NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第2節
2024年12月28日（土）13:00 釜石鵜住居復興スタジアム (岩手県)
日本製鉄釜石シーウェイブス vs NECグリーンロケッツ東葛

日本製鉄釜石シーウェイブス（D2）

良くないプレーのあとにはパンと1回手をたたく（クラップ）ことでリセットするというミッチェル・ハント選手

今季2試合目は日本製鉄釜石シーウェイブス（以下、釜石SW）にとってホストゲーム開幕戦。NECグリーンロケッツ東葛（以下、GR東葛）を迎える一戦は、釜石鵜住居復興スタジアムで12月28日13時にキックオフする。

開幕戦で敗れ、黒星スタートとなった釜石SW。前半はレッドカードをきっかけに失点を重ねたものの、後半は怒涛の反撃を見せ、試合終盤にはあとわずかで逆転トライという場面まで追い上げた。

この試合で素晴らしいキックによるスコアと冴えわたるゲームメークでチームをけん引したのがミッチェル・ハントだ。

“ハンティー”の愛称で親しまれるスタンドオフは今季加入の29歳。開幕戦については「課題はあったけれど、後半の追い上げなどポジティブな要素もたくさんあった。この試合での学びをGR東葛戦に生かさなければならない」と切り替えてホストゲーム開幕戦に照準を絞る。

この切り替えという作業は特にアスリートにとっては非常に重要だ。特に試合中は短い時間の中で立て直さなければならない。そんなとき、彼には決まったルーティンがある。

「自分が良くないプレーをしてしまったときはパンと1回手を打ちます。過ぎたことはもうコントロールできません。クラップすることで一区切りをつけて、マインドをリセットして忘れます。そして次の仕事は何か、そして成功させるために何が必要か。そこに集中するというプロセスを繰り返すことでモメンタムが高まり、いい方向に向かっていけると信じています」

ミッチェルの出身地であるニュージーランドでは、プロになる中でこういったマインドをコントロールするための講義を受けるのだという。方法こそ違えど、多くの選手が自分の切り替え方を持っていて、彼にとってはクラップの所作がそれにあたる。試合中、何度か見かけるこの動作は彼のマインドを変えてくれるいわば“魔法のクラップ”だ。

悪い流れを自ら断ち切りながら、釜石SWのキッカー＆ゲームメーカーが今季初勝利という3日遅れのクリスマスプレゼントをサポーターのもとに届ける。

（髙橋拓磨）

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第2節
2024年12月28日（土）13:00 釜石鵜住居復興スタジアム (岩手県)
日本製鉄釜石シーウェイブス vs NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛（D2）

セブンズ日本代表にも選出。そのスピードが活きるか髙井良成選手

12月28日、NECグリーンロケッツ東葛（以下、GR東葛）は釜石鵜住居復興スタジアムで日本製鉄釜石シーウェイブスと対戦する。この試合ではGR東葛、期待のスピードスターがリーグワンでの初キャップを迎える。京都産業大学から加入した髙井良成だ。

デビュー戦を前に過度な緊張はない。むしろ、「ワクワクしています。ファーストキャップでファーストトライを狙いたいと思っています」と、リラックスした表情で笑みを浮かべた。

今年1月にアーリーエントリーでGR東葛に加わった髙井は、シーズン終了後に7人制日本代表に選出され、11月にはタイで開催されたアジアラグビーセブンズシリーズ2024にも出場した。日の丸を背負った経験は、髙井のラグビーに対する意識を大きく引き上げた。

「7人制は人数が少ないけど、コートの大きさは15人制と同じなので、1対1の局面が多く、サポートの重要性が高くなります。一人でラックオーバーに入る場面や、一人でジャッカルを狙わなければいけない場面が出てくるので、一つひとつのプレーの精度を意識するようになりました。海外の選手と対戦ができたことも、自分の経験としてはとても大きかったです」

最大の武器はスピードである。GR東葛やセブンズ日本代表で計測したGPSの数値では、時速35km台後半から36km台前半を叩き出した。時速36kmを100mに換算すると10秒ジャストということになる。

目標とする選手は、2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップにて、そのスピードで世界を凌駕した福岡堅樹だ。

「福岡さんは5mでスピードに乗って、ワンステップでズラして、相手を抜き切ることができる。初速が速い選手の代表例ですね。理想の姿ですし、僕もああいう抜き方をして、5mの幅で勝負できる選手になりたいです」

髙井の自己分析では「自分は後半にスピードが増すタイプ」。ただ、福岡のような鋭利な初速を身に付けるために、高校生のときには自分の走っている動画を撮影してもらい、ランニングフォームの改造にも取り組んできた。「まだまだです」と言うとおり、自分の満足するレベルには到達していない。それでも確実に初速は上がった。

スポーツの世界では、ニューカマーの登場がチーム状況を好転させる例は珍しくない。開幕戦を落としたGR東葛にとって、髙井のスピードは開幕戦黒星の流れを断ち切る起爆剤となり得るだろうか。

（鈴木潤）