2026.05.29[狭山RG]「仲間を鼓舞するのが自分の役割」。チームを結束させる信頼厚きキャプテンシー

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
D2/D3入替戦[D2 7位 vs D3 2位]第2戦
2026年5月31日(日)14:30 AGFフィールド (東京都)
狭山セコムラガッツ vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

狭山セコムラガッツ(D3)

31日の入替戦第2戦でもゲームキャプテンを務める、狭山セコムラガッツのフェトゥカモカモ・ダグラス バイスキャプテン

「立ち上がりの20分で相手の強度に合わせることができなかった。あと(D3では導入されていない)TMOで試合が止まる経験は初めてだったので、そこでも少し戸惑いもあったと思います」

僅差の末に敗れたビジターでのD2/D3入替戦第1戦でゲームキャプテンを務めた、フェトゥカモカモ・ダグラスはそう振り返った。

試合終盤には、相手がイエローカードで一人少なくなった状態で敵陣へ攻め込んだ際、相手のペナルティがあった。ラインアウトからトライを狙えば、逆転の可能性もあったが、ショットを選択して確実に点差を縮めた。この判断について聞くと、次のように答えた。

「試合後のレビューでは、もう少し戦略的に考えてもよかったという意見も出ました。でもあの場面では、ラインアウトで自分たちがミスをする危険性もゼロではない。入替戦は2試合ありますし、次の試合のことを考えて確実に点差を縮めるという選択をしました」

今季のレギュラーシーズンでは、出場した14試合中9試合でゲームキャプテンを務めたダグラス。強いキャプテンシーが持ち味の選手で、チームメートからの信頼も厚い。D2/D3入替戦1試合目の中継では、解説者が最大の魅力はキャプテンシーと強調した場面もあったほど。そんな彼にチームをけん引する立場として気をつけていることを聞くと「仲間を鼓舞するのが自分の役割」と胸を張る。

「試合中だけではなく、練習のときからしっかりとコミュニケーションを取るようにしています。ゲームキャプテンを任されたときは、ゲームマネジメントの役割を担うスタンドオフの選手とは積極的に話し合います。会話も大切にしていますが、自分がしっかりと行動をとれば、周囲も見てくれますので、それに引っ張られてくれればと考えています」

複数のチームでプレーを経験し、さまざまなキャプテンの立ち居振る舞いを見てきたダグラス。そこから自分に合った要素を引き出し、強いキャプテンシーを築き上げた。

悲願のディビジョン2昇格が懸かる一戦。「ハードワークすることが一番。その中でチームメートを鼓舞して、いいパフォーマンスをしたい。そうすれば、きっと報われると思います」。

マオリの魂を受け継ぐ男は、己と仲間たちの力を信じ、大一番に挑む。

(松野友克)

2026.05.29[釜石SW]「取り組んできたものを全部出してほしい」。41年関わり続けた桜庭吉彦GMが求めるもの

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
D2/D3入替戦[D2 7位 vs D3 2位]第2戦
2026年5月31日(日)14:30 AGFフィールド (東京都)
狭山セコムラガッツ vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)

退任する桜庭吉彦GMにとっても最後の試合。「終わったあと、力を出し尽くして倒れ込むくらい、オールアウトしてほしいです」

41年。

一つのクラブに関わり続けた時間を、言葉にするとどれほどの重みになるのだろうか。

高校卒業後に門を叩いた新日鐵釜石ラグビー部。そこから選手として戦い、指導者としてチームを率い、ゼネラルマネージャー(GM)としてクラブを支えてきた。桜庭吉彦GMにとって、ラグビーは仕事でも役職でもない。人生そのものに近い時間だった。

「人生というと大げさかもしれませんけど、ラグビーをとおして成長させてもらいました」

その言葉は、決して飾らない。だが、その一言の奥には積み重ねてきた歳月がにじむ。

今季限りで退任することが決まり、迎える最後の一戦。それでも本人は、驚くほど淡々としていた。

「特別な思いというのは、そこまでないですね」

そう話しながらも、視線は自然とチームへ向く。

「今季取り組んできたものを全部出してほしい。終わったあと、力を出し尽くして倒れ込むくらい、オールアウトしてほしいです」

桜庭GMがラグビーから学んだもの。その中心にあるのは、「逃げないこと」だった。苦しい局面。敗戦。ミス。思いどおりにいかない時間。人はそこから目を背けたくなる。だが、ラグビーは80分の中で何度も失敗を突き付けてくるスポーツだ。

「失敗しても、引きずっていたら試合は終わってしまう。受け入れて、次に向かうしかないんです」

うまくいかないときこそ、人は試される。苦しいときこそ、成長できる。そう信じ続けてきた。

振り返れば、その価値観は釜石ラグビーそのものだったのかもしれない。秋田で少年時代を過ごし、テレビ越しに見た新日鐵釜石が日本選手権を戦う姿。東北の小さな街にありながら、日本一であり続ける強さに憧れた。

桜庭GMがその新日鐵釜石へ加わったのは、“V7”達成から約3カ月後のことだった。憧れだった場所は、やがて自身の居場所になる。そこで待っていたのは、日本一を知る先輩たちとの日々。その強さの本質は「ラグビーへの飽くなき情熱」だった。

環境を言い訳にしない。与えられた場所で何ができるかを考える。負けず嫌いで、自分に一切の妥協をしない。そうした積み重ねが、受け継がれてきた文化だった。

だからこそ、最後の試合に求めるものもシンプルだ。勝敗だけではない。華やかなプレーだけでもない。

持っているものを、すべて出し切ること。

最後の80分で見たいのは、その姿だ。それこそが、このクラブが受け継いできた強さなのだから。

(髙橋拓磨)

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