2025.01.23[LR福岡]大切なのは「地元の期待に応える意識」。その使命感がチームのエネルギーとなる

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第5節
2025年1月25日(土)12:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 vs マツダスカイアクティブズ広島

ルリーロ福岡(D3)

地元の高校で教師・ラグビー部監督として働きながらルリーロ福岡でプレーする長谷川寛太選手(写真中央)

開幕から4連敗と思うような結果を出せていないルリーロ福岡(以下、LR福岡)。その厳しい現状を豊田将万ヘッドコーチは「勝利は簡単ではないとあらためて実感しています。細かいプレーの積み重ねや最後まで全力を尽くすことができなければ、それが傷口となり、ゲーム全体に影響を及ぼすという印象です」と冷静に振り返る。

豊田ヘッドコーチが選手選考で重視するのは、技術や能力だけではない。「勝ちたいという気持ちや、チームのためにあきらめない姿勢を重視しています。私たちは地域を代表するチームとして活動しているため、地元の期待に応える意識をもつ選手を選びたい」と語る。この理念に合致する選手として名前が挙がる一人が、長谷川寛太だ。

長谷川寛太は、LR福岡が練習の際にグラウンドを借用する浮羽究真館高校で教師として勤務しながら、選手としても活動している。同校のラグビー部顧問として指導を行ったあと、LR福岡の練習に参加する日々に「スケジュールはタイトですが慣れてきました」と笑顔で語る。その表情からは、苦労を乗り越えてきた自信と充実感が垣間見える。

2023年7月に教員として働き始めた長谷川は、所属していた宗像サニックスブルースの活動休止を機に新たな道を選んだ。「ラグビーをしながら教員もできる」と聞いたとき、迷いはなかったという。指導にあたっては、時代に即したアプローチを心掛けている。「体で覚えさせる指導は過去のものです。いまは生徒が自ら考え、納得して行動できるような伝え方を意識しています」と語り、「基礎と基本があるから応用ができる」という考え方を徹底している。

指導者としての経験はプレーにも生きている。長谷川寛太は「教えることで自分の理解を再確認できる。生徒の前でプレーすることも多く、言葉だけでなく行動でも示さなければという責任感が自分の成長につながっています」と話す。「試合に出たらセットピースを安定させたい。フィジカルを生かしてゲインラインを突破し、チームに貢献したい」と述べている長谷川寛太は、直近2試合でリザーブから出場を果たしたものの、今節はメンバー外となった。それでも、「生徒たちが応援に来るからこそプレーで応えたい。その使命感が自分のエネルギーになっています。挑戦し続けることの大切さを伝えたい。それが、ラグビーでも勉強でも、成長への道だから」との思いは不変だろう。

長谷川寛太のように、「地元の期待に応える意識をもつ選手」(豊田ヘッドコーチ)が多いのがLR福岡だ。3試合ぶりのホストゲーム、リーグワン初勝利のために、それぞれが“地元への思い”を胸にグラウンドに立つ。

(柚野真也)

2025.01.23[SA広島]ポジションを転向した男たちの今季初出場。満ちあふれる意欲がチームを突き動かしていく

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第5節
2025年1月25日(土)12:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 vs マツダスカイアクティブズ広島

マツダスカイアクティブズ広島(D3)

龍野光太朗選手。スクラムハーフとしてのデビュー戦、「チャレンジしたい、自分の可能性を広げたい、という思いでスクラムハーフをやっています」

1月25日に第5節・ルリーロ福岡戦に臨むマツダスカイアクティブズ広島は、前節から大幅にメンバーを入れ替える。その意図をダミアン・カラウナ ヘッドコーチはこう言った。

「シーズンをすごくいい形でスタートできていますし、選手たちに機会も与えないといけません。久しぶりに試合に出る選手もいます。彼らにとってはすごく難しいことなのは分かっていますけど、スタートから出ることは大きなチャンスです。トレーニングを一生懸命やっているので、トレーニングでやっていることをそのまま出してくれればいいプレーができると思います」

久しぶりに試合に出場する機会を得た選手たちは、それぞれに心と体の準備をしている。

昨季はひざをけがして出場できなかった龍野光太朗は、「まずはけがから復帰して公式戦に出られる喜びがありますし、チームはすごくいい流れで今季を運べているので勢いを止めないためにも勝たないといけない。その責任も感じています」と話す。

そして、これまでのラグビー人生で初めてスクラムハーフで先発することに緊張もしていた。これまで主にスタンドオフやフルバックでプレーしてきた龍野は、今年7月から本格的にスクラムハーフに挑戦しているところだ。

「チャレンジしたい、自分の可能性を広げたい、という思いでスクラムハーフをやっています。もちろんまだほかの選手に比べて経験が浅いので、ゲームでは落ち着いて周りの声を聞いてプレーしたい。チームの中で役割はちゃんと与えられているので、それをしっかり全うしたいと思います」

2022-23シーズンの第10節で10番を付けてプレーして以来となるリーグワンの試合に、9番を付けて出場する龍野はどんなプレーを見せてくれるのだろうか。

スクラムハーフからウイングへポジションを変えて今季初出場する選手もいる。河野翼はすごくワクワクした気持ちで備えていた。

「マツダに入社してからはスクラムハーフで主にプレーしてきましたけど、次の試合は中学校から大学までやってきたウイングでプレーできる。自分はトリッキーなプレーが得意でステップやキックが武器なので、その精度を良くしてトライにつながるように頑張っていきたいです」

今節、SA広島は意欲に満ちあふれたラグビーを見せてくれるに違いない。

(寺田弘幸)


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