2025.05.02[三重H] 連敗の中で立ち返ったシンプルさ。大一番だからこそ、やるべきことに集中する

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第17節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年5月4日(日)12:10 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート vs トヨタヴェルブリッツ

三重ホンダヒート(D1 カンファレンスB)

「以前は相手に合わせて考えて、自分たちがどうしたいのかという点に集中できていませんでした」とフッカーの肥田晃季選手が言うラインアウトは劇的に改善した

D1/D2入替戦圏内に沈む三重ホンダヒート(以下、三重H)。現在、7連敗中と苦しい状況が続く。

しかし、プレーの内容は上向きだ。前節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)戦では20対39で敗れたものの、上位を相手に健闘を見せた。

その改善を象徴するのがラインアウトだ。かつてはミスが頻発し、好機を逃す場面が目立っていたが、S東京ベイ戦では14回あった機会をすべて成功させ、チームの強みとなった。

「以前は相手に合わせて考えて、自分たちがどうしたいのかという点に集中できていませんでした。だから先週はやることをシンプルにしたんです。すり合わせして、練習で取り組み、試合に持ち込みました」

そう語るのはフッカーの肥田晃季。彼自身もスローワーとして苦しいときを過ごしたが、S東京ベイ戦の前に成長のきっかけをつかんだ。

「伊藤鐘史アシスタントコーチのアドバイスで気付きがありました。いろいろと考え過ぎた結果、(投げる)ボールが少しズレていたんです。そこで、自分が一番良かったときの意識に立ち返り、『まずはちゃんと真っ直ぐ投げる』というシンプルな答えが見えました」

8試合ぶりの勝利を目指し、準備を整える三重H。5月4日12時10分からは三重交通G スポーツの杜 鈴鹿でトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)と対戦する。愛知県出身の肥田にとっては非常に縁が深い相手だ。

「子供のころからずっと見てきたチームです。瑞穂ラグビー場のバックスタンド側でマスコットのライガーくんに必死で手を振って、ぬいぐるみをもらったことを覚えています(笑)」

現在、トヨタVは10位で勝ち点20、三重Hは11位で勝ち点18。勝てば順位が入れ替わり、D1/D2入替戦圏内を脱出できる。シーズンの行方を占う一戦でもある。

「お互いに負けられない試合です。さまざまなプレッシャーがありますが、気にし過ぎないことが大切。やるべきことをシンプルに考え、気負わずに戦いたいです」

連敗の中でも着々と改善を重ねた三重H。「シンプルさ」を武器に、レギュラーシーズン最後のホストゲームでの勝利を目指す。

(籠信明)

2025.05.02[トヨタV]「このプレッシャーに打ち勝ってこそ」。大一番に臨む若武者は己のプライドを懸ける

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第17節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年5月4日(日)12:10 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート vs トヨタヴェルブリッツ

トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)

トヨタヴェルブリッツの三木皓正選手。「プレッシャーはありますけど、このプレッシャーに打ち勝ってこそトヨタVで7番を任せられる選手だと思うので」

D1/D2入替戦回避のために重要な直接対決。10位のトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)と11位の三重ホンダヒート(以下、三重H)の勝点差はわずかに2。トヨタVは三重Hにボーナスポイントを与えずに勝利すればディビジョン1残留が確定する。

大一番を前にイアン・フォスター共同コーチは「グランドファイナル(決勝戦)だと思って戦おう」と選手たちに伝えたという。自分たちがシーズン前に望んでいたシチュエーションとは真逆の残留争いだが、決勝戦のようなワクワクした気持ちでラグビーを楽しみ、勝利を引き寄せたい。

この試合の注目はバックローだ。今季は姫野和樹を筆頭に多くの負傷者が出たポジションだが、一方で若手にチャンスが与えられ、彼らはしっかりとその実力を示してきた。その中でこの大事な試合で先発には前節に続いて2年目の三木晧正が抜擢された。「毎試合勝たないといけなかった大学時代と同じように、緊張感のある試合です」と、笑顔で意気込みを語る。

三木の最大の武器はハードなタックルである。低い姿勢から何度でも相手にぶつかっていける強い気持ちは誰にも負けないスペシャルなもの。スティーブ・ハンセン ヘッドコーチ/ディレクターオブラグビーも「三木は体こそ大きくないがハートは大きい。高い精度で仕事をやり切ってくれる」と、自信をもってピッチに送り出す。

その三木はこの大一番について、「プレッシャーはありますけど、このプレッシャーに打ち勝ってこそトヨタVで7番を任せられる選手だと思うので」と、自身の誇りが懸かった試合だとする。リザーブに入れなかった仲間たちのためにも中途半端なプレーはできない。

「フォジー(イアン・フォスター共同コーチ)からいつも言われていることは、『7番は“暗殺者”のように笑っておけ』ということ。だから楽しむ気持ちをもちつつ、不気味な存在でいることが相手の脅威になると思います。もちろんプレーでは激しく自分が成長している姿をたくさんの人に見てもらいたい」と三木。このプレッシャーを乗り越えた先には大きな成長が待っている。

(斎藤孝一)

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