2025.04.10[RH大阪] 大阪の誇りとなるチームになるために。社会貢献活動を通じて芽生えた、地域との絆

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第11節
2025年4月12日(土)12:00 ヤンマースタジアム長居 (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 vs 花園近鉄ライナーズ

レッドハリケーンズ大阪(D2)

大阪市立小学校での挨拶運動

今節のレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)のホストゲームは、“大阪ダービー”だ。大阪市を拠点とするRH大阪と東大阪市を拠点とする花園近鉄ライナーズが、互いに大阪府内のホストエリアを代表する誇りをもってヤンマースタジアム長居で対戦する。

今季、スローガンに『大阪UP』と掲げたRH大阪。区民アンバサダー活動を通じて大阪市の人たちと接する機会が増えれば増えるほど、ホストタウンへの愛は深まる一方だ。

それぞれが担当の区を持った区民アンバサダーの選手たちはみな、NTTドコモの社員選手。社業とラグビーを両立する中で、その活動に充てる時間を捻出しなければならない。試合に出た翌日に区民アンバサダー活動を行う選手もいるが、活動が始まってから丸2年。途中で投げ出すどころか、「継続性を重視し、同じところに何度か行けるようにして、絆を深めている」とキャプテンの杉下暢は話す。

区役所をはじめ、区内の学校長の会合や自治会の連合会などに足を運び、自分たちが役に立てることはないかを尋ね、ほかの区での事例を踏まえて提案もする。訪問する際のアポイントを取っているのも、選手たちだ。活動内容は、学校でのあいさつ運動や夢授業、子供食堂の訪問、お年寄りとの健康体操、消防団の活動、清掃活動など多岐にわたる。社業を生かしたお家芸、子供やお年寄り向けにスマートフォンを安全に使うための講習も行う。活動の中では、参加した人たちと一緒に全力で盛り上がり、楽しんでいる。

お年寄り向けスマホ教室
>北区交通安全大会

ラグビーチームとしてだけでなく、さまざまな価値を生み、豊かな社会に貢献していく。喜んでもらえるのであれば、小さなことでも“やりきる”。その姿勢やマインドも伝わってのことだろう。応援したいという気持ちを受け取る機会も増えてきた。たとえば杉下が担当している長居公園が所在する東住吉区では、シーズンが開幕する前の1週間、区役所の職員がチームジャージーを着用して業務にあたってくれたという。試合当日の観客席からは、選手の名前を呼ぶ声援も増えた。

「応援してくれる人にエナジーをもらうばかりではなく、自分たちもエナジーを与えたい」(杉下)。その思いもまた、強くなる一方だ。“大阪ダービー”だからこそ、その強い思いはグラウンドで表現し、「自分も頑張ろうと思ってもらえるような」杉下)ゲームにしたい。RH大阪の原点に立ち帰り、泥臭く、タフに、粘り強く。自分たちが大阪市を誇りに思うだけでなく、大阪市の誇りとなれるよう、80分間を戦い抜く。

(前田カオリ)

西区九条東納涼盆踊りにも参加

2025.04.10[花園L] 忠実に、献身的に。コンバートにも気負わず、自らの背中で示すチームへの姿勢

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第11節
2025年4月12日(土)12:00 ヤンマースタジアム長居 (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 vs 花園近鉄ライナーズ

花園近鉄ライナーズ(D2)

花園近鉄ライナーズのミッチェル・ブラウン選手。「花園Lにプロ選手としてのスタンダードをもたらしたと思っています」

2試合連続で失点を一ケタに抑え、3連勝と波に乗る3位の花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)がレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)とのビジターゲームに挑む。

ディビジョン2の上位2チームが参戦資格のあるD1/D2入替戦に向けて一戦必勝のスタンスは変わらないが、ホストゲームで敗れている”大阪ダービー”だけに目指すのは当然リベンジである。

攻守の歯車がガッチリかみ合ってきた花園Lで、今節は昨年8月に加入したミッチェル・ブラウンがナンバーエイトで先発する。

「NPC(ニュージーランド州代表選手権)のタラナキでプレーして以来になりますね」

横浜キヤノンイーグルス時代にはフランカーやロックを主戦場としてきたブラウンにとって、来日後初めてのポジションでのプレーは、復調中のチームを支えていたアキラ・イオアネの負傷によって巡ってきたコンバートだった。

ただ、単なる”代役”ではないことは向井昭吾ヘッドコーチの言葉が雄弁に物語る。

「ミスをしない、ペナルティをしない、そして(守備の)リアクションを早くする。今季のターゲットにしていたこの3つができる選手を選んだ。ただ、それだけですよ」

忠実かつ献身的にチームを支えてきたブラウンは、新天地となった花園Lではプレーだけでなく、その背中でもチームに好影響をもたらしている。

「花園Lにプロ選手としてのスタンダードをもたらしたと思っています。若い選手も多いので、彼らに対してプロフェッショナルな意識や態度を示してきました」とブラウンは胸を張る。

26歳の岡村晃司はチームの中堅だが「人柄も優しいし、いつもニコニコしているけど、ピッチに入ると相手を倒すという闘志を見せてくれますし、その意識がチームに浸透してきた感はあります」と、ブラウンの存在感を語ってくれた。

ホストゲームでは17対36で完敗を喫した前回のRH大阪戦ではメンバー外だったミッチェル・ブラウン。勝利が不可欠な大一番で巡ってきた大役にも、気負いはまったくない。

「付ける背番号が違うだけで、役割は大きく変わりませんから。ロックでもフランカーでプレーするときでも一緒。ディフェンスで高いワークレートを出すことです」

ピッチ内で見せる激しさからは想像もつかないジェントルマンな口ぶりには、秘めた自信と決意がにじみ出ていた。

(下薗昌記)


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