2024.05.05NTTリーグワン2023-24 D1 第16節レポート(三重H 31-33 神戸S)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第16節 カンファレンスA
2024年5月4日(土)12:10 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート 31-33 コベルコ神戸スティーラーズ

勝って兜の緒を締める。最多出場記録を更新した鉄人の視線はすでに“次の練習”へ

トップリーグとリーグワン通算で歴代最多出場記録を更新したコベルコ神戸スティーラーズの山下裕史選手

リーグ戦最終節となったディビジョン1第16節、三重ホンダヒート(以下、三重H)とコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)の対戦は、31対33で神戸Sが勝利した。

前半はシーソーゲームの展開となる。先制トライは神戸Sが挙げたが、その後は交互にトライを奪い合う。17対21のスコアで神戸Sがリードして前半を終えたが、後半は三重Hが主導権を握った。後半28分に逆転に成功し、三重Hの勝利が見えてきたかに思えたが、後半38分にラインアウトモールから神戸Sがトライを奪って再逆転。最終的には2点差での決着となった。

入替戦に向かう三重Hと、今節開始前の時点でプレーオフトーナメント進出の望みが絶たれていた神戸S。モチベーションの高さは三重Hのほうに分があった。神戸Sのデイブ・レニー ヘッドコーチも「熱量で完全に自分たちは負けた」と述べ、ブロディ・レタリック共同キャプテンは「自分たちは勝ちに値しなかった」と悔やむ。結果では神戸Sが勝利したが、デイブ・レニー ヘッドコーチとブロディ・レタリック共同キャプテンから紡がれた言葉は、敗者の弁のように聞こえるほどだった。

この試合でジャパンラグビー トップリーグとジャパンラグビー リーグワン通算で178試合に出場し、歴代最多出場記録を更新した神戸Sの山下裕史は、「やっぱりラグビーって簡単に勝てないなと思った」と振り返り、「順位では昨季より上に行けたが、ここで満足していてはいけない」と兜の緒を締める。「公式の記録に残るのはいいこと」とはしながら、178試合出場という記録についても、さほど気にしていなかった。

ベテランとしてチームをまとめる身でもある山下裕史。若い選手について、「主体性を持っているのはいいことだけど、それが自分自身に向いていることが多い。チームとしてのコミュニケーション力を上げていかないといけない」とすでに視線は来季に向いている。

「明日からオフだけど、何人が練習にくるかじゃないですか」

では、自身はどうなのだろうか。「僕は(練習)します。しない理由がないので」。来季に向けた準備はもう始まっている。

(齋藤弦)

三重ホンダヒート

三重ホンダヒートのキアラン・クローリー ヘッドコーチ(左)、古田 凌キャプテン

三重ホンダヒート
キアラン・クローリー ヘッドコーチ

「勝てなかったことに対して非常に残念だという一言です。ただ、われわれの選手たちが今日成し遂げてくれたパフォーマンスに関しては本当に誇りに思いますし、素晴らしいパフォーマンスを出してくれたと思っています。特にディフェンスの部分で、われわれがやりたいところを出してくれたり、熱意を出してくれたりしたので、そこに関しては誇りに思っています。コベルコ神戸スティーラーズはこのディビジョンの中でもベストなチームの一つだと思っていますので、その相手に対して、すごくいいパフォーマンスができたのはわれわれにとって今後、入替戦を戦っていく上で、非常にいい形で自信を付けることができたと思っています」

──今日の試合で感じた、入替戦に向けた課題や手ごたえがあれば教えてください。

「ポジティブな点としては、まず横にいるキャプテンの古田凌が復帰してくれて、80分間プレーをしてくれたことが本当にポジティブなことです。また、パブロ・マテーラ選手も、今日はいいプレータイムが得られたこともそうですし、今日は起用しなかったフランコ・モスタート選手が不在でもチームとしていいパフォーマンスが発揮できることを証明することができたと思っています。

