2024.02.06NTTリーグワン2023-24 D2 第5節レポート(GR東葛 61-17 釜石SW)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第5節
2024年2月4日(日)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 61-17 日本製鉄釜石シーウェイブス

激しい競争と、起用選手が期待に応える好循環。
GR東葛が続ける右肩上がりの成長

今シーズン初出場で2トライの活躍、NECグリーンロケッツ東葛の宮島裕之選手

2月4日、NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は、61対17で日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)とのホストゲームを制し、3連勝を挙げた。

この試合に臨むGR東葛のメンバーには、いくつかの変更点があった。1月20日と1月28日に行われた練習試合で、好パフォーマンスを見せた選手たちが釜石SW戦のメンバーに抜擢されたのである。田中史朗と瀧澤直はリザーブに入り、東恩納寛太と宮島裕之は今季初めて先発メンバーに名を連ねた。特に宮島にとっては、昨年3月19日のコベルコ神戸スティーラーズ戦以来、約11カ月ぶりの公式戦出場だった。

「僕は第4節まで試合に出ていなくて、出ていなかったメンバーたちと一緒に練習をやっていたので、そのメンバーたちから『行ってこい』、『頑張ってこい』と言ってもらえたのはうれしかったし、頑張ったら試合に出られるというのを見せたいと思っていました」

宮島は高いモチベーションを抱いて試合に入った。ただ、過度の緊張感や気負いはなく、「自分が練習でやってきたことをやるだけ」と自らのタスクに集中して臨んだ。

28対14で迎えた後半1分、松浦康一のスペースへ出したキックパスに突進した宮島は、バウンドしたボールを低い体勢でキャッチすると、そのままトライを決めた。前半はキックを使ってエリアを取り戻す釜石SWの反攻の前にリズムに乗り切れなかったGR東葛だったが、後半開始早々のトライで流れを大きく引き寄せ、後半の猛攻へとつなげた。

ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチのマネジメントにより、GR東葛のチーム内では各ポジションでの争いが激化している。日々の練習や、練習試合で好プレーを見せた者がリーグ戦に出場するサイクルが確立され、宮島はその激しいポジション争いの中で出番を勝ち取り、約11カ月ぶりの公式戦でトライを決めて、ヘッドコーチの起用に応える活躍を見せた。さらに宮島の二つ目のトライを含む、後半の5トライで点差を広げたGR東葛は、61対17のスコアで勝利を収めた。

「チームでは高いレベルで競争ができていて、特にバックスリーは激戦区だと実感しています。次も自分が出られるとは思っていないので、自分のできることをやるというのを常にやっていきたいと思います」

ボーナスポイントを獲得しての快勝にも浮かれる様子はなく、宮島は地に足を着け、早くも次の競争を見据えていた。今回の宮島の活躍は、現在出場機会に飢えている選手たちのモチベーションをより大きく煽ったことだろう。

熾烈なポジション争いは、確実にチーム力の底上げを促す。1年でのディビジョン1復帰へ向けて、GR東葛は右肩上がりの成長を続けていく。

(鈴木潤)

NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛のウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ(左)、レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

NECグリーンロケッツ東葛
ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ

「(勝ち点)5点のボーナスポイントを目標に掲げてやってきましたが、そこはしっかりと手にすることができて良かったです。前半はエラーが続き、自分たちのポテンシャルを最大限に生かすことができませんでしたが、ハーフタイムに改善して、後半は良いパフォーマンスができたと思います。しかしまだベストのベストというわけではないので、ここから数週間しっかりトレーニングをして、80分間出せるようにしていきたいと思います」

──ディビジョン2は前半戦を終えて上位3チームが4勝1敗で並んでいる状況です。ここから抜け出すため、さらにチームがベストな状況になるために、後半戦に向けて高めていきたいのはどのようなことでしょうか?

