2025.01.23[釜石SW]初のレッドカードからの答え合わせ。内なる闘志を燃やし、クラブ初の連勝に導く

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第4節
2025年1月25日(土)13:00 ハワイアンズスタジアムいわき (福島県)
日本製鉄釜石シーウェイブス vs 花園近鉄ライナーズ

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)

レッドカード、出場停止、そして復帰、川上剛右選手。(写真中央、右から3人目)

前節、逆転で今季初勝利を手にした日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)。今節は1月25日、福島県いわき市のハワイアンズスタジアムいわきで行われる花園近鉄ライナーズとのホストゲームに臨む。

この試合に向け、内なる炎を手懐けようとしている男がいる。それが川上剛右だ。

今季新加入の川上は開幕戦に先発出場した。しかし前半13分、ヘッドコンタクトを犯してしまい、これがレッドカードの判定。釜石SWは後半に反撃したものの4点及ばず黒星を喫した。

「もう、パニックでした。何より仲間を(交代可能になるまでの20分間を14人で戦わせてしまうという)苦しい状況にしてしまったことへの申し訳なさと悔やみ切れない思いでいっぱいの状況でした」

まさに茫然自失の状態。これまでのプロキャリアで「カードをもらったことがない」川上は「本当に気持ちが落ちていた」。そんな窮地を救ったのは仲間たちの存在だった。

「試合中も、帰りの飛行機やバスの中でもチームメートやスタッフのみんなが、『お前が思い切ってプレーした結果だから気にするな』という言葉をわざわざ掛けに来てくれて。本当にうれしかったし、救われました」

東福岡高校で3年間を過ごした川上にとって、ベスト電器スタジアムでのプレーは高校時代以来。当時を知る面々も観戦に訪れていた。加えて新チームでのファーストキャップでもある。無意識のうちに気負いがあったのかもしれない。2試合の出場停止から復帰する今節も「前回迷惑をかけたぶんを取り戻したい」という気持ちが入るシチュエーションになるが、「このセルフコントロールを学びとして、自分の役割を果たしていきたい」と内なる闘志を鎮めるように明かしてくれた。

出場停止の期間は考えに考え抜いた。自分はチームに対して何ができるのか。どんなことを期待されて起用されるのか。ある意味ではその答え合わせともなり得る今節。「周りの人たちに支えられている」ことをあらためて強く実感したという川上はチームのために泥臭く、体をぶつけ、走る。勝利すればリーグワンのレギュラーシーズンではクラブ初の連勝となる試合に、頼もしいウイングが戻ってきた。

(髙橋拓磨)

2025.01.23[花園L]マインドセットが変われば、スコアも変わる。根っからのリーダーが笑ったときが初勝利のときである

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第4節
2025年1月25日(土)13:00 ハワイアンズスタジアムいわき (福島県)
日本製鉄釜石シーウェイブス vs 花園近鉄ライナーズ

花園近鉄ライナーズ(D2)

昨シーズンまでキャプテンを務めていた野中翔平選手。「真っ向勝負で力の勝負を楽しみたいし、そこで勝ちたい」

ディビジョン2の開幕から未だ勝利がなく、暫定ながら最下位に転落した花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が、前節、今季初勝利を手にした日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)とのビジターゲームに挑む。

D1/D2入替戦に向けて、もはや足踏みが許されないチーム状況だが「チーム状況は真摯に受け止めています。危機感は強いですけど、それが現実。受け止めて進むしかありません」と昨季までキャプテンを務めた野中翔平は話す。

キャプテンの肩書きは今季なくなったが、チームをけん引する責任感は不変。前節、レッドハリケーンズ大阪に大敗した直後も、ミックスゾーンでチームに対する厳しい言葉を口にしたが、あえて“嫌われ役”になる覚悟ゆえの行動だった。

23日のゲーム形式の練習にはネガティブな空気感はなく、メンバー外の選手も含めて活気のある声が飛び交い、チームの一体感を感じさせた。

「行動が変われば、マインドセットも変わる。マインドセットが変われば、必然的に試合のスコアも変わるんです」(野中)。

東海大学付属大阪仰星高等学校と同志社大学でもキャプテンを務めてきた根っからのリーダーは、チームの変化に手ごたえを感じている。

今節は負傷で出遅れていた片岡涼亮も今季初出場。チーム最多の4トライを決めている木村朋也も含めて攻撃のキーマンがそろうが、だからこそ必要になるのがチームの“潤滑油”としても機能する野中の存在だ。

「僕は黒子なので、チームを陰で動かしますよ」と控え目な笑顔を見せた昨季のキャプテンは「釜石SWはいいチームでラインスピードもすごく速くて、フィジカルの(強さも)あるチーム。僕らもマジックみたいなプレーはするつもりはないですし、真っ向勝負で力の勝負を楽しみたいし、そこで勝ちたい」と言い切った。

キャプテンとしてD1昇格と降格を味わった野中は釜石SW戦が簡単な戦いにならないことを承知済みだ。

「勢いに乗せると厄介な相手です。相手のモメンタムが出る時間帯は絶対にあると思います。ただ、それを断ち切る準備はしています」と野中。その“準備”についてはまだ企業秘密である。

「試合でお見せしたあとに『これが準備でした』と言えるように頑張ります」。試合後に誇らしげに笑う野中がいれば、それは花園Lが今季初勝利を手にしたときである。

(下薗昌記)

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