2025.05.29[神戸S]チームを引っ張ってきた“最高の二人”。今季最終戦を最高の笑顔で締めくくる

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
プレーオフトーナメント3位決定戦
2025年5月31日(土)14:05 秩父宮ラグビー場 (東京都)
コベルコ神戸スティーラーズ vs 埼玉パナソニックワイルドナイツ

コベルコ神戸スティーラーズ

5月31日、チームは最高の準備を整えて秩父宮ラグビー場のフィールドに立つ
© KOBE STEEL, LTD.

プレーオフトーナメント3位決定戦で埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)と対戦するコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)。5月31日、チームは最高の準備を整えて秩父宮ラグビー場のフィールドに立つ。

ブロディ・レタリックと李承信。今季の神戸Sを引っ張ってきた二人の共同キャプテンはそれぞれをどう見ているのか。レタリックは言う。

「承信は僕の知らないところ(バックス)を、キャプテンとしてリードしてくれている。アタックでも中心人物となってリードしてくれているし、本当に素晴らしいリーダーです」

けがで苦しむ時期もあった今季の李だが、戦う姿勢を失わなかった24歳をレタリックは強くリスペクトする。試合当日に34歳のバースデーを迎える10歳上の‟相棒”に対し、李もまた、強い信頼感を抱いてきた。

「ガズラ(レタリックの愛称)の体を張るところや一つひとつの発言がチームにエナジーを与えてくれる。チームの流れが少し悪くなってきたときにみんなが見るところがガズラの顔、姿、プレー。これからのラグビーキャリアを積んでいく中でも、学ぶべきことが多い存在です」

共同キャプテンを務めることで確かな成長を感じたという李。だが、「シーズンをとおして重要な局面、難しいゲームの中で、(レタリックに)頼ってしまったのは心残り」と明かす。だからこそ、「残り1試合、自分自身のパフォーマンスもそうだし、発言でもしっかりチームにクリアなメッセージを伝えて、ちょっとでもサポートしていきたい」とレタリックとの共闘に強く意気込む。

コベルコ神戸スティーラーズを牽引してきたふたり。ブロディ・レタリック共同キャプテンと、李 承信 共同キャプテン

リスペクトと信頼。二人にあるのは神戸Sを強くしたいという共通の思いだろう。デイブ・レニー ヘッドコーチは「二人が共同キャプテンをしてくれたことは本当に良かった。二人とももちろん代表キャップをもっているし、周りの選手からもリスペクトされている選手。承信もキャプテンをすることで成長した部分もあると思う」と納得の表情で二人のリーダーシップを評した。

2024-25シーズンはまもなく終わる。レタリックは「強豪相手には小手先の技術では通用しない。しっかりと高い精度をもって臨まないと勝つことはできない」と集中し、李も「常にチャンピオンとして戦ってきた埼玉WKに自分たちの強さを証明するチャンス」と闘志を燃やす。二人のキャプテンが引っ張る神戸Sは、今季最終戦を最高の笑顔で締めくくる。

(小野慶太)

2025.05.29[埼玉WK]蒼きファンへの思いを胸に。“埼玉一丸”で目の前の勝利をつかみ取る

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
プレーオフトーナメント3位決定戦
2025年5月31日(土)14:05 秩父宮ラグビー場 (東京都)
コベルコ神戸スティーラーズ vs 埼玉パナソニックワイルドナイツ

埼玉パナソニックワイルドナイツ

「ワイルドナイツのジャージーを着てプレーする以上、やるべきことをやっていく」とロビー・ディーンズ監督。プレーオフトーナメント3位決定戦は、31日土曜日に東京・秩父宮ラグビー場で開催される

プレーオフトーナメント3位決定戦はプライドを懸けた一戦だ。

リーグワン初年度王者、過去2季連続準優勝の埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)はプレーオフトーナメント準決勝でクボタスピアーズ船橋・東京ベイに24対28で敗れて3位決定戦へ回ることになった。

試合後のロッカールームでは若手たちが涙を流したという。今季、新司令塔としてチームをけん引してきた山沢京平は「ただ、悔しい」と言葉を絞り出した。

3シーズンぶりの王座奪還へ向けて決勝の舞台を見据えてきたチームにとってショックは計り知れない。しかし、まだ戦いは続いている。

準決勝後の取材エリアに姿を見せた稲垣啓太は3位決定戦について「僕は来季のためとか、いまはまったく考えていない。チームとして次の試合(3位決定戦)に勝つことだけを考えている。誰が出るか分からないが、誰が出るとしても最後にわれわれがやってきたことを証明したい。チームとして勝ちを目指すだけ」と心境を語った。稲垣は3位決定戦のメンバーから外れたが、その思いは選手たちに伝わっている。

コベルコ神戸スティーラーズとの3位決定戦は埼玉WKが今季、積み上げてきたラグビーを示し、それぞれが選手としての成長を示す場となる。リーグワン4シーズン目にして初めてプレーオフトーナメント決勝進出を果たせなかったが、進化を止めることはない。

小山大輝が「決勝の舞台に立ちたかったが、それは果たせなかった。ただ、チームは成長できた。3位決定戦もしっかりと準備して勝つことでファンの方々に感謝を伝えたい」と話せば、竹山晃暉は「(準決勝で)負けたことは事実で、結果は変えられない。ファンのためにも気持ちを切り替えてゲームへ向かう」と前を向いた。

ロビー・ディーンズ監督は「自分たちが置かれている現実に向かっていくだけ。(3位決定戦へ)ワイルドナイツのジャージーを着てプレーする以上、やるべきことをやっていく」と強調している。

チームは5月29日午前に実戦を想定した練習を行い、3位決定戦に備えた。シーズン最後の公開練習には練習前から100人以上のファンが駆け付けて開始を待った。グラウンド中央でハドルを組んだ選手たちが「1、2、3、Knights!」の掛け声で一斉に駆け出すと、ファンからの大きな拍手がグラウンドに響いた。選手たちの表情は、これまでのゲームとまったく変わらず、チームには勝負への緊張感が漂っていた。

今季の戦いは、まだ終わっていない。“埼玉一丸”での勝利へ。蒼きファンの応援を受けて選手たちは今季のラストダンスで勝利をつかみ取る。

(伊藤寿学)

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