2025.04.03[中国RR]同じ絵を描くために「意思決定をより早く、正確に」。その先にある景色の中心には12番がいる

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第11節
2025年4月5日(土)12:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs ヤクルトレビンズ戸田

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

中国電力レッドレグリオンズの平山真也選手。12番として自身の課題だと自覚するゲームコントロールの部分にフォーカスし試合に臨む

同じ絵を描けているか。チームが前に進むにはグラウンドに立つ全員が共通のイメージをもってプレーすることが重要になる。アタック精度を課題とする中国電力レッドレグリオンズの大きなテーマの一つだ。

加入3年目の平山真也は、今季これまで全11試合に出場。ゲームコントロールも担う12番でプレーする25歳はコンスタントに出場しているが、絶対的な地位はまだつかめていない。それでも、「リザーブになっても『どうして(先発ではないのか)』という気持ちは正直あまりない」と潔く話すのは、自身の現状を明確に捉えているからだ。

「それはやっぱり結果を出せていないところがあるから。コーチ陣とも話をして課題が見えているので、あとは自分がどれだけそこにフォーカスして改善できるかが、今後の出場時間に大きく関わると思う」

課題はゲームコントロールの部分。平山は、「意思決定をより早く、より正確にできると、チームがもっと前に出られるし、それによって自分の12番としての役目を果たせる」と力を込める。そのために重要なのは、それぞれが思い描くプレーをすり合わせてチームが同じ絵を描くこと。コミュニケーションがカギになる。

「アタックを機能させるには周りの人とより密にコミュニケーションを取らないといけない。自分がどう考えていて、どう動いてほしいのかを練習のときからいろいろな人に伝えていれば、ゲーム中のコミュニケーションも少ないワードでみんなが同じ絵を描けて、いいアタックができると思う」

連敗を止めたい今節は、過去2勝しているヤクルトレビンズ戸田を迎えてのホストゲーム。12番でスタメンに名を連ねた平山は静かに闘志を燃やしている。

「自分たちの強みとしてディフェンスがある中で、そこで取り返したボールをいかに少ないミスで継続して空いているスペースに運ぶかが重要になる。そこは12番がコントロールしないといけないので、自分自身の課題の部分がもろに試合の結果に響くと思う。コミュニケーションをしっかり取って、チームをつなぐ部分にならないといけない」

目指すは4試合ぶりの勝利。チーム全員で描く絵の先に、仲間と喜び合える景色がある。その真ん中に平山がいるはずだ。

(湊昂大)


2025.04.03[L戸田]仕事もプレーも100%を出すのが日常。チームを背負う覚悟の根幹にあるクラブへの感謝

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第11節
2025年4月5日(土)12:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs ヤクルトレビンズ戸田

ヤクルトレビンズ戸田(D3)

出張先の岡山から試合会場がある広島でチームに合流するというヤクルトレビンズ戸田の多田潤平 共同キャプテン

「リーグワンはやはり厳しいリーグだと思いますが、やれないわけではないし、同じチームに3連敗はできません」

共同キャプテンの多田潤平が3巡目を迎える今節を前に思いを新たにしている。このまま負け続けていいわけがない、と。

多田はこれまでキャプテンとして「勝つこと」に徹底的にこだわってきた。ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)に加入したのは2013年。数年後にキャプテンに就任したあと、チームを勝てるマインドセットに変えようと”嫌われ役”を買った。春先の練習試合で勝っても、その後の練習が緩ければ「もう優勝したつもりなの?」と強めに指摘するなど現場に厳しさをもち込んだ。順位を下から数えたほうが早かったチームが、現在のチームの基軸となる小川正志や牧野真也、古川拓実らが加入した2017-2018シーズンにはトップイーストリーグで準優勝。その後のリーグワン参入への足掛かりを作った。

「やるからには勝たないと意味がないし、応援する人も勝っているチームを応援したいと思うんです。それに勝たないと会社の支援も大きくなっていかない。キャプテンになった当時はそういう危機感が強かったんです」

大学4年生のときに試合に出ていなかった自分に声を掛けてくれ、ラグビーを続ける選択肢を与えてくれた感謝の念が根底にある。自分が加入したからには仕事もラグビーも100%でやり切り、結果も残す──。同じ信念をもつラグビー仲間に囲まれ、上を目指せたことも多田にとっては幸運だった。

今季、昨季までの選手兼コーチの立場から選手専任に戻ったのも、フルタイムで仕事をしている中、リーグワンで戦うことへの厳しさや戸惑いが出ることを予想したからだ。厳しい時代から這い上がってきた過程を知る自分が、チームの先頭に立って体現するからこそ意味がある。ちなみに今週の多田は、新潟出張から戻った夜に練習に参加し、翌朝には岡山出張に発ち、その間は個人で調整を続け、そのまま試合会場の広島でチームに合流する。それがL戸田を背負う自分の日常であり責任だと、多田は気にも留めていない。

多田が出張先でふと思いを巡らせるのは、昔も、いまも、チームが勝つことに尽きる。

「走るとか、戦うとか、自分たちのスタンダードに対して、一人ひとりがもう少し無理をしないと、チームとして力を体現し切れない部分が出てしまう。原点とは何かをもう一度握り締め、自分たちの中に落とし込んで戦う必要があると思っています」

L戸田が大事にしてきたものを全員で示す。多田は、そういう一戦にしなければとの思いを胸に広島へ向かう。

(鈴木康浩)


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