2023.12.17NTTリーグワン2023-24 D2 第2節レポート(浦安DR 57-12 九州KV)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2(リーグ戦) 第2節
2023年12月16日(土)14:30 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
浦安D-Rocks 57-12 九州電力キューデンヴォルテクス

「みんなで獲ったトライ」。
力強いモールが初勝利を呼び込む

前半39分の場面。浦安D-Rocksがラインアウトからモールを組み、藤村琉士選手が2つめのトライ

今季初のホストゲームで前半に4トライ、後半に5トライと合計9トライを奪った浦安D-Rocksが今季初勝利。駆け付けたファンに白星を届けた。

序盤は流れが悪く、先制トライがTMOによって取り消されたり、反対にその直後に先制トライを許したりと、選手たちに硬さが見られた。それでも前半20分以降は徐々に体がほぐれ、同21分に2トライ目が生まれる。右サイド深いところでのラインアウトからモールで一気に押し込むと、最後は藤村琉士がトライを成功させた。

その後、一度は追い付かれるが、リードして迎えた前半39分、今度は左サイドでのラインアウトから一気にモールで押し込み再び藤村が抜け出してトライ。大きくゲームの流れを引き寄せ、圧倒した後半につなげた。

殊勲の背番号2は勝利に貢献する2トライに胸を張りつつ、チームメートへの感謝を述べた。

「前半は苦戦したけど、しっかりと落ち着いてモールを継続することが今週の目標でもあったので、モールを継続してトライまでもっていけたところは良かったですね」と振り返り、肝心の2トライについては「最終的に僕のトライになっているけど、みんなで獲った、フォワード全員のトライなのでフォワードのみんなに感謝したい」とはにかんだ。

チームとしてもモールは大事にしているプレーの一つだ。普段の練習から、誰がどこに入るかこだわり、力強く組んで押し込むことを意識。「ディティールの部分にこだわり、かみ合えば負けない手ごたえがあります」と藤村は明かし、チームとして奪えたトライだと笑顔で強調する。

「モールではフッカーは後ろでボールをもらえますし、フッカーがトライを取るということはモールでしっかりと押せているということ。みんなが頑張ってくれているので、最後にしっかりとグラウンディングしないとダメですね」

課題や修正点はまだまだ残る。それでもつかんだ初勝利の裏にあった、藤村を中心としたモールの力強さは見逃せない。

(須賀大輔)

浦安D-Rocks

浦安D-Rocksのヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ(左)、飯沼蓮キャプテン

浦安D-Rocks
ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ

「結果に対してはうれしく思っています。前半はミスが多く、ルーズボールがあり、そこをきっかけに相手にトライを許してしまい、かなり難しい試合展開になったのですが、後半は選手たちがしっかりと修正して、チャンスを作り出し、モールもセットピースもうまくいっていました。ラインアウトには少しエラーもありましたが、勢いをうまく出していけたのでよかったと思います」

──1週間前の敗戦はどんな意味がありましたか?

「先週の敗戦に関しては、反省しレビューし学びを生かして良い経験にしていこうと話しました。昨季は入替戦の初戦で初めて負けを経験して、その2戦目になって追う展開を経験しました。チームとして先週の敗戦はこれから向かっていく目標の道のりの一部だと伝えました。慢心せず、1週間ごとに自分たちのやるべきことに集中してこれからも自分たちを高めていきたいと思います」

──今節に向けてフォーカスしたことはなんでしょうか?

「前半はもしかしたら見せられなかったかもしれませんが、敵陣に入ったときにチャンスを決め切ることにフォーカスして臨みました。NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)との試合を振り返ると、敵陣に入ってチャンスを作りながら決め切れないシーンがたくさんありました。スクラムやモール、22mラインアウトでのアタックなどですね。だから、そういうところに大きくフォーカスしてきたところはありますし、今週の試合はそこが少しずつハマり出したように見えました。入替戦に向けてもチャンスは限られているので、そこは引き続き課題にして改善していきたいと思います」

──この日のホストゲームはサステナビリティに力を入れていましたが、勝ち負けが大部分を占めるプロスポーツを率いる立場として、そのような取り組みはどのように感じていますか?

