2025.01.03[日野RD]フィニッシャーとしての矜持。誰よりもこだわりをもって

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第2節
2025年1月5日(日)12:00 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
日野レッドドルフィンズ vs 花園近鉄ライナーズ

日野レッドドルフィンズ(D2)

昨シーズンからウイングに定着、小島昂選手。「高いワークレートの中でもスピードを持ってアタックする姿をぜひファンの皆さんには見ていただきたいです」

開幕戦はわずか1点差で惜敗となった日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)だが、昨季はディビジョン1に所属していた強豪相手から白星を奪って巻き返したい。第2節はスピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場)で行われるホストゲームに花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)を迎える。日野RDと花園Lが対戦するのは、リーグワン初年度の2022シーズン以来の顔合わせだ。

“観る者をワクワクさせるエキサイティングラグビー”を掲げる日野RDにとって、小島昂の切れ味鋭い走りは欠かせない。彼がボールを受けた瞬間、トライの予感に観客席は沸き立つ。

開幕戦では疲れもピークとなる後半36分に小島がその快足で右タッチライン際を駆け抜け1点差に迫るトライを奪った。強敵の花園Lに対しても「外のスペースがあったら積極的にボールを回して、バックスでもどんどんチャレンジをしてトライを狙っていきます。僕らが引いてはいけない部分が多くあると思いますし、チャレンジャーとして全力で臨むだけです」と小島は臆せずにぶつかっていく。

21年に明治大学から日野RDに入団し5シーズン目を迎えた。苑田右二ヘッドコーチは「加入1年目や2022-23シーズンは試合出場がなかったですし、昨季当初も悩んでいる様子もありました。でも『すべてをうまくやろうとせずに、運動量など自分の強みを出していこう』とシーズン途中でじっくりと話し合ってから一気に何かをつかんだ感があります」と、昨季のD3での戦いで大きく伸びたと小島を高く評価する。「今季もフィニッシュのところで『常に自分がトライを取り切るんだ』という意識に誰よりもこだわりをもってほしい、と話をしています。彼の強みは高い運動量とラグビーセンスを兼ね備えているところ。次戦も期待しています」(苑田ヘッドコーチ)。

一気の加速力と鮮やかなステップワークでゲインラインを突破するランが小島の大きな武器だ。

「ウイングとしてトライを取ることが仕事だと思っていますので、外側に少しでもスペースがあればそこを狙いますし、高いワークレートの中でもスピードを持ってアタックする姿をぜひファンの皆さんには見ていただきたいです」(小島)

フィニッシャーとしての矜恃は常にその胸にある。2025年最初の試合でも切れ味鋭いランからトライを奪い、チームに勢いを呼び込んでいく。

(関谷智紀)

2025.01.03[花園L]自国の英雄から学び、そして競う。その先にある成長と勝利

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第2節
2025年1月5日(日)12:00 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
日野レッドドルフィンズ vs 花園近鉄ライナーズ

花園近鉄ライナーズ(D2)

今節のスタンドオフはクウェイド・クーパー選手が先発。ウィル・ハリソン選手(写真)はリザーブとしてメンバーに入った

開幕戦で豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)に競り負けた花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が、日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)戦に挑む。

「ディビジョン2の上位のチームは昨季よりもレベルが上がっている」。向井昭吾ヘッドコーチも、あらためて1年でのD1復帰に気を引き締めるが、昇格後のチームを見据えてベースを作り上げることも今季のミッションの一つである。

開幕戦で大黒柱のクウェイド・クーパーに代わって背番号10を託されたウィル・ハリソンは早期のフィットが期待される新戦力だ。

S愛知戦では『二人のウィル』がハーフ団を形成した。ウィル・ハリソンの隣に立つのは名手、ウィル・ゲニア。U20オーストラリア代表歴を持つウィル・ハリソンだけに「人生の中で、(オーストラリア代表で長くプレーしてきた)クーパーとゲニアの二人は目標にしてきた選手だったので、そうした選手たちとプレーできるのは格別なモノがありました」と率直な思いを口にする。

今季、スタンドオフには丸山凜太朗もトヨタヴェルブリッツから新加入。激戦区のポジションで開幕スタメンを託されたことからも向井ヘッドコーチからの期待の大きさがうかがえる。ただ、開幕戦ではキックをすべて成功させ、20得点中10点をゲットしたが、期待されたパスワークについては「S愛知戦では前半、なかなかテンポを作り出せませんでした」とほろ苦いデビュー戦を振り返った。

クーパーとは教えを請う間柄でもありながら、同時にポジションを競う『高き壁』でもある。「同じようなプレースタイルだし、同じような試合展開にもできると思います」と秘めた自信も口にするハリソンの特徴は、やはりレフティーであるということ。「私もフルバックをやっていたので、後ろの選手にとって左利きのキックは処理しにくいんです」と日本代表でもプレーした向井ヘッドコーチは、その強みを話す。

必勝を期す日野RD戦はクーパーに背番号10を譲り、ハリソンはリザーブで出番を待つことになる。「クーパーは頼れる存在でもあるし、彼から学べることもあります。私が花園Lにいる価値は、そこにもあります」。

元オーストラリア代表の英雄から学び、そして競い合いながらチームを強くする──。ウィル・ハリソンの偽らざる本音である。

(下薗昌記)

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