2025.01.18[L戸田]「上には上がいる。だから辞められない」30歳で知った、「楽し過ぎる」リーグワンの舞台

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第4節
2025年1月19日(日)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 vs ヤクルトレビンズ戸田

ヤクルトレビンズ戸田(D3)

リーグワンに上がって、簡単にトライが取れなくなった。だから今が楽しいと古屋篤史選手は言う

正直、体は満身創痍だ。最前線における激戦のダメージは年々蓄積している。それでもフォワードとして体を張り続けている。このチームの3番というポジションをずっと守り続けてきた使命感がそうさせている。

ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)のプロップ、古屋篤史は30歳を過ぎても第一線でプレーできる喜びをかみ締めている。

「この年になるとラグビーを辞めていく同期も多いんです。家庭の事情で辞めていった同期もいるし、草ラグビーをやっていた人たちも30歳を区切りにすることが多い。『そういう人たちのぶんも頑張ろうかな』と、ふと思うんです。『自分がいるレビンズはこんなに強くなっているんだぞ』というのを見せたいじゃないですか」

社会人になりたてのころは楽しくラグビーを続けられればいいやと思っていた。それが、L戸田がトップイーストリーグで優勝争いができるようになってから考えが変わった。ずっと応援してもらっている人たちに恩返しをするには「優勝しかないだろ」と思えたからだ。そうして今季、リーグワンの舞台までたどり着いた。

それでも、現役引退は常に考えている。ずっと考えてはいるが、シーズンが全部終わったときに「もう一度やってみようかな」という思いが込み上げてくる。

「勝つとやっぱり楽しいので、辞められないんです。『こんな年齢になって、ラグビーを純粋に楽しめる仲間たちと本気でラグビーに向き合えていること自体、すごく幸せなことだよな』と思っちゃうんです。監督には冗談半分で『今年引退させてください』と言っているんですけど、結局は継続している。その繰り返しなんです」

今季、またラグビーを辞められない理由が増えた。初参戦したリーグワンの舞台が楽し過ぎるのだ。

「昨季までのトップイーストリーグだと相手ゴール前に侵入したとき、正直、フォワードの僕がボールをピックしたら結構な本数のトライが取れていたんです。それがリーグワンに上がってからは一切なくなりました。楽しいんですよね、それが。これがリーグワンか、と。やっぱり上には上がいるんだなと、ワクワクが止まらないんです」

古屋は、首位に立つマツダスカイアクティブズ広島と戦う今節もラグビーを全力で楽しむ。そして最前線で荒々しく表現する。レビンズはこんなに強いんだぞ、と。

(鈴木康浩)


2025.01.18[SA広島]好循環が生まれ、トライが増加。4連勝に向け「ディテールにこだわる」

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第4節
2025年1月19日(日)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 vs ヤクルトレビンズ戸田

マツダスカイアクティブズ広島(D3)

ウイングの亀井康平選手。「一人ひとりの役割がどんどん明確になってきているし、しかけるプレーも多いラグビーなので、やっている自分たちも楽しいんですよ」

今季のマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)はトライの数が大幅に増えている。ここまで3試合を終えて22トライ。1試合平均にすると7.3トライで、2試合で3トライ差以上の勝利を飾ってボーナスポイントの勝ち点1をプラスしてきた。

昨季が1試合平均3.9トライだったので、大きな上積みだ。その要因をここまで自身で3トライを取ってきた亀井康平は、こう語る。

「新しくヘッドコーチが来て、いろんな戦術、戦略が増えたことが一番大きいと思います。僕のトライが増えているのも、その戦術の中で味方がスペースを作ってくれているから。自分はトライを取るだけみたいな感じですし、みんなでいいラグビーをできているなと思います」

今シーズンから就任したダミアン・カラウナ ヘッドコーチは、プレシーズンにそれぞれのポジションでどういうプレーをすればトライが取れるかを伝えてトレーニングを行ってきた。実戦でヘッドコーチに伝えられてきたことを実行すると、実際にトライが次々と取れた。この成功体験が積み重なることで選手たちは各ポジションでより自分のやるべきことにフォーカスしてトレーニングに向き合うようになっている。

チームに好循環が生まれていることは亀井の表情を見ても明らかだ。

「一人ひとりの役割がどんどん明確になってきているし、しかけるプレーも多いラグビーなので、やっている自分たちも楽しいんですよ」

若者が伸び伸びと力を発揮できているところにも、チームの状態の良さが浮かび上がる。

ここまでチーム最多の29ポイントを挙げているルーキーの嘉納一千は、「すごくアタックもディフェンスも前に出られていて、勢いがあると思います。フォワードがどんどん前に出てくれるし、バックスもしっかりボール動かせますし、自分としてはすごくゲームを運びやすいです」と話し、今節に向けてもやることを明確にしていた。

スタンドオフの嘉納一千選手も「すごくゲームを運びやすい」と語る

「これまでやってきたプレーをする。それを心掛けたいと思います。当たり前のことを当たり前にして、細かい部分にもこだわっていきたい。今週はチームで『ディテール』とずっと言っているので、みんなでそこにしっかりこだわっていきたいです」

1月19日のヤクルトレビンズ戸田戦も、SA広島は各々が役割を突き詰めて戦う。

(寺田弘幸)

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