の試合に備えたチーム練習の様子



3月15日(土)のディビジョン1第11節、本拠地・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で三重ホンダヒートと対戦するコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)。キックオフは14時30分。6位からの順位上昇を目指し、必勝態勢で臨む。

京都産業大学から新加入したアーリーエントリーのソロモネ・フナキが、初の先発メンバー入りを果たした。すでに第9節・トヨタヴェルブリッツ戦に途中出場でデビューし、続く前節・埼玉パナソニックワイルドナイツ戦にも後半26分から出場するなど、日本トップのレベルを体感済みだ。「大学とはフィジカルが全然違っています。ずっとファイトを続けることに集中したいです」。今節の7番は優しい語り口に、強い向上心を込めた。

チームを率いるデイブ・レニー ヘッドコーチは、アーリーエントリーの選手に強く求めてきた。「神戸Sにアーリーエントリーで来た際に、そこからプロとしての選手になるのではなく、早めの段階からしっかりとメンバー争いをできる位置にいてほしいと話してきた」。今回のフナキの先発抜擢には「しっかりといいパフォーマンスを出した結果がいまの位置にいる」と目を細める。

出身はトンガ。中学3年生のときに父親を病気で亡くした。以来、働くこと、信頼される存在になることと向き合ってきた。目黒学院高校からのオファーは「自分の将来のためにもチャンスだった」という。日本語を習得し、さまざまなことを学び、労苦に挑んだ。

レニー ヘッドコーチはフナキのフィジカリティーとともに「ワークレート(仕事量)の高さ」も評価する。「京都産業大学の試合を見ても80分間、パフォーマンスを出せる能力、エンジンをもっているのが分かる」。ただ、当のフランカーは「僕はそんなに高くないと思っているんですけど……」と照れ笑いを見せつつ、こう意気込みを語っている。

「ここまで自分のことを支えてくれた人、サポートしてくれた人たちに、本当に感謝したいです。その人たちの力のおかげで、“ソロモネ・フナキ選手”はスティーラーズに入っています。自分のもっている力を100%出していい結果になればと思っています」

努力、誠実さ、そして、献身性――。22歳は多くの人へのリスペクトをこめて、初先発の舞台に立つ。

(小野慶太)

2025.03.13[三重H]南アフリカからやってきた二人のタフガイ。「感謝と自信」で体現するハードワーク

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第11節(交流戦)
2025年3月15日(土)14:30 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場 (兵庫県)
コベルコ神戸スティーラーズ vs 三重ホンダヒート

三重ホンダヒート(D1 カンファレンスB)

ヤンコ・スワナポール選手。「グラウンド上で一番ハードに働こうと心がけています」

10試合を終えて4勝6敗の三重ホンダヒート(以下、三重H)。昨季わずか1勝に終わったチームが急速に競争力を高めている。特に終盤まで粘れるタフさが勝ち点を引き寄せた。

今季加入したヤンコ・スワナポールは、粘りを体現する選手の一人。身長2メートルを超える体を振り回し、試合終了のホーンが鳴るまで走り続ける。その情熱的な姿は“HEATER(ファンの愛称)”の心をつかんで離さない。そのスタイルについて彼は「母国の南アフリカにいたころから、グラウンド上で一番ハードに働こうと心がけています。それを認めていただけるのはうれしいですし、自分の強みです」と語る。

カテゴリーBながら今季9試合で起用されており、もはやチームに欠かせない存在。すぐに馴染めた要因は「良い関係性ができたこと」だそう。「同じ南アフリカ出身の選手とは“アフリカーンス”という言語で話せますし、自然と親しくなります。特に(フランコ・)モスタート選手とは同じポジションなので、試合の話もよくしますね。(パブロ・)マテーラ選手のような偉大な存在と肩を並べられていることも、とても光栄に感じます」と彼は話す。

そう話すスワナポールより1つ年下ながら、三重Hで4シーズン目を迎えている南アフリカ出身の“先輩”であるのがダーウィッド・ケラーマン。彼は「新加入の選手が多いですが、みんなの関係はとても良いんです。一致団結していて、コーチ陣も素晴らしい。強度の高い練習でいつも体が痛いです(笑)。僕はカテゴリーBなので出場機会は限られていますが、常に準備が整っていますよ」と話し、素晴らしい雰囲気を感じていると明かしていた。

チームの雰囲気について「一致団結していて、コーチ陣も素晴らしい」と語るダーウィッド・ケラーマン選手

全員が戦える状態にあり、それが全体の成長やタフな粘りにつながっている三重H。バイウィークを挟んだ今週末の15日は、6位コベルコ神戸スティーラーズとのビジターゲームに臨む。

「ベストを尽くして勝利に導きたいし、あらゆる場面でハードワークしたい。みなさんの応援は本当に力強いですし、『ヤンコのプレーを楽しみにしている』と言われてとてもうれしい。感謝を抱いて戦ってきます」(スワナポール)

「僕は自信をもっているときが一番いいプレーができる。自分を信じてフィールドに出て、攻撃でも守備でも一生懸命頑張って、勝利を疑わない。それができれば、必ず良い結果につながるはずです」(ケラーマン)

シーズン当初に目標として掲げたトップ6入りに手が届きそうな位置に付ける三重H。感謝と自信で一丸となり、残りの8試合へと挑んでいく。

(籠信明)

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