2025.03.14[GR東葛]心優しき好青年が迎えるクラブ通算50キャップ。アグレッシブなランで今節も相手を打ち破る

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第8節
2025年3月15日(土)14:30 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛(D2)

アセリ・マシヴォウ選手。この試合が50キャップ目となる

アセリ・マシヴォウは、物静かでシャイな一面をもち、チームメートへの多大なリスペクトを欠かさない好青年である。

48対7で勝利を収めた前回対戦から2週間。NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は、九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)と対戦するため東平尾公園博多の森陸上競技場へ乗り込む。そしてこの一戦は、マシヴォウにとってGR東葛での50キャップに到達する記念すべき試合となる。

2020年にGR東葛に加入し、2021年3月28日、ジャパンラグビー トップリーグのパナソニック ワイルドナイツ戦でファーストキャップを刻んだ。それを「昨日のことのように思い出すことができる」とマシヴォウは話す。以来、彼は試合でも練習でもハードワークを貫いてきた。

ここまでのキャリアで、瀧澤直、亀井亮依といったチームリーダーの振る舞いや言動から多くを学んだ。3月9日には28歳になり、中堅と呼ばれる年齢に差し掛かった。「若い選手が気軽にアドバイスを聞きに来たり、悩み事を話してくれたりするような選手になっていきたい」と、尊敬する先輩たちを想起しながら自分自身の目指すべき姿を丁寧な口調で語る。その言葉からも、マシヴォウの心優しき人柄がにじみ出ている。

ただ、そんな心優しき青年も、ひとたびグラウンドの中に入ると、強靭なフィジカルを生かしたアグレッシブなランで、相手の守備を打ち破る選手へと豹変する。このギャップもまた、マシヴォウの魅力だろう。

前回対戦の試合後、九州KVのウォーカー アレックス拓也は「GR東葛のフィジカルの強さで削られたという感じ」と敗因を振り返り、「反省点を修正して、チャレンジャーとしてバトルしていきたい」と今節への意気込みを述べていた。おそらく九州KVは、GR東葛のフィジカルを生かしたアタックに向けて入念な対策を立ててくることが予想される。

マシヴォウが今節の九州KV戦を展望する。

「前回対戦は大差で勝ち、良い勝利につながりましたが、次の試合で負けてしまったらそれは何の意味もなさなくなってしまいます。昨季はビジターゲームで思うようにいかず、ボーナスポイントを取り逃がす試合がありました。そういうことがないように、自分たちを信じて挑んでいくだけだと思います」

百戦錬磨の司令塔、リース・パッチェルをして「GR東葛のストロングポイント」と言わしめる強靭なフィジカルをもつ選手たち、マリティノ・ネマニ、オルビン・レジャー、そして50キャップ目を迎えるマシヴォウ。彼らは相手の対策をいかに上回り、勝利を手繰り寄せるのだろうか。実に楽しみな一戦だ。

「GR東葛のストロングポイント」左からオルビン・レジャー選手、リース・パッチェル選手、マリティノ・ネマニ キャプテン

(鈴木潤)

2025.03.13[九州KV]充実の30代から、初々しい40代へ。山田章仁はこれからも“刺さる生き方”を貫きとおす

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第8節
2025年3月15日(土)14:30 東平尾公園博多の森陸上競技場 (福岡県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs NECグリーンロケッツ東葛

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

今年40歳となる九州電力キューデンヴォルテクスの山田章仁選手

ようやくあの男が帰ってきた。前節、今季初のメンバー入りを果たし、後半から40分間プレーした山田章仁だ。今季は開幕前に足を痛めた影響から欠場が続いていたが、ようやくのカムバックに本人も「試合が一番楽しい」と充実の表情を浮かべた。

そんな山田章仁自身は今年7月で40歳を迎える。しかし、自身はその数字について少し変わった捉え方をしている。

「40歳ということを意識するとすれば40代のみなさんに勇気を与えたい。もっといくと30代最後の年にもなるので、30代のみなさんにも勇気を与えたい」

一体、どういうことなのだろうか。その真意をさらに聞いてみた。

「僕は仕事がラグビーなので、ラグビーという仕事を通じて30代がすごく充実していたということを30代のみなさんには伝えたい。そして、人生の先輩である40代のみなさんにも新入生の40歳、“40代1年生”の僕が張り切って頑張れば、小学校6年生、中学校1年生の先輩たちは、さすがに小学校1年生とかけっこしたら『負けられない』と思うじゃないですか。そんな存在になりたい」

今節は復帰後、初のホストゲームとなる。「電話やメールじゃなくてラグビー選手の山田章仁を生で見てもらう」という思いで3年前、地元に戻ってきた山田章仁にとっては大事な時間だ。30代最後の瞬間をいままさに駆け抜けているウイングには伝えたい思いもある。

「自分で年齢のことを言うのはイヤですけど、『30代ラストで張り切っている山田がいるぞ』というのは感じてもらえたらいいかなと思います。30代のみなさんには『あ、山田は30代をそうやって過ごしたんだな』と思ってもらえるような、そういう事例が一つあると、30代のみなさんが何かに悩んだときに物差しの一つとしていいんじゃないかな」

30代に刺さる生き方をしている男が九州電力キューデンヴォルテクスにはいる。“新入生”が間もなくやってくる40代にもきっと刺さるものはあるだろう。この男、一見の価値あり。新年度を迎える前にこの男を見ておいて損はない。

(杉山文宣)

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