2025.03.06[中国RR]弱き自分を押し退けるための毎日の筋トレ。そして臨む「勝負のファーストスクラム」

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第9節
2025年3月8日(土)12:00 足利ガスグラウンド(足利市総合運動場陸上競技場) (栃木県)
狭山セコムラガッツ vs 中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

中国電力レッドレグリオンズは「スクラムの引き出しが増えた」と言う有藤孔次朗(ありとう こうじろう)選手

筋トレは自分との戦いだ。中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)の有藤孔次朗は、試合のない日に欠かさず体を鍛える。弱い自分に打ち勝つための大事な習慣だ。

「スクラムで負けたら試合で負けると思っています。ペナルティを取られたらゲームの情勢が変わるので、メンタル的なプレッシャーが大きい。できることをやらずに負けるのが許せないし、みんなにも顔が立たない。だから、心が弱い自分を安心させるために、『誰よりもやってきたんだ』という自負のもとで試合に臨みたくて毎日筋トレをしています」

有藤は中学のころからプロップ一筋。173cmと小柄だが、「僕が生き残っていく道は低くなることしかなかった。低く組んで下から上に突き上げるのが僕の強み」とスクラムで譲れぬ武器がある。ただ、試合では最初のスクラムを組むまで常にプレッシャーがつきまとう。

「ファーストスクラムが始まるまでは怖さも楽しみもある。でも、1本組んで相手の感じが分かれば、僕らはいろいろな引き出しを持っているので、次に何を試そうかというマインドに切り替わります」

そこにはスクラムを強化してきた自信もある。有藤は、「今までずっとスクラムで苦戦していたから、今季のスタートミーティングでもかなり厳しいことを言われて、僕としては『スクラムのせいで負けた』ぐらいの感覚で捉えていた」と奮起したきっかけを明かす。

フォワード陣はプレシーズンから積極的にコミュニケーションを取り、より具体的に詳細を突き詰めて改善に力を注いできた。

「これまで取り組んできてスクラムの引き出しが増えたし、だからこそ試合で相手がしてきたことに対して、自分たちで修正できる力が身に付いてきている。柔軟に対応できるのがいまの強みです」

中国RRは昨季1勝で最下位だったのが、今季はすでに5勝を挙げて3位につける。3連勝で勢い付く中、今節は2位の狭山セコムラガッツとの大一番。敗れた前回対戦のリベンジも懸かった試合で、もちろんスクラムでは負けられない。

「今さら新しいことをすることはないので、やってきたことを一つひとつ積み重ねるだけ。受けるスクラムじゃなくて、積極的にいきたい」

1番で先発出場を続ける有藤は試合前日も変わらず筋トレをこなす。「試合前にどれだけ筋肉を張らせられるかが一番大事。それは僕のお守りみたいなもの」。プレッシャーをかき消すために、むしろいつも以上に力が入る。

勝負のファーストスクラム。このときに向けて「誰よりもやってきた」。筋肉の張りが弱い自分を押し退ける。有藤は両腕の袖をめくって覚悟を決めた。

「攻めのスクラムで押し切ってやる」

(湊昂大)

2025.03.06[狭山RG]「リカバリー、戦略の理解、遂行力」。実績十分の実力者が語った3つのポイント

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第9節
2025年3月8日(土)12:00 足利ガスグラウンド(足利市総合運動場陸上競技場) (栃木県)
狭山セコムラガッツ vs 中国電力レッドレグリオンズ

狭山セコムラガッツ(D3)

元マオリ・オールブラックスのキャリアをもつ狭山セコムラガッツのフェトゥカモカモ・ダグラス選手

勝利すれば首位浮上という前節、狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)は今季初めてビジターゲームでの黒星を喫した。ただ、入替戦圏内の2位はキープできている。狭山RGと勝ち点4差で現在3位の中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)との今節は中盤戦の山場の一つと言えるだろう。

第4節で対戦した際には、主導権を握りながら試合を進め、最終的には相手を大きく引き離した(54対15)だけに、同じ流れにもっていけるかがカギとなるだろう。そんな中で注目したいのが、前回対戦時に先制トライを挙げたフェトゥカモカモ・ダグラスだ。開幕から全試合でスタメン出場を果たし、攻守にわたってフォワード陣をけん引している一人だ。中国RR戦のポイントについて、彼は「リカバリー、戦略の理解、遂行力の3つが重要になる」と語りつつ、「自分への課題がたくさんあります。(ボール)キャリーを磨き上げることが今週のチャレンジ。考えるだけで終わらず、しっかりと練習の中でもそれを遂行して、試合に挑みたい」と力を込めた。

第6節から4週連続で試合が続くことになるが、「ラグビーでは自分の体が一番の資本。試合に向けていろいろなリカバリー方法がありますが、僕自身は睡眠、メンタルリフレッシュと入念なウォーミングアップを意識しています。そして交代浴、ストレッチ、マッサージ、サウナを取り入れながら、食事にも気を付けて、けが予防に努めています」と教えてくれた。

現在、チームの状況は悪くない。それは彼も実感しており、「連係はどんどん良くなっています。ドミネーター(メンバー外の選手)も上達していて、チームの層は確実に厚くなっている。今後も、自分たちの戦略の理解と遂行力を向上できればなと思います」と話した。

前節では、ミスからスキが生まれたことを反省したダグラス。過去にマオリ・オールブラックスに選出された実績を持つ実力者が、チームを勝利に導けるか、注目したい。

(松野友克)


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