「残りの豊田自動織機シャトルズ愛知と浦安D-Rocks(以下、浦安DR)との試合に向けてしっかり備えていきたいと思っています。ホストゲームとビジターゲーム、これからどちらも試合がありますが、最終的にトップ3、もしくはそれ以上の結果を出せるように整えていく。あとは先ほども言ったように80分間しっかりしたプレーができるような環境が整っているチームになるために準備していきたいと思います。初戦の浦安DR戦のNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は本当に良かったので、もう一度あのパフォーマンスができるように整えていきたいと思います」

──今日は宮島裕之選手を今季初めて先発で起用しましたが、その理由と宮島選手の評価を聞かせていただけますか?

「これまでの2週間に非公式の試合を行いましたが、その場で良いプレーを見せてくれたので、そこは彼の頑張りを評価してスターティングメンバーに起用しました。アタックのフェーズとして見ても良いパフォーマンスだったので、そこは胸を張ってほしいと思います。現在、望みどおりなんですがチーム内の競争が激しくなっている状況です。ここ数週間は練習試合を含めてそういう場があったので、全員が主張する機会があり、本当に競争が激しいと感じています」

NECグリーンロケッツ東葛
レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

「試合は結構グチャグチャでミスも多かったし、ペナルティも多かった。目標は勝ち点5で、それは取ることができたんだけど、パフォーマンス的には自分たちのスタンダードではなかったと思います」

──試合がグチャグチャになった、との話でしたが、グラウンドがウェットだったということですか?

「そういうことではなくて、ブレイクダウンエリアで自分たちがうまくボールを出せないし、ラックになったら手を使ってはいけないのにミスが多くて、すごくフラストレーションが溜まっていた。レフリーとうまくコミュニケーションを取れなくて、レフリーに異議を伝えたらイエローカードになってしまった。それは気をつけないといけないけど、フラストレーションが溜まった試合でした。僕らのやりたいことは球出しを速くキャリーして、すぐにボールを動かすこと。相手としては、スローにさせたい。それでうまく乗れなかった」

日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブスの須田康夫ヘッドコーチ(右)、河野良太クラブキャプテン

日本製鉄釜石シーウェイブス
須田康夫ヘッドコーチ

「本日は素晴らしい環境の中でゲームをさせていただいて非常に光栄に思っております。結果としては大敗という形になってしまいましたが、昨季はディビジョン1だったGR東葛さんに対して、序盤はしっかりエリアを取って食らいついていくというゲームプランは遂行できました。展開としてはもったいないペナルティで自らを苦しめた時間帯はあったと思うんですが、次につながる手ごたえのある時間帯を作れたと思います。最後のほうはGR東葛さんの素晴らしいプレッシャーの中、われわれが耐え切れないという展開になってしまったのが少し残念ですが、次の浦安DR戦にしっかり切り替えて準備していきたいと思います。本日はありがとうございました」

──前回のリーグ戦から1カ月ほど間隔が空きました。その間、どのようなことに重きを置いてトレーニングをしていたのでしょうか?

「われわれは選手層がすごく厚いチームではないので、それぞれが1カ月、最初はコンディションの調整とGR東葛さんへの準備をする時間に充てました。特にわれわれは東北エリアで近くに対戦相手が少なくて、ゲームができなかったんですけど、しっかりコンディションを整えましょうということで、スカウティングをしてじっくり時間を使えた4週間だったと思います」

──前半は拮抗した展開に持ち込めたのは、その成果が出たと考えていますか?

「そうですね。ある程度分析したとおりのことができたので、そういう仕組みの部分ではしっかりやれていたと思うんですが、ラグビーはそれだけではなく、規律の部分や相手とのエリアの部分で少し後手に回ってしまったと思います」

日本製鉄釜石シーウェイブス
河野良太クラブキャプテン

「本日の試合開催に携わっていただいたみなさま、ありがとうございました。試合としては結果、大敗という形になってしまったんですが、ヘッドコーチも話したとおり前半はキックをうまく使いながら、敵陣でプレーすることは遂行できていたと思います。ただ、ゴール前に行ったときに自分たちのミスで取り切れずに流れがつかめず、また試合の中盤は自分たちのペナルティがあって、GR東葛さんの強いフォワードの前に失点を重ねてしまったところが、試合の流れをつかめなかった部分だと思います。チームとしてポジティブな部分もたくさんあったと思うので、次の浦安DR戦に向けて修正してしっかりやっていきたいと思います」

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