NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第9節
2025年3月8日(土)12:00 足利ガスグラウンド(足利市総合運動場陸上競技場) (栃木県)
狭山セコムラガッツ 44-22 中国電力レッドレグリオンズ
愛くるしい笑顔が魅力のプロップ。先発2試合目で披露した卓越した守備力
勝ち点4差で迎えた2位と3位の直接対決。狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)は、後半に中国レッドレグリオンズ(以下、中国RR)に詰め寄られたものの試合終了間際にトライを奪ってボーナスポイントを含む勝ち点5を獲得し、2位を死守した。
この試合でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたのは、この日2トライを挙げる活躍を見せた狭山RGのフィシプナ・トゥイアキ。「できなかった部分もありますが、自分たちがやるべきラグビーをできたのが、勝利につながった」と語り、自身のトライについては「みんなのハードワークのおかげ。たまたま最後が僕だっただけで、チーム全体のトライ」と話した。どちらのトライも自身の突破力を発揮した結果だったが、この謙虚な姿勢も高校から来日して文化を学んできた彼の魅力だ。「チーム内での連係が本当によくなっている」と手ごたえを口にしつつ、「残り試合をすべて勝利したい」と意気込みを語った。
バックスで輝きを放ったのがトゥイアキなら、フォワード陣では白川直人だろう。開幕からけがでリハビリの日々が続いていたが、第8節のマツダスカイアクティブズ広島戦で初先発初出場。この日もスタメンに名を連ねて、スクラムの要として素晴らしいディフェンス力を見せた。「とにかく、ジャージーを着て試合に出られることが本当にありがたい。初スタメンのときは思うようなパフォーマンスを出すことができなかった。でも今日は、自分の強みであるスクラムも、タックルの面でも前回よりは良さは出せたと思います」と笑顔を見せた。そして、「シーズン前半は何もできなかった。まだまだ体力も有り余っているので、残り試合は自分の仕事をきちんとこなして、チームの勝利に貢献したい」と、力を込めた。
愛くるしい笑顔が魅力の白川。フォワードリーダーとしてチームメートからの信頼も厚い彼が、残り試合でどんな存在感を示してくれるか、注目したい。
(松野友克)
狭山セコムラガッツ
狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ
「予想どおり(のゲーム)かな。中国レッドレグリオンズ(以下、中国RR)は、ディフェンスもボールキャリーも激しい。そういう状況は試合前から、ポイントとして考えてありました。僕たちのボールキャリーを強調することでチャンスはあると思っていました。前半は完璧じゃなかったけれど、悪くはなかった。後半は最初の10分は、中国RRがドミネートしてきて、プレッシャーを掛けてきました。プレッシャーを掛けることでペナルティを誘い、エリアマネジメントをすることで、トライを挙げていました。それでも僕らのプレッシャーもあり、(試合における)キーは最後まで頑張りとおせた。そこがすごく大事だったと思います」
──試合終了間際にトライを挙げてボーナスポイントを得られました。その点は今後につながる要素になったと思いますが、いかがでしょうか。
「今日で4週連続の試合でした。両チームにけが人がいて、チームバランスについてはともにプレッシャーはある状況。その中で(ボーナスポイントが取れたのは)すごく大事だと思います。ディビジョン3は同じ相手と3試合やりますから。前回対戦したときからスターティングメンバーも変わっていたし、パフォーマンスにも影響があると思います。そういう中で、最後にトライを取ってボーナスポイントをもらえてホッとしているところもあります」
──バイウィークを挟んで、次はヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)戦になりますが、そこまでの2週間をどのような形で過ごして次節に挑みたいと思いますか。
「試合に出ている選手はしっかりと休んでもらいます。でもドミネーター(メンバー外の選手)からは練習試合を組んでほしいという要望もあるので、そこをいま調整しているところです。ドミネーターの能力もすごく上がっているし、チームにいい影響を与えています。来週の金曜日にはチームイベントも考えているので、まずはリラックスしてもらいます。そして再来週からもう一度しっかりと準備をしていく感じになると思います。あとは、しっかりとメンタルリフレッシュもしてもらいたい。日本人選手は1年以上戦いに挑んでいるわけで、影響も出てきます。だから、ラグビー以外のことをやってもらいたい。子どもと遊んだり、ね。でも、選手は休みでもアピールしたいから絶対にジムでトレーニングをするものです。休みを取りたくないという気持ちは分かるし、そういう気持ちでいてくれるのは素晴らしいこと。でも、悪い影響が出る可能性もあるから、リフレッシュすることも大切にしてもらいたい」
狭山セコムラガッツ
髙島理久也ゲームキャプテン
「まずは、リーグワンの関係者の皆さま、設営に関わってくれた関係者の皆さま、本当にありがとうございます。スコッティ(スコット・ピアス ヘッドコーチの愛称)が言うように、ハードに試合になることは分かっていたので、そのための準備はしてきました。僕らはノンメンバーのことをドミネーターと言っていますが、(練習で)ドミネーターがいいプレッシャーをメンバーに掛けてくれて、それ以上のプレッシャーは掛からないだろうと思っていたので、本当にいい準備ができた結果が勝利に結び付いたのかなと思っています」
──試合終了間際にトライを挙げてボーナスポイントが得られました。その点は今後につながる要素になったと思いますがいかがでしょうか。
