2025.04.16[花園L]伸び盛り、24歳の“持っている男”。試合に出続けた先に待つ、新たな喜びのために

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第12節
2025年4月18日(金)19:00 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ vs 九州電力キューデンヴォルテクス

花園近鉄ライナーズ(D2)

はたして今節の試合でも“持っている”のか、花園近鉄ライナーズの江川剛人選手は14番で先発する

前節、レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)との“大阪ダービー”で勝利し、連勝を4に伸ばした花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)をホストゲームで迎え撃つ。

RH大阪戦でハットトリックを達成し、勝利に貢献した江川剛人にとっては1月11日のRH大阪戦以来となる今季3度目の先発となった。

『天は自ら助くるものを助く』、とは言ったものである。「勝っているチーム状況で選手を代えるのは簡単じゃない。でも彼はチャンスが来て自分でモノにしました」と向井昭吾ヘッドコーチは目を細めた。

前節のハットトリックは二つの“想定外”がもたらしたものだった。当初、メンバー入りする予定ではなかった江川だが負傷者が出たこともあり急きょ、リザーブスタートに。そして前半17分、セミシ・マシレワが負傷したことでピッチに送り出されたのだ。

「もう出るん?って感じでした」と本音を明かした江川だったが、彼は“持っている男”である。

デビューイヤーだった2023-24シーズンには埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)戦でリーグワン初出場を飾り、デビュー戦でのトライに成功。同じ小学校と中学校で学び、同じラグビースクールでプレーした大先輩の堀江翔太さんと同じピッチに立っていた。

花園Lのホームページで掲載される選手プロフィールで江川は「ラグビー人生で一番うれしかったことは?」との項目に「堀江翔太さんと試合できたこと」を挙げている。

ディビジョン2史上最多となる12,452人の観客を集めた“大阪ダービー”で達成したハットトリックは「自分が覚えている限りは(ラグビー人生で)初めてです」と江川は胸を張ったが、抜群のスピードで抜け出した2つ目のトライや自陣から90m近くを独走した3つ目のトライなど、自慢の走力を存分に披露してみせた。

“持っている男”はデビューイヤーの悔しさをいまだに忘れていないという。「あの時(埼玉WK戦)はそのまま試合に出続けられる実力が付いていませんでした。今度はチャンスを逃さない実力を付けていきたいです」(江川)。

大舞台でキャリア初のハットトリックを達成しても、「ラグビー人生で一番うれしかったこと」は堀江さんとの思い出だと明かす江川。ただ、伸び盛りの24歳は自らが試合に出続けた先に、“新たなうれしさ”が待っていることを知っている。

(下薗昌記)

2025.04.16[九州KV]あのときがあるから、いまがある。古巣戦が「楽しみ」で、「勝ちたい」理由

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第12節
2025年4月18日(金)19:00 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ vs 九州電力キューデンヴォルテクス

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

対戦する花園近鉄ライナーズについて「本当にたくさんのことを学ばせてもらいました」と語る、九州電力キューデンヴォルテクスのフッカー、王鏡聞選手

2試合続けて、ラストプレーでの逆転負けで2連敗となってしまった九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)。今節は花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)とのビジターゲームに臨む。九州KVにとっては2週連続のフライデーナイトマッチで3試合ぶりの白星を狙う。

「古巣との試合は楽しみです」

今節を前に王鏡聞は高揚感を抱いている。王にとって花園L(当時は近鉄ライナーズ)は大阪体育大学を卒業後、4シーズン過ごした古巣だ。

「当時は金哲元という選手がいて、韓国人のラグビー選手で一番成功した選手だと言われていました。その人に憧れて自分も朝明高校、大阪体育大学、花園Lとまったく同じ道を歩みました」

憧れの人と同じルートを辿り、同じチームでプレーする。王にとって花園Lは特別なチームだった。だからこそ、今回の試合を「楽しみだし、心待ちにしている」と顔も自然とほころぶ。

「一緒にやった選手は本当に少なくなりました。(松岡)勇さん、野口(大輔)と田中健太の3人だけだと思います。僕の同期だった選手たちももう辞めてしまっているので、知り合いはだいぶ少なくなっています。再会できるのはうれしいですし、みんながまだラグビーをやっているのもうれしい。顔を見られるだけでもうれしいし、対戦できたらもっとうれしい。良いライバルとして楽しみにしています」

自分自身も長く現役を続けられているからこそ、当時の仲間たちとの再会は格別なものがある。そして、長く現役を続けられている理由を与えてくれたのも花園Lだった。

「最初は大卒でがむしゃらにやって、けがをするという繰り返しでなかなか試合に出ることができなかったんですけど、花園Lには有名な選手もいて、一番上にはトンプソン ルークがいました。時には厳しい言葉も掛けられましたし、本当にたくさんのことを学ばせてもらいました。本当に成長できたと思いますし、当時の自分があるからいまもこうやってラグビーを続けていられるんじゃないかなと思います」

自分の原点とも言うべき、場所、チームとの対戦を前に王はこう言い切った。

「古巣戦なので、勝ちたいです」

(杉山文宣)

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