「自分たちの会社の方々およびマネジメント陣を称えたいと思います。自分自身も選手たちにはいつもラグビー以外の部分でも役割があると伝えているので、選手たちがフィールド内外で人々に刺激を与えられる存在になり、人々の人生を変えられるような影響力を及ぼすことができればと話しています。その中で地球をもっとサステナブルな場所にしていくだとか、この先の世代のために働いていくのは素晴らしい取り組みだと思います。自分たちのマネジメントが絡むチーム全体に対して、プレゼンテーションや共有があり、意識を合わせているので、日々実行し、認知度を高めていきたいと思います。自分たちのチームには素晴らしいスタッフ陣がいるので、彼らにもう一度敬意を示したいと思います」

浦安D-Rocks
飯沼蓮キャプテン

「前半は相手も勢いがあって、風もあり、イグジットのところがうまくできずに自分たちのミスから相手に勢いを与えてしまったところはありました。後半はヨハン(・アッカーマン ヘッドコーチ)が言ったように修正できましたが、個人技で(得点を)取ったところが多かったので、課題が多く残る試合だったと思います」

──先週の敗戦から学ばないといけないという言葉があった中で、この試合に向けて大事にしてきたことやキャプテンとしてチームにかけてきた言葉があれば教えてください。

「うまくいかないときにチーム全体をコネクトして、次に何をするのか決める。先週は、チームが良くない状況のときにバラバラになってしまうところがありました。それは昨季の入替戦もそうだし、GR東葛戦でも見られたので、この1週間は苦しいときこそコネクトして次に何をするか、そしてチームが一つになってやるべきことをやろうと言ってきたので、そこは意識していました」

──この勝利の価値はどう捉えていますか?

「勝てたことは有益ですけど、内容に僕は満足していません。勝ちは勝ちですけど、課題はたくさんあるのでしっかりと修正して、入替戦に勝たないと意味がないので、そこに照準を合わせていいチームにしていきたいと思っています」

九州電力キューデンヴォルテクス

九州電力キューデンヴォルテクスの今村友基ヘッドコーチ代行(左)、ウォーカー アレックス拓也キャプテン

九州電力キューデンヴォルテクス
今村友基ヘッドコーチ代行

「本日は素晴らしい会場とグラウンド、そしてたくさんの観客の方に来ていただいて本当に感謝しています。私たちとしましては、先週の悔しい負けからシーズンが始まったんですけど、チーム一丸となって、まずは先週の負けからこの試合につなげるところはつなげるけど、悔しい気持ちは一旦忘れて、もう一度しっかりと準備をして挑んだ試合でした。浦安D-Rocks(以下、浦安DR)さんの強いフィジカルに、けが人も出てしまい、思うような展開にならなかったのは残念ですが、選手たちは100%の力は出してくれたと思います。ただ、ディビジョン2でやっていくには何が足りないのか、そのいいレッスンになったと思うので、この経験を生かして次につなげていきたいと思います」

──今季は生きの良い若手が入ってきたと思いますが、その成長ぶりと期待について。

「たくさん若い選手が入り、新外国人を含め、昨季と比べてずいぶん人も代わりました。高い強度でトレーニングを積めているのは昨季と違ってすごく良い部分だと思います。ただ、それを今日出せなかったのは残念であります。引き続き、チーム内で高い強度を保ちながら成長していきたいと思います」

──昨季からの上積みはどこにありますか?

「自分としては、今季で2年目。昨季はアタックコーチをやらせていただいていましたけど、昨季やったことをベースにして、そこにアタックのオプションを準備してきました。今日はそれを出す前の時点でつぶされてしまい、そこでやりたいことができなかった印象ですね」

──現時点で考えている改善点は?

「今日に関して言うと、前半にロックの石松(大空)がけがをしてしまいました。リスクを承知で臨んだが、そこのバックアップとしてフランカーの山田(有樹)がロックをやることになりました。ラインアウトでのアタックを準備していたけれど、ラインアウト獲得のところで苦戦してしまったところもありました。いろいろなパターンを想定しながらも、ラインアウトからのアタックは武器にしたいところなのでラインアウトの精度を今後は上げていきたいと思います」

九州電力キューデンヴォルテクス
ウォーカー アレックス拓也キャプテン

「このような素晴らしい環境でラグビーをさせていただきまして、関係者のみなさまありがとうございます。自分たちはディビジョン3からディビジョン2に昇格してきたチームです。フィジカルの高さや浦安DRさんのスキルレベルの高さに苦労する場面はあったと思いますが、前半は自分たちがやりたいラグビー、自分たちがやらなければいけないことはしっかり良いレベルでできたと思います。でも、後半は相手のフィジカルの高さやインディヴィジュアルのレベルの高さに少し受け身になってしまった部分があったので、そこはまだまだ成長できる部分だと思います。いま、今村ヘッドコーチ(代行)が言ってくれたように自分たちの努力もあったと思うので、あとはそこで何をできるか、成長していけるかでもっと良くしていけると思うので、みんなで話し合っていきたいと思っています」

──ディビジョン3とディビジョン2のフィジカルはどのくらい違うと感じましたか?

「1on1の部分では通用しているところもあると思いますけど、それを80分、高い強度でやりきるところはディビジョン3とは違うと肌で感じました」

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