2025.02.14[L戸田]「流れが変わるようなプレーを」。ゲームキャプテンを託された男が決意を示す

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第6節
2025年2月16日(日)12:00 太田市運動公園陸上競技場 (群馬県)
ヤクルトレビンズ戸田 vs ルリーロ福岡

ヤクルトレビンズ戸田(D3)

ゲームキャプテンとして15番で出場する土井將聖選手。「これまで積み上げてきたものを信じてやり続けよう」

3連敗中のヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)は今節のルリーロ福岡(以下、LR福岡)戦に向けて、メンバーを試行錯誤する中で土井將聖をゲームキャプテンに指名した。土井が言う。

「普段どおりにやるだけです。どの試合でも相手にやられて雰囲気が沈んでいるときは、自分や沢村(舜)が一番後ろからガッと言います。それを変わらずにやるということ。その上で、いつもどおりチームの流れが変わるようなプレーを心がけたい」

前節の狭山セコムラガッツ戦でも、前半の劣勢の時間帯にフルバックの土井が相手のキックをキャッチしたところからカウンターをしかけてラインを切り裂いたシーンがあった。

言葉のみならず、ダイナミックなプレーで示す。フルバックの自分が躍動する瞬間を作ることができれば、個人もチームも乗っていける。それが土井の信条だ。

立正大学時代はキャプテンを務め、当時はスクラムハーフとして自由にチームを動かしたが、L戸田に加入してからは壁にぶち当たり、落ち込む日もあった。ただ、高いレベルでラグビーを極めようと親に無理を言って上京させてもらった手前、簡単に投げ出すわけにはいかないとの思いが自身を支えた。いまでも不遇に遭う若手選手を見れば、かつての自分を見るようでひと声掛けたくなる。

「逃げることはしたくないです」。どれだけ劣勢だとしても、逆転する芽はあると土井は考えてきた。自身がL戸田でフルバックとして活路を見出し、主軸に定着できたように。どれだけ苦しい試合でも流れを変えるワンプレーによって勝利をつかめるように。

ルリーロ福岡戦を前に、土井はゲームキャプテンとして「これまで積み上げてきたものを信じてやり続けよう」と仲間を鼓舞し、団結を促そうと心に決めている。

「いまは負けてはいるけれど、良いところもいっぱいある。ひたむきに体を張れているし、アタックも昨年の春から取り組んできたことがだんだん形になってきている。それを80分間、いい状態でやり続ければ、僕はここから勝手に連勝がついてくると思っています」

土井が前向きなオーラでチームをけん引する。流れを変えるべく、フルバックとして起死回生となる活躍を誓う。

(鈴木康浩)

2025.02.14[LR福岡]「ラグビーを楽しむためには勝つこと」。大けがから復活した男が変えたチームの意識

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第6節
2025年2月16日(日)12:00 太田市運動公園陸上競技場 (群馬県)
ヤクルトレビンズ戸田 vs ルリーロ福岡

ルリーロ福岡(D3)

今節は12番で出場する香川凛人選手。「キックパスやボールを動かすプレーなど、今までの12番ではできなかったプレーをしていきたい」

リーグワン初参戦のルリーロ福岡(以下、LR福岡)は、1巡目の対戦を終えて5連敗。それでも豊田将万ヘッドコーチは「収穫しかなかった」と前向きに語る。特に明確になった課題がフィジカルコンタクトだ。タックルや接点での攻防はもちろん、規律を守る重要性もあらためて浮き彫りになった。

ただ、規律の徹底は簡単ではない。72名の大所帯のチームには、リーグワン経験者もいれば、大学・高校を卒業したばかりの選手もいる。当然、実力や経験にばらつきがあり、試合に出る選手とそうでない選手ではモチベーションも異なる。

そんなチームの空気を変えたのが、今季から加入した香川凛人だった。宗像サニックスブルースからオーストラリアのクラブへ渡ったが、アキレス腱断裂の大けがを負い帰国。一時は引退を考えたものの、再起をかけLR福岡に加わった。そして第5節で復帰し、完全復活を遂げた。

香川は厳しくも率直に言い放った。「楽しくラグビーをしたいのはみんなと同じ。ただ、『楽しい』というのは『勝つこと』。やるべきことをやれよと言いました。試合に出る、出ないでメンタルが左右されるなら、やりたくないなら練習に来なくていい。ここにいる以上はやるべきことをやれよ、と」。この言葉が、チームの意識を変えた。課題となる部分をクリアできなければ試合に出られない──。このルールが、ついにチームのスタンダードとなった。

香川は10番と12番をこなせる選手だが、「ポジションにはこだわらない。12番でプレーするときは10番の仕事をもう一人できる選手がグラウンドにいるイメージ」と語る。今節では「キックパスやボールを動かすプレーなど、今までの12番ではできなかったプレーをしていきたい」と意欲を見せる。

現在、5連敗中のLR福岡には、ミスへの過敏な反応やプレーに対する積極性の欠如が見られる。しかし、香川は「チームで戦うこと」の重要性を強調し、プレースタイルの幅を広げることで勝利への道を切り拓こうとしている。

香川の言葉とプレーには、ラグビーを「楽しむ」ことの本質がにじみ出ている。それは単なる娯楽ではなく、「勝つこと」を目指す中で生まれる充実感だ。次の試合では、その信念を体現するプレーを見せてくれるだろう。香川の活躍が、LR福岡に勝利をもたらす第一歩となるかもしれない。

(柚野真也)

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