2025.05.09[神戸S]「グーでくるなら、僕らは大きいグーを出す」。真っ向勝負のフォワード最前列に山下裕史

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第18節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年5月10日(土)17:00 ノエビアスタジアム神戸 (兵庫県)
コベルコ神戸スティーラーズ vs 静岡ブルーレヴズ

コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスA)

トップリーグ/リーグワン通算出場記録を更新し続けているコベルコ神戸スティーラーズの山下裕史選手。前節の時点で194試合を達成

開幕節で敗れた静岡ブルーレヴズをノエビアスタジアム神戸で迎え撃つ今節のコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)。「借りを返すのが一つの目的。フォワード(の力)を前面に押し出してくるチームなので、負けたくないという思いもある」と気合いを入れるのは山下裕史だ。「ジャンケンで、グーでくる相手に僕らはパーを出すんじゃなくて大きいグーを出していきたい」と真っ向勝負に燃えている。

ノエスタに日本代表のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチがやって来る。試合当日、日本代表チームディレクターの永友洋司氏や神戸Sアンバサダー・大畑大介氏らも含めた豪華なトークショーが実現。それを伝え聞いた山下裕史は、「言うといてくださいよ、『いつ(代表に)呼んでくれるんですか?』って。山下、日和佐(篤)は喜んでいきます」と豪快に笑った。

ブライトンの奇跡──。自身や日和佐も代表メンバーだったラグビーワールドカップ2015。ジョーンズ氏指揮のもと、南アフリカ代表を打ち破った、日本ラグビー界の伝説的試合からおよそ10年が経ち、山下裕史は今年39歳になった。ジョーンズ氏の指導はいまも大きな財産だ。

「トップダウンの時代で(笑)、言われたことをやる時代でした。やらされてやらされて、やらされた先に自主性がある。12年、13年、14年があって、自主性の15年があった。やらされてやらされて、その先に『自分は何をしたらいいのか』というプラスアルファが見えてくる」

ジョーンズ氏の練習の過酷さは有名。「いつでも呼んで」と話した山下裕史だが、「練習にはたぶん、ついていけないけど……」と苦笑い。ただ、「練習するのは当然ですけど、(前回、ジョーンズ氏が率いていたときは)ラグビーにコミットするマインドチェンジだったと思う。自分にとってのターニングポイントですね、エディーさんは」とも。

今季ここまで16試合に出場し、トップリーグおよびリーグワン通算出場記録を194試合に伸ばすなど、鉄人は前人未到の道をひたすらに進む。‟練習の鬼”としても知られる彼の、ラグビー人生における重要過ぎる局面が、エディー氏のもとでの日々だった。

来週末、東大阪市花園ラグビー場でのプレーオフトーナメント準々決勝に臨む神戸Sだが、今節はレギュラーシーズンのホストゲーム最終戦であり、神戸での今季ラストゲーム。山下裕史は「まずはしっかり神戸のファンの前でリーグ戦を笑顔で終えられるように」と言葉に力をこめ、スタジアムを歓喜の‟赤”に染めることを誓った。

(小野慶太)

2025.05.09[静岡BR]タフで賢く、欠かせない選手。ロックの仕事人は、元テコンドー王者

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第18節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年5月10日(土)17:00 ノエビアスタジアム神戸 (兵庫県)
コベルコ神戸スティーラーズ vs 静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

静岡ブルーレヴズに今季新加入のジャスティン・サングスター選手。「自分に合ったチームに来られたと思っています」

前節で浦安D-Rocksを破ってリーグワンでは初の4連勝を成し遂げ、レギュラーシーズンの4位以上を確定させた静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)。今週の最終節で勝ち点5を取って、3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイが勝ち点0で終われば、順位が入れ替わる。

ただ今節の相手、コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)はすでに5位が確定しており、静岡BRが4位で終われば、来週のプレーオフトーナメント準々決勝で再び対戦することになる。チームとしてもその先を見据えて、「2試合やると考えて準備しています」と藤井雄一郎監督は言う。

だからといってメンバーをイジることはなく、ほぼ現状のベストメンバーで臨む。「チームとして何か一つでも成長したいし、ここから4試合は全力でいくつもりです」と藤井監督は宣言した。

そんなベスト布陣の中で、3月末から急速に台頭してきたのがジャスティン・サングスターだ。今季から新加入したニュージーランド出身の28歳で、負傷を抱えていたため、リーグワンデビューが第13節の東京サントリーサンゴリアス戦と遅れたが、そこから5試合連続で出場し、試合ごとにパフォーマンスを高めている。

「そんなに派手ではないけど、タフで賢い。チームに欠かせない選手です」と藤井監督は、安定した仕事ができる点を高く評価している。

サングスター本人も「フィジカルを生かして自分の役割をしっかり果たすことを常に意識しています。ゲームプランがあるので、自分のエリアでベストを尽くす。そうすればすべてうまくいくと思っています」と、フォア・ザ・チームに徹している。

198cm/115kgの恵まれた体格を持ち、大学時代にはテコンドーでニュージーランド王者になったという驚きの経歴もあり、瞬発力や柔軟性にも優れている。指揮官が「チームに欠かせない選手」と言うのも当然だろう。

今季の静岡BRは、新戦力たちの大活躍がチーム躍進の大きな原動力になっているが、そこにまた強力な一人が加わった。

サングスター自身も「みんながすごく温かく僕を迎え入れてくれたし、自分のスタイルもしっかり出せる、自分に合ったチームに来られたと思っています」と静岡BRでの充実感を口にする。

その上で、「もちろん優勝するのが目標ですけど、先のことは考えずに1試合1試合を大事にして、まずは今週の神戸S戦に勝ちたい」と語る仕事人。今節も勝利に貢献する働きを見せてくれるはずだ。

(前島芳雄)

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