2025.04.11[浦安DR]36歳でのビッグチャレンジ。“トンガプライド”をもつベテランが襲い掛かる

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第15節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年4月12日(土)12:00 ゼットエーオリプリスタジアム (千葉県)
浦安D-Rocks vs コベルコ神戸スティーラーズ

浦安D-Rocks(D1 カンファレンスA)

浦安D-Rocksのトゥクフカ・トネ選手。「何歳だろうと自分の仕事をやり続けること。そこにプライドをもっていますから」

今季初の千葉県でのホストゲームとなる今節、浦安D-Rocksは、プレーオフトーナメント出場権争いを繰り広げるコベルコ神戸スティーラーズをゼットエーオリプリスタジアムで迎え撃つ。

自らで下した決断とはいえ、それは大きな挑戦であった。

きっかけは昨季のシーズン終了後までさかのぼる。トゥクフカ・トネはセンターとしてレギュラーシーズン7試合に出場しながらも、悲願のディビジョン1昇格を懸けて戦った入替戦に出場できなかった。シーズン終了後、コーチ陣からあるフィードバックを受けたという。「12番しかカバーできないなら、今後はチャンスを与えるのは難しい」。その言葉を受け、トネは覚悟を決める。「自分でこのチャレンジを望みました」とナンバーエイトへの転向を決意。出場機会をつかむための方法をポジションのコンバートに見いだした。

迎えた今季、「ビッグチャレンジ」は成功する。第3節以降はコンスタントにメンバー入りを果たし、不動の8番であるヤスパー・ヴィーセが戦列を離れた第11節からは先発出場が増え、前節・横浜キヤノンイーグルス戦ではトライも記録。ナンバーエイトとしてたしかな存在感を発揮している。

充実のシーズンを過ごしているトネは「試合後はかなり体が痛いし、仕事量も多い」とバックス時代との変化を笑顔で語り、一番の違いは「モールだね」とこれまで関わることのなかったプレーを挙げる。それでも、グラウンドに立つ際に大事にしていることはこれまでと変わらないという。

「12番と似たような感じで考えていて、フィジカルにハードタックルをして、ハードキャリーをすることを意識しています。与えられた時間に関係なく、自分の仕事と役割を理解して復習して、とにかくハードにプレーするだけです」

36歳でのビッグチャレンジも生粋のラグビープレーヤーであるトネにとっては、迷う要素にはまったくならなかった。

「これまでのキャリアが邪魔することはありませんでした。それよりも大事なのは、若いトンガ人の選手たちに誇りに思ってもらえるように、目指すべき選手、お手本にしてもらえるように、何歳だろうと自分の仕事をやり続けること。そこにプライドをもっていますから」

来る日も来る日も、トネは“トンガプライド”を胸に、ハードにボールと相手に襲い掛かる。

(須賀大輔)

2025.04.11[神戸S]歴戦のランナーが迎える100キャップ。ラグビーを楽しむアイデンティティーは不変

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第15節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年4月12日(土)12:00 ゼットエーオリプリスタジアム (千葉県)
浦安D-Rocks vs コベルコ神戸スティーラーズ

コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスA)

コベルコ神戸スティーラーズの山下楽平選手。「楽しいからずっとラグビーをやってきました」

5位のコベルコ神戸スティーラーズは4月12日(土)、千葉県市原市のゼットエーオリプリスタジアムに乗り込んで浦安D-Rocksと対戦する。前節は首位・東芝ブレイブルーパス東京に大差で敗れただけに、リバウンドメンタリティーを発揮したい一戦だ。

山下楽平──。

2014年8月にファーストキャップを刻んだ彼は今節、ジャパンラグビー トップリーグ・リーグワン通算100キャップの節目を迎える。二度の最多トライゲッターを受賞するなど日本ラグビー界屈指のランナーである33歳が、そのキャリアで大事にしてきたことは何か。その答えは明快だった。

「大きいけがやどうしてもプレーできない状況ならしょうがないですけど、毎日の練習を休まないことです。そのためには準備がとても大切で、常に100%を出せる状態でグラウンドに立つことを意識してきました。それがあることで自分の持っているものをしっかり出すことができます。どれだけいいポテンシャルを持っていても、毎日良いパフォーマンスが出せなければ意味がありません。そこはずっと意識していることです」

シーズンを棒に振る大けがも経験してきた。それを乗り越えてたどり着いた100キャップに「非常にうれしい気持ちではあります」と静かに受け止める。良いパフォーマンスを出せない試合ももちろんあったが、前向きな姿勢は失わなかった。

「楽しいからずっとラグビーをやってきました。『良くなかった』ということは『成長できる』ということ。次の練習でどう改善しようか。できるようにするためにどうすればいいのか。ポジティブなマインドでグラウンドに来て、練習を楽しめています」

楽しむ──。自身のアイデンティティーを示すかのように笑顔で続ける。

「『楽しく、平和に』という意味で名前をつけてもらっていますが、それを小さいころからずっと言われていて、イヤでも自分の名前を見たら『楽しい』っていう漢字が入っているじゃないですか。だから、もしかしたらそれが影響して、すべてにおいて楽しむマインドがついているのかもしれないですね」

大切にしてきた頭と体の準備。栄養面は基本的に夫人のサポートを得てきたという。「『何が食べたい?』と聞かれても、なかなか思いつかないじゃないですか(笑)。そういうときは、大好きな豚の生姜焼き、たまに、カニクリームコロッケ。美味しいです」。歴戦のランナーは照れたように笑った。

伸び盛りの若手も続々と登場しているが、自らのスタンスに変化はない。「若手が頑張って試合に出ることにはうれしい気持ちもありますけど、自分も現役である以上、試合に出てナンボだと思っています」。仲間との最高の結果を求めて最高のパフォーマンスに挑む背番号15。彼は今節もラグビーをとことん楽しむ。

(小野慶太)

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