2025.03.21[狭山RG]“聞くこと”とチャレンジャー精神。成長著しいスタンドオフが大事にする二つのもの

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第10節
2025年3月22日(土)12:00 足利ガスグラウンド(足利市総合運動場陸上競技場) (栃木県)
狭山セコムラガッツ vs ヤクルトレビンズ戸田

狭山セコムラガッツ(D3)

スタンドオフの忽那鐘太選手。「自分の判断力や意思も大切ですが、僕は周りの声もしっかりと聞くことも大切にしています」

敗れれば今季初の連敗、そして3位転落という状況で迎えた第9節で狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)は、先制点を奪われながらもすぐに逆転に成功。そのあとは相手に流れを渡さず、ボーナスポイントを獲得した上で勝利した。2巡目最後のゲームは、長年ライバル関係にあるヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)が相手。前回対戦では相手をノートライに抑え、5トライを奪って勝ち点5を得ただけに、今回もその再現を狙いたい。

そんな中で試合展開のカギを握るのは、5試合連続で10番を背負いスタメン出場を果たしている忽那鐘太だ。スタンドオフは攻撃の司令塔として、パスやキックの技術はもちろん、広い視野で戦況を見つめ、即座の状況判断が求められる、ラグビーにおいて花形のポジションの一つ。そのポジションでプレーするにあたり、意識していることは何か。忽那は次のように答えた。

「オフェンス面でいえば、舵取りが重要な役目だと思っています。自分の判断力や意思も大切ですが、僕は周りの声もしっかりと聞くことも大切にしています。外からの声をしっかりと信頼した上で、自分のプレーにうまくつなげて(周りに)伝えることを心掛けています」

ゴールキックも任される立場だが、「そこに関しては、まだまだレベルアップをして成功率を高めていくことだけを考えています」と猛練習を続けている。一方で、流れの中のキックについては「フォワードが強みのチームなので、自陣で戦い過ぎないように、しっかりとキックでボールを敵陣に運んでいくことを意識しています」と話した。

チームは入替戦圏内の2位をキープしているが、「いま、自分たちが置かれている立場を意識することはない」と忽那。「次のL戸田戦もそうですが、どんな状況であれ、相手は上を向いて挑んでくる。だからこそ、自分たちも常にチャレンジャーという気持ちを忘れずに、前半からいい入りをして流れをつかみたい」。スタメン出場を重ねることで大きな経験を積み、プレーの質も向上している忽那が、第10節でもチームの勝利に貢献する活躍を見せてくれるか、期待は高まる。

なお、栃木県で行われる狭山RGのホストゲームは、今季のレギュラーシーズンは今節で最後。会場では、スタジアムグルメが楽しめるキッチンカーが複数出店され、ラグビーゲーム、フェイスペイントなど選手と触れ合えるイベントも開催されるので、試合と合わせて楽しんでほしい。

(松野友克)

2025.03.21[L戸田]“ウイングはエゴイストであれ”。「自分が一番」と信じるウイングが、復帰戦ですべてをぶつける

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第10節
2025年3月22日(土)12:00 足利ガスグラウンド(足利市総合運動場陸上競技場) (栃木県)
狭山セコムラガッツ vs ヤクルトレビンズ戸田

ヤクルトレビンズ戸田(D3)

「ディフェンスでの詰めるタックル、オフェンスではトライを奪い切るところ」などフィジカルが自分の強みだという髙橋拓行選手

ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)のウイング、髙橋拓行が今節の狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)戦で5試合ぶりに復帰する。2月2日の狭山RG戦の脳振盪で離脱して以来となる舞台に「やっとできるという楽しみと、やってやるんだという責任感」を交錯させている。

正直、ここまでチームにコミットできていない歯がゆさはある。一昨季も、昨季も、今季も、けがに泣かされてきた。ただ、リハビリ期間が長くなればなるほど、歯がゆさとともに、一方にある思いも強くなっている。

「やっぱり、恩返しをしたいという気持ちはあります」

それは、L戸田というチームに積み重なる思いだ。2019年に加入した大卒ルーキーの自分に大城海ら先輩たちが技術などを教え、成長させてくれたことはいまとなっては感謝しかない。リーグワン参入を果たすころのチームは、みんながラグビーが好きで、ラグビーに真摯に向き合い、気付けば、一体感のある集団になっていた。このチームでリーグワンを戦えることはこの上ない喜びだった。そして長い間リハビリを支えてくれるストレングス&コンディショニングコーチやトレーナー陣にはもう頭が上がらない。「一日も早くけがを治して自分のプレーを見せるんだ」との思いが日に日に増していた。

リハビリを重ねながら、髙橋は大事に胸に秘めてきた。試合に出ているメンバーがベストだし、奮闘する仲間たちにはリスペクトしかない。ただ、どこかで自分が一番だという思いはもっておきたい、と。

「自分はキックやパスなどベーシックなスキルはほかのバックスリーの選手たちに劣ると思っています。ただ、何で勝負ができるかといえば、フィジカルだろうと。ディフェンスでの詰めるタックル、オフェンスではトライを奪い切るところ。リーグワンはフィジカル面のレベルも上がる中、そこでアピールしたいんです」

今季のL戸田は相手陣に押し込んだときの、トライを奪い切るプレーに課題を残している。髙橋には、“ウイングはエゴイストであれ”との信念がある。

「自分にボールを回せという気持ちの強さ、フィニッシャーとしてのプライドを大事にしたいんです」

それを復帰戦の舞台で見せる。ここまで積み重ねてきた思いをすべてぶつける。

(鈴木康浩)

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