2025.03.21[SA広島]満ちる活力が首位快走の要因。誰もが抱く「試合に出たい」強い思い

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第10節
2025年3月22日(土)14:30 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 vs ルリーロ福岡

マツダスカイアクティブズ広島(D3)

北島遥生選手。「自分はセンターの中でも体を張ってプレーするタイプなので、タックルや泥臭く激しいプレーを見せていきたい」

マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)は首位を快走している。ここまで9試合の戦績は8勝1敗で、8勝のうち6勝は3トライ差以上の勝利を収めて勝ち点5を獲得している。得点数はディビジョン3最多の391得点。失点数はD3最小の153失点。トライ数はリーグ最多の58トライ。2024-25シーズンのSA広島の足並みは実に力強い。

だからチームにも活力が満ちている。試合に出場してグラウンドの上で活躍している選手たちはもちろん、なかなか出場機会をつかめていない選手も試合に出るために練習からモチベーションを高く保っている。今節のルリーロ福岡(以下、LR福岡)戦はそんな選手たちにも出場機会が巡ってきそうで、中でも北島遥生は燃えている。

けがが癒えて復帰したのが昨年の12月。プレシーズンにアピールできなかったことで出遅れたが、昨季は12試合に出場した実力者。今季は第5節のLR福岡戦で途中出場したが、そのときは自分の良さを出し切れなかった。今節は本来のポジションでの出場が濃厚なため、力を存分に発揮するつもりだ。

「ずっと試合に出たくてウズウズしていて、コーチにも『出させてくれ!』と言ってきたんです(笑)。今回は本当に思い切りやりたい。自分はセンターの中でも体を張ってプレーするタイプなので、タックルや泥臭く激しいプレーを見せていきたいと思います」

北島の活躍にはチームメートも期待を寄せている。同期の芦田朋輝は「陽気な性格ですごくエナジーをもってプレーしてくれるので、しっかりチームを盛り上げてほしいし、インパクトのあるプレーを見せてもらいたいです」と話していた。

北島のほかにも出場機会の少なかった選手が今節は起用される。彼らのパッションにぜひ注目してもらいたい。

「この強いチームでラグビーをしたいし、強いチームで試合に出続けたい。それがいまのモチベーションです」

北島が口にした思いは、いまSA広島の選手の誰もが強く抱いている。

(寺田弘幸)

2025.03.21[LR福岡]小さい体を、最大の武器に。ラグビーはサイズや才能だけで決まるスポーツではない

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第10節
2025年3月22日(土)14:30 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 vs ルリーロ福岡

ルリーロ福岡(D3)

ラックの中心でスペースを守る井上大志郎選手(写真、11番のすぐ上)

ラグビーにおいて、フィジカルの差は絶対的なハンデになる。ならば、169.3cm、83.2kgのフランカーがリーグワンで生き残る術はあるのか。井上大志郎は、それを証明しつつある。昨年、福岡大学からルリーロ福岡(以下、LR福岡)に加入し、前節の第9節まで2試合連続で先発出場。小さな体を武器に変えるディフェンス力が評価され、指揮官からの信頼を勝ち取った。

地元は福岡県。チームの拠点となるうきは市の浮羽究真館高校出身。地元でのプレーということもあり、高校時代の恩師や後輩たちが試合に駆け付け、声援を送る。その姿は力になるが、選手としての評価は未知数だった。「地元だからといって、特別な期待を懸けられていたわけではなかったと思います。だからこそ、自分で居場所を勝ち取らなければならなかった」と井上大志郎は振り返る。

当初はラグビーを辞めるつもりだった。だが、高校時代の監督の一言が井上大志郎を引き戻した。「LR福岡でやってみないか?」。迷いはあったが、結局、ラグビーへの思いが勝った。日中は車の部品を作る会社で事務作業をこなし、仕事が終わるとすぐに練習場へ向かう。夜9時まで汗を流し、翌朝はまた仕事に向かう。そんな日々を重ねながらも、プロ顔負けのフィジカルコンディションを維持し、チャンスを待った。

しかし、加入当初は厳しい現実が待っていた。練習環境が変わり、肉離れを繰り返す。一時はチームを離れたが、復帰後の紅白戦で結果を残し、再び評価を得ることになる。年明けごろからは、周囲の見る目も変わった。「井上、いいな」。そんな声が聞こえ始めたのは、このころだった。

井上大志郎の武器は、低い姿勢から繰り出す鋭いタックルだ。「小さいからこそ相手の下に入りやすい。足下に素早くタックルを入れ、一発で止める。それが僕の仕事」。その手ごたえを初めて感じたのは第8節のデビュー戦。そして第9節の試合でも、同じように成功させた。

第9節の試合では、立ち上がりのディフェンスは完璧だったが、後半にかけて精度が落ちた。「最初から最後まで高いレベルのディフェンスを続けたい」。課題は明確だ。

ラグビーはサイズや才能だけで決まるスポーツではない。努力と工夫次第で、自分の武器を作り出せる。井上大志郎は、その体現者の一人だ。彼の魂のタックルが、これからのLR福岡を支えていく。今節でも、彼の熱いプレーに注目したい。

(柚野真也)

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