2025.02.01[GR東葛]手術で帰国したキャプテンに勝利の報告を。野心を抱く若者の決意

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第5節
2025年2月2日(日)16:00 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 vs 花園近鉄ライナーズ

NECグリーンロケッツ東葛(D2)

キャプテンの不在を受けて9番で出場する丸尾祐資選手

NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)にとって、前節の豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)戦はショッキングな試合となった。前半にニック・フィップスが右ひざを痛め、グラウンドに倒れ込んだ。その様子から軽いけがではないことは一目瞭然だった。

フィップスはオーストラリア代表72キャップという圧倒的な経験値を誇り、GR東葛ではキャプテンを務めている。戦術の要であると同時に、精神的支柱であるフィップスの負傷交代は、チームに想像以上のダメージを与えた。GR東葛は0対42でS愛知に敗れた。

しかしいつまでも下を向いているわけにはいかない。花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)戦までの2週間、チームは気持ちを切り替え、周到な準備を進めてきた。フィップスに替わってスクラムハーフに入る丸尾祐資は、感情と頭の中を整理して花園L戦に臨む。

「試合までの準備期間は2週間あったので、エリアごとの戦い方も頭に入っています。自信をもってゲームメークをする。コントロールを意識してやっていきたいと思います」

丸尾は非常に恵まれた環境で、リーグワンでのキャリアを重ねてきた。フィップス、そして昨季限りで現役を引退した田中史朗というワールドクラスのスクラムハーフとの練習の中から多くを学び、自分自身の成長へつなげた。

「ニックが言っていたことなんですが、ニック自身も間違った判断をしてしまうことは、試合中も練習中もよくあると。でも、そういう判断をしてしまったときに、自分がネガティブな感情になるのではなく、ゲームメーカーだから次の仕事に切り替えなければいけない。そういうシチュエーションは、次の花園L戦でも出てくると思います。試合でミスをしても、自分の感情の起伏なくやっていこうと思っているのは、ニックの言葉があったからです」

手術と治療のために帰国したオーストラリアで、フィップスは「花園L戦を見る」という。丸尾はフィップスから教わったさまざまなプレーをグラウンドで発揮し、チームの勝利に向けて強い決意を固める。試合に勝って、フィップスに勝利の報告をする。そして自分自身も、この出場機会を機に大きく成長する。

24歳の若者は野心を抱き、2月2日、柏の葉公園総合競技場のグラウンドに立つ。

(鈴木潤)

2025.02.01[花園L]刺さったままのトゲを抜くために。花園Lのジャージーを着る重み

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第5節
2025年2月2日(日)16:00 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 vs 花園近鉄ライナーズ

花園近鉄ライナーズ(D2)

片岡涼亮選手。「僕の武器はディフェンスだと思っています」

前節、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)に逆転勝ちを収め、待望の今季初勝利を手にした花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)。勝利の内容次第では3位浮上の可能性もあるNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)戦で目指すのは今季初の連勝だ。

「負けたら終わり、と思っています。1試合、1試合を大切にして、すべてを懸けて戦っていきたいですね」と話すのはプレシーズンマッチの負傷で出遅れ、前節の釜石SW戦で今季初出場を果たした片岡涼亮である。

ディビジョン2を戦っていた2022シーズンにはチームメートのサナイラ・ワクァと並んで11トライ。ディビジョン2の最多トライゲッターとして花園Lの昇格に貢献した片岡だが、D2全体のレベルが当時よりも上がっていることを実感する。

「海外の有名な選手も来るようになって、どこのチームも底上げされていると思います」

昨季はバイスキャプテンも務めたが、チームは無念の降格。いまでも片岡の心には刺さったままのトゲがあると明かす。

「入替戦も2試合出ていたのに降格してしまいました。試合に出たくても出られない選手がいるし、僕が次の試合のメンバーに選んでもらった以上、『片岡がジャージーを着ていて良かった』と思われるプレーをしたいんです」

スピードスターの木村朋也と並ぶ、両翼は花園Lの強みだ。それでも片岡は「僕はあまりトライが取れないんですよ(笑)。トライ王になったときもクウェイド(・クーパー)からのパスを最後に置いただけなので」と謙遜。そして、「僕の武器はディフェンスだと思っています。そこで良い流れを作った先に、僕のディフェンスからチームでトライしたいですね」と話した。

そんな片岡に対する向井昭吾ヘッドコーチの信頼は厚い。「守備だけでなく、彼はボールを持ったらなかなか相手に取られない。トライを取れなくてもボールを継続していれば、また次のアタックができますから」とその存在の大きさを語る。

GR東葛戦のバイスキャプテンとしてもピッチに立つ片岡は言う。「僕のタックルでターンオーバーして、木村が点を取ってくれたらいい」。

片岡は個人の成績よりも、花園Lのジャージーを着る重みを意識して、今季2試合目の試合に挑む。

(下薗昌記)

試合詳細

見どころ・試合レポート一覧