2025.05.02[日野RD]頼れる男が大一番で待望の戦列復帰。チームメートと「誇り」を胸に3連勝に挑む

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第13節
2025年5月3日(土)12:00 森エンジニアリング桐生スタジアム (群馬県)
日野レッドドルフィンズ vs 豊田自動織機シャトルズ愛知

日野レッドドルフィンズ(D2)

診断よりも早期に復帰してきた日野レッドドルフィンズのオーガスティン・プル選手。本来は9番だが、この試合は10番としてゲームをコントロールする

日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)、今季のレギュラーシーズン最後のホストゲームはリーグワン初開催となる森エンジニアリング桐生スタジアムで行われる。現在、ディビジョン2首位の豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)にエキサイティングなラグビーを展開し、群馬・桐生市で初めてラグビーを観るというファンも大いに喜ばせたいところだ。

今節、オーガスティン・プルが10番で先発する。3月1日に行われた第7節、S愛知とのビジターゲーム以降、欠場が続いていたオギー(プルの愛称)だが、首位相手、かつD2残留を決められる可能性もある重要なホストゲームに間に合った。

「右手もそうだし足裏も折れていた部分があったので……。出場できない期間はとにかく試合に出たいという思いでいっぱいだった」というオギー。ただ、その間も彼はニュージーランド代表やトンガ代表として世界を相手に戦った経験を日野RDの若い選手たちに伝え続けた。「この2カ月間、外からチームを見て感じたことを一言で表せば『誇り』だ。ミーティングではどこが良くてどこが悪いか、を率直に伝えた。それに対して選手のみんながしっかりと理解し、自分の中に落とし込んで成長してくれた。そのことは本当に『誇り』というほかにない」。そんな若手に刺激されたのか、彼自身も懸命のリハビリで、当初の「復帰まで3カ月」という診断を覆し、2カ月で戦列に戻ってきた。

今回は司令塔として先発するオギー。前回対戦では12番でフル出場も19対54と苦杯をなめた。それだけに必ず借りを返したいと意気込む。「首位のS愛知とぶつかるのはビッグチャレンジだが、みんなの力が上がり、結束と自信をもってプレーできていると感じるので、『間違いなく良い試合ができる』とワクワクした気持ちが止められない。僕自身も全力でプレーをして、勝利に貢献したい」。

世界レベルのゲームコントロールは必見だ。若き仲間とともに『誇り』をもって戦い、オギーが日野RDを3連勝に導く。

(関谷智紀)



2025.05.01[S愛知]「殻を破りたい」と来日して7年。異国の地で身に付けた“自立心”で大きな壁を乗り越える

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第13節
2025年5月3日(土)12:00 森エンジニアリング桐生スタジアム (群馬県)
日野レッドドルフィンズ vs 豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

豊田自動織機シャトルズ愛知のタマ・カペネ選手。今シーズンはここまで全試合に先発で出場を続けている

前節の敗戦で連勝が9で止まった豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)は、ビジターゲームで仕切り直しの一戦を迎える。相手は2連勝中の日野レッドドルフィンズだ。

前節のNECグリーンロケッツ東葛戦でイエローカードの提示を受け、悔しさをにじませたタマ・カペネは「前回のミスを取り返す活躍を見せたい」と意気込む。今季すべての試合に先発出場中で、S愛知の屋台骨を支えるフランカーだ。

ニュージーランド出身のカペネは、流通経済大学への入学を機に日本へやってきた。人生を変えるような大きな決断をした理由について「自分の殻を破りたかったから」と話す。グラウンドを走り回り、激しいタックルやボールキャリーで貢献する姿からは想像できないが、もともとシャイな性格で、人前で話すことに苦手意識があったという。それでも「思い切って挑戦しよう」と日本行きを決めた。

それから約7年が経過した。異国の地で生活する中で成長した部分を問うと「一番身に付いたのは自立心です」と返答がきた。チームメートであり、プライベートでも仲がいいナイバルワガ セタが「以前はお店の予約をするときも僕に任せ切りでしたけど、最近は自分から日本語でするようになりました」と証言してくれたように、ラグビー選手としてだけでなく、人間としても成長を遂げている。

この“自立心”はチームにとっても大きなテーマだ。「今季は相手にプレッシャーを受けているというよりも、自分たちで崩れてしまっている傾向がある」と徳野洋一ヘッドコーチが指摘するように、S愛知は一度悪い流れになると、再び勢いを取り戻すことができていない。ディビジョン1昇格を目指すレースの“最後の直線”に入り、スパートを掛けたいチームに立ちはだかる大きな壁だ。

この壁を打ち破るには、選手たち自身が強い覚悟で、自分たちのラグビーを信じる必要がある。苦しいときに立ち上がるのは、あくまで自分自身。新たな環境に勇気をもって飛び込んだカペネのように、一人ひとりがグラウンド内で自立し、再び歩みを進めたい。

(齋藤弦)

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