2025.02.28[L戸田]若きエースが抱く勝利への飽くなき欲求。躍動への集中がチームを勝利へと導く

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第8節
2025年3月1日(土)12:00 AGFフィールド (東京都)
ヤクルトレビンズ戸田 vs クリタウォーターガッシュ昭島

ヤクルトレビンズ戸田(D3)

沢村舜選手。「レビンズにはいい意味で上下関係がないんです」「何でも言い合えるし、切磋琢磨できる。本当にいい環境だと思っています」

前節、中国電力レッドレグリオンズ戦の後半9分だった。

相手ゴール前、中央の混戦から右サイドへボールが展開された瞬間、左ウイングの沢村舜が猛然と右サイドへと走り出し、タッチライン際で数的優位を作る。最後は走り込んできた右ウイングの太田景親のトライをアシストした。

今季のヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)が強調しているプレーだ。自分のサイドがないと思えば逆サイドに関わっていけ──。バックスリーダーの沢村が言う。

「フォワードがモールからトライを取るなど頑張ってくれている中、バックスとしてはああいうプレーからトライを増やしたいんです。ウイングは片側を走るだけでなく両サイドに顔を出す。もっと運動量を増やす。大変ですけど、やらなければトライにつながらないし、つながればチームの勝利に貢献できる」

L戸田に加入して4年。下の世代から突き上げていけば、上の世代も負けられないとチームが活気づく。それが若きエースの責任だと沢村は考えてきた。

教員になるべく、日本体育大学時代を最後にラグビーは辞めようと考えていた時期もあるが、周りから「もったいない」と翻意を促され、社会人ラグビーの世界へ。加入したL戸田は強く、加入した1年目にトップイーストリーグで初優勝。「こんなチームでラグビーができるんだ、このチームで高みを目指すぞ」と心を動かされた出来事だった。そして昨年、チーム一丸でリーグワン参入を決めた。沢村は若くしてエースの立場になっていた。

当時はバックスコーチだった河野嵩史ヘッドコーチから細かな注文を受けたことはほとんどない。自分は自分らしく、何にも縛られず、躍動的にプレーすれば必ずチームに貢献できる──。その感覚が沢村には染み付いている。

「レビンズにはいい意味で上下関係がないんです。僕ら下の世代から上の世代にも要求できるし、先輩らも僕らにいろいろと教えてくれながらも『いまのプレーはどうだった?』と聞いてくれる。何でも言い合えるし、切磋琢磨できる。本当にいい環境だと思っています」

だから、伸び伸びとプレーさせてもらえるL戸田でもっと勝ちたい、と沢村は思いを深める。

「L戸田のラグビーを最後までやり切りたいんです。残りの8試合には出続けたいし、欲を言えば、ちょっとでも目立ちたい。自分が目立って、チームにいい影響を与えられれば、それが必ずアシストやトライにつながるので」

沢村は自身が躍動することに集中する。今節も、エースの仕事を全うする。

(鈴木康浩)

2025.02.28[WG昭島]苦手意識を払しょく。同期への対抗心、その強さがチームを推進させる

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第8節
2025年3月1日(土)12:00 AGFフィールド (東京都)
ヤクルトレビンズ戸田 vs クリタウォーターガッシュ昭島

クリタウォーターガッシュ昭島(D3)

元日本代表である山村亮フォワードコーチのもとスクラムに手応えを得たという左プロップの田草川恵選手(写真右から3人目、手前の選手)

リーグワン ディビジョン3 第8節。クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)は、これまでホストチームとして対戦相手を迎えてきたAGFフィールドに、初めてビジターチームとして乗り込み、ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)との一戦に臨む。今季の1巡目の対戦では敗れている相手だけに、なんとしても勝ち星をもぎとって、浮上のきっかけをつかみたい。

この試合の注目は、加入3年目の田草川恵だ。今季はここまで全試合に出場中。最初の5試合は途中出場だったが、第6節からは2試合連続でスターターの座をつかんだ。

田草川がラグビーを始めたのは幼稚園のころ。故郷である山梨県の幼なじみであり、現在は浦安D-Rocksのキャプテンを務める飯沼蓮の誘いがきっかけだった。本格的にラグビーに取り組むのは、東海大学附属甲府高校ラグビー部に入ってからだが、以来、プロップ一筋のラグビー生活を送ってきた。だが、意外なことを田草川は口にする。

「スクラムに苦手意識がありました」

その意識が変わったのは、今季を迎える前の合宿だった。WG昭島の土台ともいえるスクラムをイチから鍛え上げてきた山村亮フォワードコーチの指導を受けて、「いい感覚」をつかんだという。

「亮さんに教えてもらったことが、精度高くできるようになってきました。やっと、WG昭島のスクラムのピースに(自分が)ハマったなと実感しています。(D3優勝のためには)もう負けられないというプレッシャーはありますが、まずはラグビーを楽しむこと。その上で、スクラムから流れを作って、チームの勝利に貢献したいです」

木村星南(東芝ブレイブルーパス東京)、前田翔(コベルコ神戸スティーラーズ)、徳田悠人(日野レッドドルフィンズ)ら、東海大学の同期で同じポジションの選手たちが毎試合のように活躍する中、「自分も負けたくない」と田草川。その気持ちの強さがWG昭島を前へ押し出すエネルギーになるはずだ。

(匂坂俊之/Rugby Cafe)


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