2025.01.03[中国RR]兄弟の存在は、常に問いかける「自分は何者か」。その答えは芝の上の闘争の中に

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第2節
2025年1月5日(日)13:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 vs 中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

「上は努力、下は才能。僕は運で生きてきた」と語る、森山迅都選手。「自分の『頑張っている』は『頑張っていない』に等しいとも思う」

偉大な兄弟に挟まれて、自分が何者かを問う。

「兄弟がすごすぎるので二人の存在はイヤですよ。『ラグビーなんて辞めたい』と思ったことは何回もあります」。そう話すのは中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)の森山迅都。ラグビーにはいつも兄弟の存在があった。

兄は同じく中国RRの森山皓太。熱い闘志と強烈なタックルを武器に活躍し、昨季はディビジョン3で二度目のゴールデンショルダーに輝いた。弟は帝京大学2年生の森山飛翔。1年目から試合に出て大学選手権優勝に貢献し、昨年5月には兄弟の夢でもある日本代表に選出された逸材だ。

「上はゴールデンショルダー、下はジャパンで、何者であるかを証明している。皓太は努力の天才でコンクリートから花が咲いた感じ。飛翔は才能と努力で花壇にきれいな花を咲かせている。それを近くで見ていて、『俺は何か努力したか?』と思うし、自分の『頑張っている』は『頑張っていない』に等しいとも思う」

次男の迅都は中学で本格的にラグビーを始め、当時から恵まれた体格を生かして全国大会や京都選抜も経験。高校や大学でも活躍してきたが、「上は努力、下は才能。僕は運で生きてきた」と兄弟との比較が常にある。

ただ、兄弟の存在が支えになったのも事実。「僕は甘い人間なので頑張らないこともある。でも、自分がいまこの練習を休んだらと考えると、『飛翔なら休まないだろうな』、『皓太ならもう1セットやるだろうな』と思いながら練習を始める。兄弟がいるからこそ頑張ろうとも思います」と刺激を受けてきた。

ラグビー選手として強い個性を持つ兄弟に挟まれて、辞めたいと思ったことはある。それでも打ち込んでこられたのは自分自身を証明するためだ。

「劣等感を感じたら病んでしまうだけだし、いま辞めたら自分の数年間はなんだったのかとも考えてしまう。だから、僕は僕らしく自分が何者かであるか、存在価値を見いだすために、反骨心を持ってラグビーを続けています」

昨年4月に憧れの兄とのプレーを望んで中国RRに加入。もちろん兄の影がつきまとうが、それも承知で選んだ道だ。今季の開幕戦では途中出場でリーグワンデビューを飾り、兄とも一緒にプレーした。今節のルリーロ福岡戦もリザーブメンバー入り。再びグラウンドに立てば自分の色を出していく。

「タックルはガッツリいきたい。出だしで自分の間合いを作れたら体が勝手に動いてくれるので、相手がボールを持った瞬間にはもう自分が相手の足首に入っているイメージで頑張りたい」

自分は何者なのか。常に自問自答してきたその答えは兄弟の狭間にはなく、芝の上の熱い闘争の中にある。相手に立ち向かうタックルで森山迅都の名を上げていく。

(湊昂大)

2025.01.03[LR福岡]英雄が見せるポジティブなチャレンジマインド。初勝利への流れは整った

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第2節
2025年1月5日(日)13:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 vs 中国電力レッドレグリオンズ

ルリーロ福岡(D3)

日本代表でも活躍したカーン・ヘスケス選手。「どのチームにも戦術や戦略があると思うが、私はその枠にはまらないプレーをしたいと考えている」

ともに黒星スタートとなったルリーロ福岡(以下、LR福岡)と中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)の対戦は、両チームにとって新年最初の試合となるだけにここで初勝利をつかみ、再スタートを切りたいところだ。ホストゲームのLR福岡は、開幕戦でヤクルトレビンズ戸田に17対25で惜敗したものの、試合内容には手ごたえを感じている。

豊田将万ヘッドコーチは開幕戦を振り返り、「途中までは自分たちのラグビーができていた。ただ、規律の部分でペナルティが増えてしまい、相手にじわじわと自分たちのミスを突かれ、自滅した形になった」と語る。その反省を胸に、「大きく戦略を変えるつもりはなく、マインドセットの部分に重点を置いた。ゲームを作るために何が必要かを考え、それを選手たちにインプットした」と続けた。年末年始の2週間、選手たちは一つひとつのプレーに全力を注ぎ、ラグビーの本質と向き合う日々を過ごした。

年末年始も休むことなく、大晦日も元日も練習に励んだ選手たち。その姿勢は、キャプテンの三股久典の言葉に象徴されている。「この時期にみんなで集まれるのは本当に幸せだなと感じながら練習しています。世間は年末の穏やかなムードですが、僕らには僕らのシーズンがあり、それに向けてしっかり準備していきたい」と語り、チームが一丸となっている様子を明かす。また、「特別なことをするわけではなく、自分たちのラグビーをしっかりやり抜くことを確認した」と意気込みを述べた。LR福岡の誇りを胸に、選手たちは「自分たちのラグビー」を全員で体現することが勝利への道筋だと信じている。

今節に向けて、LR福岡は序盤から主導権を握る戦い方を目指す。豊田ヘッドコーチは、「追いかける形にしたくない。試合の序盤で先行し、自分たちに有利な状態で試合を進めることに焦点を当てた」と語り、試合開始からフルスロットルで挑む意気込みを見せる。開幕戦では途中出場だった元日本代表のカーン・ヘスケスも、チームの勝利に向けた重要なピースだ。「どのチームにも戦術や戦略があると思うが、私はその枠にはまらないプレーをしたいと考えている。例えば、ゲインラインの突破やオフロードプレーなど、ほかの選手とは一味違うプレーを心掛けている」と語る表情は、自信に満ちあふれていた。

ラグビーワールドカップ2015イングランド大会では、南アフリカを下す決勝トライで『ブライトンの奇跡』を生んだ英雄のヘスケスは、今季新たな挑戦を迎えている。チーム事情からウイングからフランカーへの転向を決意し、「自分のキャリアを生かしつつ、チームのスタイルに自分のラグビースタイルを加えていきたい」と前向きに取り組んでいる。そのポジティブなエネルギーはチーム全体に伝播し、初勝利への流れを生み出している。

新年最初の試合、LR福岡は新たなスタートを切るため、全員がそれぞれの持ち場で全力を尽くす。勝利への熱い思いを胸に、選手たちはグラウンドに立つ準備を整えている。

(柚野真也)

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