2025.01.30[釜石SW]“惜しい”の先にあるものをつかむために。先頭には“尋常ならざるワークレート”の男

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第5節
2025年2月1日(土)13:00 AGFフィールド (東京都)
日野レッドドルフィンズ vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)

サム・ヘンウッド バイスキャプテン。「勝てる力があるのは分かっている」

前節は30対33で惜敗したものの、今季ベストとも言える試合内容を見せた日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)。敗戦の中にもポジティブな要素をたくさん見せた一戦となった。

この試合を含め、今季の全試合で獅子奮迅のパフォーマンスを見せているのが、サム・ヘンウッドだ。彼は第4節終了時点でボールキャリー1位、ゲインメーター3位、ディフェンス突破2位、タックル成功2位と主要部門でディビジョン2のトップ3に入る成績を残しているが、自身はその数字をほとんど意に介さない。常にチームスピリットを欠かさない、チームプレーヤーのお手本のような選手だ。

チームはここまで1勝3敗。開幕戦は最終盤、逆転トライ目前のノックフォワード(ノックオン)でスコアできずに敗戦。前節は残り5分までリードを奪いながら逆転負け。勝利が近くて遠いような試合も多いが、ヘンウッドはチームの成長と例年にない接戦の連続を大いに楽しんでいる。

「釜石SWはこれまで対戦相手から『勝てる可能性が高いチーム』と思われていたかもしれないし、実際に自分たちが勝つためにはやるべきことが多すぎる試合もあった。でもいまは違って、どこが相手でも戦えるという信念を分かち合えるようなところまで来ていると思います」

過去の釜石SWはレギュラーシーズンでほとんど勝てず、大差での敗戦となる試合も多かった。しかし今季は前述のように一つのペナルティ、エラーがなければ勝てたという試合を演じることはできている。勝利への距離は確実に縮まっているといっていい。

「今季は最後のところで勝てない試合が二つあった。でも、本当に惜しい敗戦だったからこそ、よりフォーカスできるミスやエラーもある。そこから得たものをこれからの学びにしていくしかない」とここからの巻き返しを誓っている。

バイスキャプテンも務めるナンバーエイトは「勝ち切る試合ができていないのが課題」と話す一方で、それは接戦ができるところまでレベルアップしてこられたからこそ浮き出てきた「ポジティブな課題」と捉え、そこに向き合える喜びをかみしめる。

「勝てる力があるのは分かっている」と自信にあふれる言葉を残すヘンウッドが目指すのは“惜しい”のその先。今季2勝目をかけたビジターゲームでも尋常ならざるワークレートでファンを沸かせてくれるはずだ。

(髙橋拓磨)

2025.01.30[日野RD]流れを変える今季初勝利へ。仲間を勇気づけ、チームを前進させる“ビッグガイ”

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第5節
2025年2月1日(土)13:00 AGFフィールド (東京都)
日野レッドドルフィンズ vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

日野レッドドルフィンズ(D2)

身長208cmのロック、ローリー・アーノルド選手。「一つ勝利をつかむことができれば、このチームは勢いに乗れる」

日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)は今節、AGFフィールドに日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)を迎える。今季まだ白星がない日野RDだが、ホストゲームで初勝利を挙げることで流れを変えたい。

「一つ勝利をつかむことができれば、このチームは勢いに乗れる。ラインアウトをコントロールすることは自分の役割なので、できるだけ良いボールをバックスに供給してチャンスを作りたい。苦しいときこそ目の前の一つひとつのプレーを大事に。集中力を保って試合に臨めばおのずと良い結果はついてくる」と釜石SW戦への意気込みを語ってくれたのはローリー・アーノルド。ワラビーズ(オーストラリア代表)で32キャップを誇る208cmの頼れる巨漢は今季も安定したプレーでチームの屋台骨を支える。特に注目したいのがラインアウトでの動き。ターゲットマンとしてボールを受ける高さは必見で、そのあとにモールの中心となり相手を押し込んでいくパワーはまさに彼ならではの持ち味だ。

「ここまで4試合、チャンスは作れているがトライを取り切れていないシーンが多かった。そこを踏まえて、22mラインより相手の陣内に入ったら『絶対に得点を奪って戻るんだ』という意識付けをみんなが練習から徹底してきた」。2週間にわたりフォワード陣が一体となって取り組んだ練習の成果を釜石SW戦では見せつけたい。

現在は勝ち点4で最下位となっている日野RD。しかし、決して悲観するような内容ではなく、目指すラグビーの完成に向けて着実に歩みを進めている。苑田右二ヘッドコーチも「目の前の一瞬一瞬に集中し、良いプレーを積み重ねることがいまの状況を打開するカギ。負けが込むと思考が少しネガティブな方向へと振れてしまうが、勝つことへのプレッシャーからミスを恐れてセーフティーなプレーを選択するよりも、目の前に起こるプロセスをしっかりとクリアして良いフィニッシュにつなげてほしい」と、“日野RDのラグビーを貫いて勝つ”ことへの期待を込めた。

そんな中、常に全力を出し切って戦うアーノルドの存在は大きい。心も体もビッグな男のプレーが仲間を勇気づけ、チームを前進させる原動力となる。

(関谷智紀)

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