チームの課題としては、細かなところですね。自陣からのイグジット(脱出する)プレーなど、そういうところで的確にプレーができなかったがゆえに、われわれにとって痛みになってしまうような場面がありました。本当はしっかりプレーすることができるのに、一貫性を持って取り組むことができなかったというところがチームとしてあると思います。

とにかく次の試合に向けて、チームとして基本的なところを徹底して、今日何回か逃してしまったセットピースからのチャンスに関しても修正が必要かなと思います」

三重ホンダヒート
古田凌キャプテン

「今日の試合は本当にチームとして勝つためのいい準備ができたからこそ、ここまでのいい試合ができたのではないかなと思います。しかし、負けてしまったことは本当に悔しく思っています。負けは負けなので、これをしっかりと受け入れていきたい。リーグ戦をとおしてチームとしてレベルアップできていて、チームとしてブレずにここまでできたのではないかなと思います。もちろんファンのみなさんの声援のおかげでもあり、タイトな戦いで80分間ハードワークできたからこその結果だと思います。これを入替戦に生かせるように頑張っていきたいと思います」

コベルコ神戸スティーラーズ

コベルコ神戸スティーラーズのデイブ・レニー ヘッドコーチ(左)、ブロディ・レタリック共同キャプテン

コベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ヘッドコーチ

「今日のチームを振り返ったときに、プレーオフトーナメントに行けないチームであることをまさに示した形になったと思います。三重ホンダヒートさんのほうが必死さとしては伝わってきて、なんとか勝点を取って、上の順位にいこうというものが見えました。その熱量で完全に自分たちは負けたと思います。また、フィジカルの部分でも負けたところが多かったと思いますし、今シーズン最後の試合がこういう形で終わってしまって、非常に残念です。先週の静岡ブルーレヴズ戦に関してはいいパフォーマンスでしたが、それから自分たちがこういう形で終わってしまったことは残念です」

──どのような点がチームに足りなかったと思いますか?

「今日の試合が自分たちの現在地を表していると思います。ただ、あと1勝すればプレーオフトーナメントに行ける位置にはいたと思いますけど、今日のような試合からも、自分たちがまだ学んでいる途中だというのがまさに出たと思います。自分たちが丁寧にプレーすることによって、相手に対してプレッシャーを掛けて、相手がディフェンスしなければいけない状況を長い時間作ることなど、それさえしておけばもっと簡単な形にできるところを、自分たちは丁寧にできなくて、自分たちでプレッシャーを掛けてしまいました。そういったところが、まだまだ学んでいる途中だと思います。自分たちは間違いなく成長したと思いますが、トップ4にまだ入る力がなかったことは分かったので、いろいろな課題を来シーズンに向けて改善していきたいと思います」

──伊藤大祐選手がリーグワンデビューを飾りました。評価をお願いします。

「まだまだ成長するところがあると思いますが、来シーズンに向けて彼は将来性がある選手だと思っています。本来であれば、もっと自分たちが高いクオリティーのラグビーができている中で出してあげたかったのですが、それができなかったというところは残念だったと思います。その中でも、オフロードからチャンスを作り上げたりすることもできていたので、今日の試合で感覚をつかめたのは彼にとって良かったかなと思います」

コベルコ神戸スティーラーズ
ブロディ・レタリック 共同キャプテン

「(デイブ)レニー ヘッドコーチが言ったこととほとんど自分も一緒です。自分たちがすごく残念な気持ちで神戸に帰らなければいけない状態になっていると思います。本来なら自分たちは勝ちに値しなかったと思います。三重ホンダヒートさんのほうが間違いなく必死さがあったと思います。これからオフシーズンになりますけど、来シーズンに向けて、自分たちチームにとってはいい学びになったと思います。綺麗な形ではなかったですけど、最終的に勝ちを勝ち取ることができたことだけが唯一、良かったかなと思います」

──逆転されたときはどんな言葉をチームに掛けましたか?

「いろんなことしゃべりすぎて、正直あまり覚えていないです(笑)。先ほども言いましたけど、精度も良くなく、受け身になっている中で、最後のセットピースで自分たちが勝ち切ることができる状況になったのはラッキーだと思います」

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