2025.04.04[BR東京]理由が“不明”だから「必死になれる」。メンバー入りのきっかけは直談判した個人面談

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第14節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月6日(日)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
リコーブラックラムズ東京 vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスB)

12節から3試合続けての4番先発となるリコーブラックラムズ東京の山本嶺二郎選手

「調子がいいのに試合に出られないことは、ラグビー人生で初めてでした」

リコーブラックラムズ東京の山本嶺二郎は、シーズン序盤にもがいた。

コンディションを整えて迎えた今季の開幕だった。しかし、第6節まではメンバーに名を連ねられず。最も苦しかったのは、1月下旬のこと。練習試合でゲームキャプテンを任され、自身が納得するプレーを80分間見せたにもかかわらず、次の試合でもメンバー入りは叶わなかった。「一番気持ちが落ちました」と、当時の気持ちを明かす。

だから、直談判に出向いた。タンバイ・マットソン ヘッドコーチに個人面談を依頼し、メンバーに入れない理由を聞いた。その面談では、マットソン ヘッドコーチから「次は自分のプレー集をもってくるように」と指示を受ける。オフを挟み、早速10シーンほどの動画をまとめ、持参した。

「自分が関わったプレーすべてを用意しました」。良いプレーだけではない。そこには悪いプレーも含め、正直に示した。

「『自分のことをちゃんと分かっています』と伝えたかったんです。現状の良いところ、悪いところを提示した上で『それでも僕はメンバーに入れると思う』と伝えました」

その面談を終えた次の試合から、山本嶺二郎はコンスタントにメンバー入りを続けている。マットソン ヘッドコーチからメンバー入りの理由を伝えられたわけではない。でも、「それでいい。(そのほうが)必死になれます」とも口にする。

この春、山本嶺二郎は社会人2年目を迎えた。10歳年上のマイケル・ストーバーグに、年齢の近いハリソン・フォックスと、良きロックの先輩たちにも恵まれ、彼らが叩き出すGPS数値(運動量などを計測した数値)に「全然届かない」と笑顔を見せる。

第8節の試合中には、たった一つのタックルがきっかけとなり調子を落としたこともあったが、同期やコーチに相談し「練習に付き合ってもらいながら」スランプを乗り越える経験も得た。振り返れば『吸収力』が成長させた“ルーキーイヤー”だった。

「2年目は、心には余裕をもちながらも変わらず必死さを併せもつバランスも重視したい」と山本嶺二郎。4月6日(日)の第14節クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦は、4番で先発出場する。

(原田友莉子)

2025.04.04[S東京ベイ]エディーHCの言葉で得た気づき。“猛獣使い”の藤原忍が、秩父宮で華麗に躍る

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第14節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月6日(日)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
リコーブラックラムズ東京 vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)

日本代表での経験が活きているというクボタスピアーズ船橋・東京ベイの藤原忍選手

時に声を張り上げ自軍のスクラムを狂瀾怒濤の勢いへと駆り立て、時にマルコム・マークスやオペティ・ヘルといった屈強なフォワード陣へ、まるで手綱を操るように素早いテンポでボールを供給する。その姿は荒ぶる獣たちを自在に操る猛獣使いのようである。

クボタスピアーズ船橋・東京ベイの主力スクラムハーフ、藤原忍は昨年、初めて日本代表に招集された。6月22日、国立競技場でのイングランド代表戦で日本代表初キャップ。リーグワンとは異なる強度の戦いに身を置き、藤原は本領を発揮できずに焦燥感を募らせていた。

「エディーさん(エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ)からは『いろいろ考え過ぎて、自分の持ち味を発揮できていない』と。フォーカスすべき点を一つ、二つに絞るように言われました」

それまでは集中すべきポイントが多岐にわたり、優先順位がぼやけていたと自身を顧みる。視界がクリアになり、落ち着きを取り戻した藤原にとって、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチのこの言葉は新たな気づきとなった。

「『9番は15人の中でボスにならないとダメだ』『9人目のフォワードになれ』と」

それはまさに百獣を統率するための心得。昨年は日本代表として10試合を経験し、パシフィックネーションズカップ2024や10月のオールブラックス(ニュージーランド代表)戦では9番を託された。いつしか藤原は、エディー・ジャパンが掲げる“超速ラグビー”の申し子と呼ばれるようになる。

「(代表活動の)後半になるころには、自分の中ですごく落ち着けるようになりました。リーグワンのこのシーズンも、落ち着いた状態で臨めているという実感があります」

今季はフォーカスポイントを絞ることで自身の果たすべきタスクがより明確になり、プレーの質にさらに磨きがかかる。シーズンは終盤戦に突入。今節はビジターゲームでブラックラムズ東京と対峙する。チームが好調を維持する中、藤原は「気を抜くことなく、チームがよくなるためにしっかりと頑張っていきたい」と静かに、しかし力強く意気込みを口にした。

経験は、戦士をより強くする鎧となる。秩父宮で、猛獣使いが華麗に躍る。

(藤本かずまさ)

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