2025.12.12[WG昭島] “憧れをやめた先”に見つけた、自分らしい道

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第1節
2025年12月13日(土)12:00 厚木市荻野運動公園競技場 (神奈川県)
クリタウォーターガッシュ昭島 vs 中国電力レッドレグリオンズ

クリタウォーターガッシュ昭島(D3)

クリタウォーターガッシュ昭島の半田裕己選手。「周りを生かすプレーやゲームコントロールもキックも自分の中では精度が上がったかなと」

全体練習が終わったあと、グラウンドの片隅には一人、ボールを蹴り続ける背中があった。黙々と、自分のリズムで積み上げる時間。その姿勢こそが、半田裕己のキャリアを形づくってきた。

ジャパンラグビー リーグワンの舞台で初めて先発に名を連ねたのは2023-24シーズンのディビジョン3第13節。会場は今季の開幕戦と同じ、厚木市荻野運動公園競技場だった。前半3分、落ち着いた表情で放ったペナルティーゴールが静かにポールの間を抜けた瞬間、若き司令塔は鮮烈な印象を残した。

その同じピッチに、ひと回り厚みを増した体で、再び10番を背負って彼は戻ってくる。

期待された昨季は開幕戦こそ先発したものの、納得のいくプレーはほとんどできず、第7節以降は、けがでメンバー表から姿を消した。その中で気が付いたことがある。憧れをやめることだった。入団当初から半田が背中を追い続けていたのは、イングランド代表キャップを持つピアーズ・フランシス。世界基準のスキルと判断力を備えた同ポジション(スタンドオフ)の大先輩は、目標であり理想だった。しかし、迷いの中で自分自身と向き合い続けるうちに、半田はふと立ち止まった。

「ピアーズはうまいので、ついマネをしたくなります。でも、マネをしても追い抜けないと思いました。同じポジションですし、どこか違う部分で勝負しようと決めました」

ピアーズのようにランでボールを持ち運ぶスタイルではなく、自分の強みを生かし、周りを生かすプレーに振り切ることを決めた。その強い決意は開幕前の『ジャパンラグビー リーグワン ライジング2025』でのプレイヤー・オブ・ザ・マッチとして結果にも表れた。

「だいぶ形になってきたと思います。周りを生かすプレーやゲームコントロールもキックも自分の中では精度が上がったかなと。あとは、ピアーズにも言われましたがリーダーシップを持ってゲームを作っていくためには、もっと周りに声を掛けないといけない。それを今季はかなり意識しています」

憧れを手放し、自分の道を見つけた若き司令塔が、ついに花を咲かせようとしている。

「楽しみしかない」という開幕戦で、彼は自らの進化を証明する。

(匂坂俊之)

2025.12.12[中国RR]覚悟を胸に進み続けた旅路の先に。いざ、約3年ぶりのリーグワン復帰戦

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第1節
2025年12月13日(土)12:00 厚木市荻野運動公園競技場 (神奈川県)
クリタウォーターガッシュ昭島 vs 中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

中国電力レッドレグリオンズの木村勇大選手

木村勇大が3年ぶりにジャパンラグビー リーグワンの舞台へと戻ってきた。

2023年、木村は8年在籍した日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)を退団し、会社も辞めて、海外での新たなチャレンジを選んだ。大きな決断だったが、迷いはなかった。

「自分は迷っても最初に選んだ結論に絶対にいきつくので、行きたいと思ったら行くし、やめたほうがいいと思ったらやめる。経験のないことをやるにあたって、『こうなったらどうしよう』と考えても仕方がないので、直感半分、チャレンジ半分みたいな感じでした」

そうやって突き進めたのは、覚悟があったからこそ。

「自分が飛び込むと決めたら、もしいい結果にならなくても納得できると思うんですよ。恐怖はなかったし、納得する自信もあった。というか、納得できるまでやるだろうなという自分への期待がありました。選んだ道を正解にするまでの力はないかもしれないけど、それを正解だと納得する度量はあると思います」

2023年秋にフィリピンでの語学留学を経て、12月にオーストラリアのブリズベンに渡って約1年間ラグビーに打ち込んだ。そこから巡り巡って、今年1月に中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)へと加入。昨シーズンは選手登録が間に合わず、経験や英語力を生かして通訳兼スタッフとして活動し、オフシーズンには再びオーストラリアへ約3カ月の武者修行にも出た。

プレシーズンは広島に戻って外国籍選手をサポートしながら選手としての準備を続け、新シーズンの開幕戦で先発入り。2023年1月21日のディビジョン2第4節・日野RD対浦安D-Rocks戦以来のリーグワン復帰となる。

「もう戻ってくることはないと思っていました。でも、自分が海外に行ってラグビーをして、英語もやり続けてきた積み重ねが、ここまでの道を作ってくれたと思うと本当にうれしいです」

D3の開幕戦出場でリーグワン11キャップ目になる。中国RRでは公式戦デビューだ。

「自分よりもチームのためにプレーしたい思いが一番強いです。自分がしてきた決断の結果の上にいま僕がここにいるので、このチームでやるべきことをやるのが最も重要ですし、それがまたその先につながっていくと思います」

自分で決めたことに腹をくくって一歩一歩進んできた。それはフィールドに立っても変わらない。

「目の前のワンプレーの勝利を積み重ねることで、試合に勝つことができ、シーズンの結果にもつながると思うので、目の前の準備とプレーの質を突き詰めたいです。大きな目標は特にありません。地道に、です」と33歳のロックは笑顔で話した。

覚悟をもって愚直に続けることで自分の道ができる。それを木村がリーグワンの舞台で示す。

(湊昂大)

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