2025.02.21[狭山RG]10年以上日本でプレーする男が語る、「目の前の一段をしっかり上る」ことの重要性

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第7節
2025年2月23日(日)12:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 vs 狭山セコムラガッツ

狭山セコムラガッツ(D3)

日本でのキャリアが長いパーカー アッシュ選手。「日本のラグビー界は本当にレベルアップしている。本当に素晴らしい」

クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)と二度目の対戦となった前節では、前半無得点と苦しい内容となり、後半で巻き返したものの敗戦。ただ、狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)はボーナスポイントを獲得した。今節では、前回対戦で58対10と大差をつけて勝利したルリーロ福岡(以下、LR福岡)と対戦する。

今節、次節ともに長距離移動を伴うビジターゲームとなる狭山RGだが、ここまで2試合のビジターゲームでは勝利。またいずれの試合も30点差以上をつけての勝利となっている。データ的に前向きな要素はそろうが、LR福岡も前節、驚異的な粘りで勝ち点1を手繰り寄せるなど、チーム状態が上がっているだけに油断は禁物だろう。

そんな中で注目されるのが、フランカーのポジションで全試合スタメン出場中のパーカー アッシュだ。2012年に栗田工業(現・クリタウォーターガッシュ昭島)に加入。18年からは日野レッドドルフィンズで存在感を示し、23年に狭山RGへ移籍と、10年以上にわたり日本でプレーを続けている。日本ラグビー界の成長を体感してきた彼に、これまでを振り返ってもらうと「日本のラグビー界は本当にレベルアップしている。本当に素晴らしい」と話してくれた。

次の対戦相手であるLR福岡に対しての印象を聞くと「どのチームも向上したいという気持ちは同じ。だから、前回勝利しているからと言って同じ結果になることはない。なのでこちらもしっかりと準備をして新しいチームと対戦するという気持ちで挑んでいきたい」と力を込めた。

できることなら日本で現役生活を終えたいというパーカー。狭山RGをディビジョン1に導くことも目標の一つに据えているが、「階段は一気に上れるものではない。まずは目の前の一段をしっかり上ること。一歩一歩着実に進むことが大切だと思う」ともコメントした。パーカー自身、2シーズンぶりとなるリーグワンの舞台。戦いの厳しさを肌で感じてきたからこそ、常に謙虚な姿勢で試合に挑むことの必要性を感じているのだろう。

多くの経験を積んだベテランが、次節でも驚異的なフィジカルを発揮して、チームを勝利に導くことを期待したい。

(松野友克)

2025.02.21[LR福岡]初勝利に向け、泥臭く、愚直に。成長を遂げるルーキーが前へ出る

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第7節
2025年2月23日(日)12:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 vs 狭山セコムラガッツ

ルリーロ福岡(D3)

後半26分、うれしい初トライを記録し、チームメイトから祝福される上田健太選手(写真中央)。豊田将万ヘッドコーチから「新戦力の中で一番の驚きであり収穫」と評価されている

惜しくも初勝利には届かなかった前節のヤクルトレビンズ戸田戦。しかし、ルリーロ福岡(以下、LR福岡)は敗北の中から確かな手ごたえを得た。勝ち点1のボーナスポイントを獲得し、チームは前進。反撃の狼煙を上げたのは、新戦力の上田健太だった。

大学卒業後、今季加入したルーキーは、開幕から2試合連続で先発出場。豊富な運動量と献身的なプレーで、レギュラーの座を狙っている。第6節では、自身初となるトライを決め、確かな成長を証明した。

上田がLR福岡入りを決めたのは、クラブがまだリーグワン参入を果たす前。ちょうど見学に訪れた日に、チームの新規参入が決定。その瞬間をクラブキャプテンの西村光太たちとともに喜んだ。その光景が上田の心に深く刻まれている。

「地域クラブとしてリーグワンに挑戦する姿勢に共感しました。自分も挑戦したいという気持ちが強く、このチームでプレーしたいと思いました」

しかし、待ち受けていたのは過酷な日々だった。「大学時代は100kgあった体重が、一時期92kgまで落ちました」。慣れない環境での生活、仕事との両立。練習場近くの車部品製造会社で品質検査の仕事をしながら、昼は勤務、夜はラグビーに明け暮れた。「食事の時間が十分に取れず、仕事とラグビーの切り替えが難しかったですね」。

だが、チームから温かいサポートを受けた。ベテラン選手たちからのアドバイスに助けられ、少しずつ環境に順応。プレーでも頭角を現していく。その成長を見逃さなかったのが豊田将万ヘッドコーチだった。「新戦力の中で一番の驚きであり収穫」と評し、開幕スタメンに抜擢。「正直、自分でも驚きました。緊張もありましたが、仲間が『大丈夫、大丈夫』と声を掛けてくれて、心強かったです」(上田)。

しかし、順風満帆とはいかなかった。第2節で脳振盪を負い、一時離脱。「大きな外傷はなかったですが、運動量を戻す必要がありました。ただ、試合の流れやセットプレーの課題を見直す時間にもなりました」。冷静に自らを分析し、復帰に向け準備を進めた。そして迎えた第6節、先発復帰戦で待望の初トライを挙げた。

派手さはないが、泥臭く、愚直に。積み重ねた努力がいま、実を結ぼうとしている。「フォワードとして相手に押し負けないことが大切。スクラムの安定やブレイクダウンの粘り強さで、バックスのアタックにつなげたい」。

今節こそ、勝利を。その瞬間をつかむために、上田は前へ出る。

(柚野真也)

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