2025.04.17[GR東葛]好調を維持する天性のトライゲッター。後藤輝也、頂上対決でも“華のあるトライ”を

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第12節
2025年4月19日(土)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 vs 豊田自動織機シャトルズ愛知

NECグリーンロケッツ東葛(D2)

NECグリーンロケッツ東葛の後藤輝也選手。今シーズンの出場回数はまだ5試合。にもかかわらずここまで7トライでDIVISION 2でのトライランキングは4位タイ

NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は、第6節の清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)戦から破竹の6連勝を続けている。いずれもボーナスポイントを獲得し、この6試合で30ポイントを積み上げて、首位の豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)を追走する。

そしてこの6連勝において、出色のパフォーマンスを見せているのが後藤輝也である。

昨季のけがの影響で、今季の前半戦は思うようにコンディションが上がらなかったが、復帰した第6節の江東BS戦以降は5試合で7トライを挙げる活躍を見せ、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝くこと2回。紛れもなくチームの6連勝に貢献した選手の一人だ。

とにかく後藤のトライには華があり、白熱した試合にさらなる彩りを加えて見る者を魅了する。
例えば第7節・九州電力キューデンヴォルテクス戦での先制トライ。リース・パッチェルのキックパスを、トライゾーンでジャンピングキャッチすると、チャーリー・ワージントンのタックルを受けながらも体を反転させてグラウンディングに成功した。アクロバティックなトライだった。

「うまくキャッチできたので、あとは置くだけでした。ちょっとキャッチが怖かったですけどね」

前節の江東BS戦で見せたトライも然り。GR東葛はマリティノ・ネマニと藤井達哉によるラインブレイクで一気に敵陣へ侵入。最後はトライライン際を固める複数の相手選手のわずかな隙間を縫うように、低い体勢で飛び込んだ後藤の右腕が伸びた。TMOの結果、トライが認められた。

「(スクラムハーフの)タツ(藤井)が(ネマニからのボールを受けに)行ったので、そうなるとハーフがいない。(藤井からのボールを)誰がさばくかなんですが、僕が最初に(ボールをさばきに)行ってタツからボールを受けたときに、ボールをさばくよりトライできると思ったのでそのまま自分で行きました。本当にギリギリでしたけど、こちらからはライン上に(ボールを)置けたのは見えたので、みんな(TMOの判定待ちの時間に)不安そうにしていたから『絶対に置けている』と言っていました(笑)」

なぜこうも難易度の高いトライを決めてしまうのか。その問いかけに、後藤は「もちろんミスをしないことがいいんですけど、難しいプレーだからミスをしても、ノックフォワードになっても、相手のスクラムになるだけ。そうなったらもう1回攻めればいい」と答える。失敗を恐れない前向きなマインドが、相手の虚を突くひらめきとアイディアに富んだプレーを生み出すのだろう。

今節はS愛知との上位対決を迎える。ビジターで対戦した第4節は、ニック・フィップスの大けがというアクシデントもあり、GR東葛は0対42の完敗を喫した。

あれから3カ月。現在、GR東葛は6連勝と勢いに乗り、天性のトライゲッター・後藤も好調を維持している。

ディビジョン2の頂上対決。リベンジを果たす準備は整った。

(鈴木潤)


2025.04.17[S愛知]持ち続けた情熱、そして友への対抗心。リーグワンデビューに至る数奇なストーリー

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第12節
2025年4月19日(土)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 vs 豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

リーグワン初キャップなるか。豊田自動織機シャトルズ愛知のプロップ、平林龍磨選手

9連勝で首位を走る豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)は、ビジターゲームで2位・NECグリーンロケッツ東葛と対戦する。好調を維持するチーム同士、見ごたえのある試合になることは間違いない。

今節に向けて徳野洋一ヘッドコーチは「前節は後半に途中投入した選手たちのインパクトに課題が残ったので、試合に出るメンバー、出ないメンバーも含めて選手全員の努力が大事」だとキーポイントを話す。

そんな重要な責務を担うリザーブメンバーからリーグワン初キャップを刻もうとしているのは、2023-24シーズンに白鷗大学から加入した平林龍磨。初キャップを見据えて「うれしさと緊張が半分ずつですね」と率直な感想を語る男には、ここにたどり着くまでにさまざまなストーリーがあった。

父と兄の影響で5歳からラグビーを始めた平林。ただ、高校卒業と同時にラグビーは引退するつもりだった。しかし、「進学先の白鷗大学のラグビー部を見学しに行ったら、なぜかそのまま練習に参加させられて、入部することになりました」。

少し変わった理由でラグビーを続けることになったが、その情熱は消えることなく、4年間を過ごす。「小さいころからラグビーの試合を観るのが好きで、漠然とリーグワンでプレーしたいという気持ちはあったけど、現実的に考えると……。とても(プロ選手に)なれないなという気持ちもあり、葛藤がありました」。

しかし、ここでも平林のラグビー人生を変える出来事が。「宇都宮ラグビースクールで同期だった、八木澤龍翔が静岡ブルーレヴズに加入することが決まりました。当時ともに頑張ってきた選手がリーグワンの舞台に行くことが悔しくて、自分もあきらめ切れないと思いました」。

ラグビー選手になることが、明確な目標に変わった瞬間だった。「とにかく必死だった」という練習会を経て、S愛知へ加入してからも、最初は壁にぶつかった。それでも、毎日欠かさずジムトレーニングを行うなど努力を怠ることはなかった。「練習は日課みたいなものなので」。少しずつだが着実に、成長を遂げてきた。

「試合になればミスをすると思います。でも後悔はしないように、自分らしいプレーにどんどんチャレンジしていきたいと思います」

ラグビーに対する情熱を持ち続けたからこそ、訪れたチャンス。恐れることなく、アグレッシブに戦い抜いてほしい。

(齋藤弦)

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