2025.01.10[中国RR]1年ぶりの勝利も、見据えるは次の1勝。自分たちのラグビーを信じて実行するだけ

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第3節
2025年1月12日(日)12:00 栃木県グリーンスタジアム (栃木県)
ヤクルトレビンズ戸田 vs 中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

「しっかり準備して勝ちを積み重ねていきたい」と気を引き締める西川太郎 共同キャプテン

中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)は前節のルリーロ福岡戦で39対17の勝利を収めた。昨年1月27日のマツダスカイアクティブズ広島戦以来、プレシーズンを含めて約1年ぶりの白星となった。

勝利に飢えていた。昨季は接戦を演じて「いい試合だった」と言われることも増えた。だが、シーズンを通じて1勝で終わり、共同キャプテンの西川太郎は、「もう“いい試合”はいらないんですよ。スポーツの醍醐味は勝ってなんぼだし、僕らも強くなるために練習をしているし、いい試合ではなく勝つためにやっている」と勝利への意欲を募らせていた。

勝てなかった約1年間、チームを引っ張る西川は「何が足りていないのか」と何度も考えてきた。ただ、劇的にチームが変わるような答えはない。毎日グラウンドで仲間と同じ意識をもって地道に汗を流すしかないのだ。

「毎回の練習で頭を使って、考えてやらないと絶対に勝てない。ただ練習をやるだけじゃなくて、何のための練習か、どういうアタックやディフェンスをしたいのかを一人ひとりがしっかり意識してやれば、結果がついてくる。そのためのチームへの声かけは意識していたし、僕だけしゃべっていても意味がないので、それぞれのリーダーを頼りながらチームに浸透させていきました」

前節はそうした練習の成果がかみ合って勝利をつかんだ。西川は、「ブレイクダウンでしっかり圧力をかけて、相手にいいテンポでボールを出させないように練習でフォーカスしてきた。そうしたディフェンスができていたので結果につながった」と胸を張り、「1年ぶりなので安心したし、今回勝てたことで自分たちはディフェンスのチームで、自分たちのラグビーをすれば勝てるという自信になった」とチームを再認識できた。

中国RRにとって大きな1勝だが、これはスタートラインに過ぎない。さらに結果を求めるチームの雰囲気を西川は感じている。

「勝ったときは意外とあっさりしていて、喜び過ぎず、みんなが次をみていたところが僕は良かったと思う。もちろんうれしいけど、これが始まりだし、チームとして『この勝ちから得られるものを吸収してもっと勝っていこう』というマインドでやれている証拠だと思う」

次は開幕2連勝中のヤクルトレビンズ戸田との対決。「1勝で終わったら昨季と一緒だし、何の意味もない。しっかり準備して勝ちを積み重ねていきたい」と西川は気を引き締める。

「強みであるディフェンスを出して流れをつかめれば、絶対に結果はついてくるので、もうやるしかない。いまは勝てるチームになる過程だと思うし、そういうチームでプレーできるのはすごくうれしい」

勝利を求めて地道に流してきた汗はチームを変えていく。あとは自分たちのラグビーを信じて実行するだけだ。

(湊昂大)

2025.01.10[L戸田]積み上げてきた信頼と自負。大の負けず嫌いが結果で成長を示す

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第3節
2025年1月12日(日)12:00 栃木県グリーンスタジアム (栃木県)
ヤクルトレビンズ戸田 vs 中国電力レッドレグリオンズ

ヤクルトレビンズ戸田(D3)

太田景親選手。「こうと決めたらやり抜かないとモヤモヤしてしまう性格」で、さまざまなものを積み上げてきた

地道な積み重ねで信頼を勝ち獲る選手がいる。開幕2連勝を飾ったヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)のウイング、太田景親だ。

2試合前の開幕戦、ルリーロ福岡戦はほぼ経験がなかったフルバックで出場することになったが、見事にアジャストして勝利に貢献してみせた。自分はフルバックもできるんだ――。新境地に挑んだ太田にとっても自信につながる出来事だった。

河野嵩史ヘッドコーチは「けが人が出る中、景親はウイングの中ではパスもキックもできる」と迷うことなく決断していた。太田自身が課題とするパスについて、昨季から毎日の全体練習の前後に仲間と欠かさず取り組みながらみるみる精度を上げていく姿を見届けた上での抜擢だった。積み重ねた信頼が大きかった。

男三人兄弟の末っ子。大の負けず嫌い。「こうと決めたらやり抜かないとモヤモヤしてしまう性格」は子どものころからだ。一人で公園に行って「このパントキックを何本キャッチするまで家に帰らない」と目標を定め、日が暮れるまでやり続けるのが日常茶飯事だった。

中京大学の4年生になる時期にけがで長期離脱したときには「けが人はより強くなって戻らないといけない」という自負のもと、毎日5食をとることに挑戦し、10kgの増量に成功してカムバックした。もう増えないと思っていた体重もやり続ければ増えるんだ――。この成功体験もいまにつながっている。

開幕2連勝をつかんだL戸田では現在スターティングメンバーを任されるが、あるのは危機感だけだ。

「ウイングの中で一番の実力で試合に出られているという感覚はありません。ウイングとして1対1は絶対に抜き去るとか、トライを奪い切るための粘りや強引さは身につけていかないと」

太田は心に決めている。今後何があろうと地道に積み重ねていく。毎日、必ず何かに挑戦し、日々前進する。やらずに後悔する、という選択肢はあり得ない、と。

初のホストゲームとなる第3節、相手の中国電力レッドレグリオンズには故郷・長崎のレジェンドである岩永健太郎や山口莉輝が在籍する。太田はこれまで選抜云々とは関わりがないキャリアを歩んできたが関係ない。積み上げてきたものに自信がある。それでリーグワンの舞台にたどり着いた自負がある。

彼らに、あのころからの成長を示す。そして、必ず開幕3連勝に貢献してみせる。

(鈴木康浩)

試合詳細

見どころ・試合レポート一覧