2024.12.28[S愛知]たゆまぬ努力でつかんだファーストキャップ。必要不可欠な選手へ、描く成長曲線

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第2節
2024年12月29日(日)14:30 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs レッドハリケーンズ大阪

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

フランカーからフッカーへ、ジョネ・ケレビ選手。「最終的な目標は日本代表です」

大事なシーズンの初戦を24対20で勝利し、今節がホストゲーム開幕戦となる豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)。レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)をウェーブスタジアム刈谷に迎えての一戦だ。

ディビジョン1昇格を争うであろう花園近鉄ライナーズと相対した前節、激しいフィジカルバトルを繰り広げながら、先行逃げ切りの形で勝ち点4を得た。昨季よりも攻守でさらにレベルアップした姿を見せ、昇格に向けた第一歩を順調に踏み出した。

ただ、見つめるべきは目の前の一試合。こちらも開幕節で勝利を収めたRH大阪に対し、全力をぶつけるだけ。2024年ラストゲームで地元・刈谷市に集まったファンを喜ばせたい。

前節リーグワンでファーストキャップを獲得したジョネ・ケレビは「自分のできることに集中して、試合の流れを変えたい」と闘志を燃やす。同じくS愛知に所属するケレビ ジョシュアと浦安D-Rocksに所属するサム・ケレビを兄にもつ。当初はフランカーだったが、2年前にフッカーに挑戦し始めた。

「フッカーにポジションを変えて一番難しかったのはスクラム。さまざまなテクニックが必要だし、フォワードの中心となって引っ張らないといけない」

転向以来、たゆまぬ努力を重ねてついにつかんだファーストキャップ。それでも、現在の自身のセットピースの完成度について「80%くらい。スクラムでミスが起きたら、それはフッカーの責任。ディテールにまだまだ課題がある」と話す。強靭なフィジカルを生かしたボールキャリーが最大の魅力なだけに、まだまだ伸びシロを残すセットピースの実行力が上がれば、S愛知に必要不可欠な選手となれるポテンシャルがある。

「最終的な目標は日本代表です。でも、そこまでの過程のほうが大事なので、セットピースの精度を100%にするところや、いろいろな課題をクリアしていきたい」

S愛知のラグビーにおいてセットピースはまさに“生命線”。大事な瞬間のカギを握るジョネ・ケレビの成長曲線は、いま急激に上昇している。

(齋藤弦)

2024.12.28[RH大阪]社員選手である誇りと会社への愛 日々全力の姿には強い覚悟がある

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第2節
2024年12月29日(日)14:30 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs レッドハリケーンズ大阪

レッドハリケーンズ大阪(D2)

今節もゲームキャプテンとして出場する茂野洸気バイスキャプテン(写真中央)。「ここ4年ぐらいは、毎年『今季で最後』だと思って、毎日の練習に取り組んでいる」

12月29日(日)、レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)は、豊田自動織機シャトルズ愛知とのビジターゲームに臨む。

開幕戦での勝利は、プレシーズン中から積み重ねてきたものへの手ごたえを得る結果だったが、今季のチームがいかなるものかを示したことで、今後の対戦相手には対策も講じられる。開幕戦と同様に昨季一度も勝てなかった相手と対戦する今節で、真に通用するか否かが測られることになるだろう。

キャプテンの杉下暢が負傷中のため、開幕戦ではバイスキャプテンの茂野洸気がゲームキャプテンを務めた。松川功ヘッドコーチの現役時代にもともにプレーし、キャプテン経験もある35歳の大ベテランだ。開幕戦では右ウイングに入り、バック3を組んだ西川賢哉、山口泰輝とは、干支が同じ巳年だというが、年齢を感じさせない力強いランは、いまだ衰えることがない。チームの今季公式戦ファーストトライは、茂野が挙げた。

茂野が話すとき、必ず地域活動や社業などグラウンド外の話が出る。社員選手である誇りと自分が勤める会社への愛があるからだろう。その証拠に、「自分はこの会社でずっと働きたいと思っている」と話している。そのぶん、「社員選手としてラグビーに取り組む時間は多いけれど、業務に手を抜いているわけではないし、できる限りのことをやっているつもり。ただ、ほかの社員と比べたときに、仕事量が違う」ことには、少し胸を痛めている様子もあった。

社員選手を長く続けてきた理由は、もちろん「ラグビーが好きだし、チームも好きだから」。だが、ケガも多く、この7年間で受けた手術は7回。続けること自体、簡単ではなかった。特に「ここ4年ぐらいは、毎年『今季で最後』だと思って、毎日の練習に取り組んでいる」という。最後だと思うがゆえに、「ここで終えても悔いがない」ほどに日々全力を出し切り、「若手選手にも教わることがたくさんある。いつでも学ぶ姿勢を崩さずに、伝えるべきことは伝える」ことを大切にしてきた。

社員選手だからこそ、苦しい経験も多くあった茂野だからこそ、できる務めがあるだろう。そして、それはいま、強い覚悟の下で示す姿で十分に全うされているのではないか。本人が気にする社業の仕事量とは違えども、比較できるものでもない。

示し続けている「後輩たちに『こんなおっさんが頑張っているなら、自分たちも頑張らないと』と思ってもらえるよう」な姿で、茂野は今節もチームをけん引する。

(前田カオリ)

試合詳細

見どころ・試合レポート一覧