「そうですね。最後のボーナスポイントのところは、本当にチーム全員で取りに行った結果だと思います。中国RRさんもすごくファイトしてきましたが、こちらも負けじと、我慢して、最後ああいった形でトライを取れたのは、チームとして成長できたかなと思います」
──バイウィークを挟んで、次のL戸田戦になりますが、そこまでの2週間をどのような形で過ごして戦いに挑みたいと思いますか。
「そうですね。1週空くのでリフレッシュしながらも、チームとしてやるべきことはたくさんあります。そこは選手もそうですし、スタッフも一丸になって、まずはL戸田戦の勝利に向かって練習していきたいと思います」
──リーグワンで4週連続での試合を経験したことで得たものはどのようなことがありますか。
「メンバーを変更した中で、4試合をハードに戦えたかなとは思っています。あとは相手陣での戦い方や、ペナルティなど、そういった細かいところは修正できると思っています。この4試合を振り返って、次のL戸田戦にぶつけたいと思います」
中国電力レッドレグリオンズ
中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和ヘッドコーチ
「まずは狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)のみなさん、関係者のみなさん、ありがとうございました。総括としては、アタックが本当に素晴らしい狭山RGさんに、今回どうやってディフェンスのところで勝負していくかという中で挑んだ試合ではあったのですが、やはり前半の大量失点が最終的な結果に響きました。われわれがやろうとしていたディフェンスを本当にさせてもらえなかった。狭山RGさんのアタックには本当に素晴らしいものを感じました。ただ、そこを乗り越えていかないと、われわれの勝ちは絶対に付いてこない。もう1戦狭山RGさんとやる機会がありますので、そのときもう一度チャレンジできたらなというふうに思っています」
──前半に逆転された直後の10分間は流れを持ち直したように見えました。しかし前半15分にパスが流れてしまうミスがありました。そこが勝敗を大きく左右してしまった印象もありますがいかがでしょうか。
「そうですね。もちろんわれわれのミスを必ず狭山RGさんがスコアにつなげてくるという、本当に素晴らしいアタックがあったと思います。(自分たちは)ディフェンスを得意としていますので、前半にしっかりと前に出て相手にプレッシャーを掛けていくことで、もうちょっと競った中で折り返す想定だったのですが、選手たちも、そういうミスから始まった失点で若干パニックになっているようなところはありました。また西川(太郎共同キャプテン)からもありましたが、中盤のところで何をしたらいいのか、チームとして意思統一できてなかった時間帯がありました。もうちょっとわれわれのアタックの時間が増えれば、ペースも持ってくることができたという印象はありました。ただ、こちらもミスをした部分もあったのでなかなか流れを持ってきづらかったというところです」
──後半、もう少しでボーナスポイントを得られる状況まで追い上げる場面もありました。そういう点も踏まえて、今後どのように修正を加えて残り試合に挑んでいくかを聞かせてください。
「残りの時間と得点差というのは、もちろん中にいる選手も意識していたとは思います。ただ、最後のところでスコアを相手に許してしまうところがありました。これから(リーグ戦での対戦が)3巡目に入っていく中で、そういった勝ち点が非常に大事になってくると思っています。
後半に、勝ち点を奪えるか、奪えないかというところまでいけたところは評価したいとは思っています。そこでもう一度ゲームを組み立て直すことなど、選手自身がいろいろな経験をしてきたことで、いまこういった順位(3位)にいる部分もありますので、さらに経験値を上げて、次のクリタウォーターガッシュ昭島さんとの試合、その後の3巡目に持っていきたいなと思います」
中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎 共同キャプテン
「本日はありがとうございました。3連勝をしていい流れで来て、本当に勝ちにこだわって準備してきたんですけど、こういう結果になってしまい悔しい気持ちです。前半中盤のゲームの進め方のところで、自分たちのミスやペナルティで、どんどん流れを悪くしてしまい、大量失点をしてしまいました。前半に29点(を奪われたことが)、ちょっと重かったんですけど、本当に全員でもう1回アタックマインドを持ってやろうという話をして、後半についてはそれができたかなと思います。
後半の戦い方をもう1回、前半からできれば(よかった)というところです。それは相手があってのことなので難しいところもありますが、もう1回中盤のところの戦い方を見直す必要がありますし、あとは本当にプレーの精度を上げるしかないと思うので、練習して、リベンジできたらと思います」
──ヘッドコーチから、意思疎通ができていなかった時間もあったという言葉もありましたがいかがでしょうか。
「狭山RGさんのディフェンスが良かったというのもありますが、パスが流れてしまうことや、ラインアウトのミスもありました。自分たちでコントロールできるミスを減らしていかないと、こういうタイトなゲームになったときには、そこが命取りになってくるので、そこの精度を上げていくしかないと思います」
──後半、もう少しでボーナスポイントを得られる状況まで追い上げる場面もありました。そういう点も踏まえて、今後どのように修正を加えて残り試合に挑んでいくかを聞かせてください。
「先ほども少し話させてもらったんですけど、後半の戦い方を最初からできるように(したいです)。ミスは絶対に起こり得るスポーツなので、そのあとのリアクションや、カバーリングをもう1回みんなでやっていくしかないです。次戦までバイウィークを挟んで2週間あるので、体を休めることと、もう1回細かいところのプレーの精度を高めていきたいです。そこをしっかりやらないと勝てないので、その部分を詰めていければと思います」