2025.01.17[S愛知]見える景色をとにかく口に出す。活路を見出したのは“コミュニケーション”

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第4節
2025年1月18日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs NECグリーンロケッツ東葛

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

リザーブから出場をうかがう土居大吾選手

今季3勝目を目指す3位の豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)が、2位のNECグリーンロケッツ東葛をウェーブスタジアム刈谷に迎える。昨季激戦を繰り広げた両者が、再び火花を散らす。

今節、リザーブでメンバー入りしたのが土居大吾だ。出場すれば、リーグワンでのファーストキャップを獲得することになる。「めちゃくちゃうれしいです。やっと来たかという気持ち」とあふれんばかりの喜びをかみ締めながら話してくれた。

流通経済大学から加入して2シーズン目。ここまでの道のりは、順風満帆ではなかった。「大学2年生のときに大きなけがをして、しばらくラグビーができない生活が続きました。そのころは新型コロナウイルスが流行していて、復帰してからもさまざまな規制がありながら、グラウンドと寮を往復するだけの日々でした」。

困難が続いた大学生活を過ごしたという土居。一時は一般企業への就職を考えていたものの、コロナ禍の影響もありうまくいかず。途方に暮れていたところ、S愛知から声が掛かった。

ただ、S愛知でも壁にぶつかることになる。土居が主戦場とするセンターというポジションは、特段高い身体能力やディフェンスを統率する力が求められる。外国籍選手が務めることが多いポジションでもあるが、178cm・93kgとラグビー選手の中では決して大柄ではない土居は、生き残る道を探した。

「加入したときにジョシュ・マタヴェシという選手がいて、彼からコミュニケーションに関するアドバイスをもらいました。『運転中に見えた景色や状況を全部言葉にしてみろ』と言われたんです。歩道を歩いている人が何人いるとか、どんな建物があるとか、とにかく見えているものを口に出す習慣をつけろという意味でした」

それに取り組んだ結果、グラウンド内のコミュニケーションに活路を見出した。「効果があったのか分からないけど」と笑ったが、それほどの高い意識で日々を過ごした末につかんだメンバー入りだった。

徳野洋一ヘッドコーチは「彼がラグビーと向き合っていない日を見たことがないくらい、一貫性をもって取り組んでいる。応援したくなるような選手」と賛辞を送り、「彼のような選手が活躍することは、われわれや日本ラグビー界にとって大きい。そういった選手を一人でも多く育てることが、S愛知のビジョンとしてある」と続ける。

S愛知の哲学を象徴する存在の一人。土居が大きく羽ばたく姿を見届けよう。

(齋藤弦)

2025.01.16[GR東葛]出色のパフォーマンスを支える三つの要因。上位直接対決もスピーディーなランで切り裂く

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第4節
2025年1月18日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛(D2)

NECグリーンロケッツ東葛のキーガン・ファリア選手

今季のNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)において、新加入のキーガン・ファリアが出色のパフォーマンスを見せている。トライとラインブレイクは1位タイ、ボールキャリーは2位と、さまざまな部門で上位に名を連ねる。その個人ランキングが示すとおり、相手のディフェンスラインを切り裂くスピーディーなランは、GR東葛の武器と化した。

好調の要因を聞くと、ファリアは三つの要因を挙げてくれた。

一つ目が「私にボールが回るまでのプレーがうまくいっているからこそ、パスを受けたときにスピードを出して相手のディフェンスをかわすことができる」と、チームのアタックシェイプである。明確なチーム戦術に加え、リース・パッチェルの巧みなゲームマネジメントや、マリティノ・ネマニ、アセリ・マシヴォウといったチームメートのパワフルなプレーによって、ファリアの速さがより強調される。

ジャパンラグビー トップリーグ時代から通じて、日本でのプレーは6シーズン目になる。日本の文化にも慣れ、グラウンド外で得た経験が二つ目の要因だ。

「日本に来たばかりのころは、新しい環境で自分自身が恥ずかしがってしまうとか、人の気持ちを傷つけてしまわないか、気にしてしまうこともありました。でも、いまは味方に批評を与えることも、味方からの批評を受け入れることにも慣れてきました。それが自信につながっています」

そして三つ目が、グラウンドでは戦略だけに捉われず、ときには自分の感覚を信じてプレーをすることの重要さである。試合前には、対戦相手を入念に分析したコーチからその試合の策が与えられる。ただ、ラグビーは何が起こるか分からない。その際に「チャレンジしなければ、相手の実力が分からないときもある。ときには自分を試すつもりで、(与えられた策以外のプレーを)信じてやらないといけないときがあります」と話す。

ここまで3試合を終えて、GR東葛は2勝1敗とディビジョン2の2位につける。1月18日に対戦する豊田自動織機シャトルズ愛知とは、同じ2勝1敗同士の対決となる。ディビジョン1との入替戦に出場できる今季のトップ2を勝ち取るためにも落とせない重要な一戦。現在の好調を維持し、自信を携えて、ファリアは上位直接対決に臨む。

(鈴木潤)

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