2025.02.27[GR東葛]“安定してきた”だけでは足りない。先輩の教えを心に刻み、スクラムで勝てるチームへ

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第7節
2025年3月1日(土)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 vs 九州電力キューデンヴォルテクス

NECグリーンロケッツ東葛(D2)

菊田圭佑選手は26歳。経験が重要とされるプロップとして、今シーズンも成長を続けていきたい

前節、勝って連敗を食い止めたNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は、今節の九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)戦で今季二度目の連勝を狙う。GR東葛と九州KVは、ポーナスポイントの差でGR東葛が順位では上回っているが、同じ3勝3敗。どちらが上位戦線に食らい付くか、サバイバルマッチの様相を呈している。

「やること自体は大きくは変わらないですけど、プレーをやり切る精度や、試合にもっていくまでのメンタルや試合の入り方、そういう一つひとつまで気を配らなければいけない」

フロントローの一角を務める菊田圭佑は、九州KV戦のポイントをそのように挙げた。ボリス・スタンコビッチ コーチから試合ごとにフィードバックをもらい、常にアップデートを続けているスクラムには、菊田自身も「安定してきた」と確かな手ごたえをつかんでいる。しかしそれだけでは飽き足らない。菊田は続ける。

「『安定してきた』ではなくて、スクラムで勝てるチームにもっていける選手になっていきたいです」

プロップとしてフロントローを担うからこその言葉かもしれないが、菊田にはスクラムにこだわりをもつ大きな理由がある。それが、昨季限りで現役を退いた土井貴弘の存在だ。

「スクラムは、土井さんという偉大な先輩から教わったことが形になっているのが大きいです。自分から『どうですか?』と聞きにいけば、土井さんはいつも的確なアドバイスをくれました。そのアドバイスが自分の中に刻まれています」

この言葉を聞いて思い出されたのが、2022-23シーズンのD1第4節、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)との試合前、土井がトップリーグとリーグワンの通算で100キャップを目前に控えたときに彼が口にした、自分自身が課すチームへのタスクについてだった。

「開幕の花園近鉄ライナーズ戦では菊田が先発しましたし、チームには若い選手が多いので、スクラムのところではもっと若い選手にアドバイスをしていかなければいけない」

現役当時の土井から名前を挙げられた菊田は、いまでは土井と同じ3番のポジションを務め、2022-23シーズンのディビジョン1第15節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦から現在まで、入替戦や順位決定戦を含めて公式戦25試合連続出場する主力の一人に成長した。

GR東葛のレジェンドの思いは、脈々と後輩へ受け継がれている。菊田は偉大な先輩の教えを受けて磨き上げた「スクラムで勝てるチーム」の姿を、今節の九州KV戦で表現する。

(鈴木潤)

2025.02.27[九州KV]仲間を思うからこそ、厳しくなれる。キャプテンの“独り立ち”

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第7節
2025年3月1日(土)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 vs 九州電力キューデンヴォルテクス

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

今シーズンからプロ契約に切り替えたというウォーカー アレックス拓也キャプテン

「かっこつけても化けの皮がはがれるし、自分に合わないことをやっていてもチームの信用を失うだけ。自分のカラーをしっかりと出してみんなについて来てもらえるように自分の芯をしっかりしたい」

昨季に続き、今季もキャプテンを務めるウォーカー アレックス拓也は今季の開幕前、キャプテンの在り方についてこう語っていた。ただ、4人制の共同キャプテンの中の一人だった昨季に対して、今季は単独でのキャプテン。まさに独り立ちのシーズンになっている。

今村友基ヘッドコーチは「共同制にはもともと違和感があった」と話す。そこで「共同」の冠を外した理由をこう明かした。

「社員選手とプロ選手。ベテランと若手。さまざまな角度からバランスを取るために共同制を敷いていたのだと思いますが、若い選手に立場を与えることで責任も増すでしょうし、気兼ねなく発言できるようになるんじゃないかと考えました」

開幕前には「自分のキャプテンとしてのスタイルがどういったものなのかはまだ探っている」としつつも「言葉でも人を動かせて、背中でも示すことができるキャプテンはかっこいい」と理想像を掲げていた。

時間の経過とともに、今村ヘッドコーチの思いを感じ取るかのようにアレックスの振る舞いにはチームに対する責任の強さがにじんでいる。今季を迎えるにあたり、社員選手からプロ選手になったことでより自分のプレースキル向上に時間を割くことができるようになったのも、好影響をもたらしているのかもしれない。

今季のチームスローガンである『BE TOUGHER』をアレックスはこう解釈している。

「仲間に良い意味で厳しくなる。それもタフになるということだと思います。自分たちはチームメートとして互いのことをリスペクトはしているんですが、やっぱり仲良しクラブではいけない。仲間のことを思うからこそ、あえて厳しいことを言わなければいけない」

その言葉どおり、アレックスは厳しい言葉を投げかけることもいとわない。言うからには自分にも責任が伴うことも分かっている。だからこそ、自己研鑽に一切の妥協はない。

すべてはこのチームでディビジョン1に昇格するため。成長するキャプテンとともにこのチームは歩みを進めていく。

(杉山文宣)

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