NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第2節(リーグ戦) カンファレンスA
2024年12月29日(日)13:00 味の素スタジアム (東京都)
東芝ブレイブルーパス東京 61-8 三菱重工相模原ダイナボアーズ
連続して見せたビッグゲイン。伝統の背番号2は、明るくタフに
東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は12月29日、味の素スタジアムで三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)から9トライを奪い、61対8と圧勝した。
BL東京の選手たちがホストゲーム開幕戦で、縦横無尽にグラウンドを走り回った。その中でも10,471人のファンを沸かせたのが橋本大吾だった。
前半33分に眞野泰地のパスを受けて30mを疾走。同35分にリーチ マイケルのパスを受けると相模原DBのカートリー・アレンゼのタックルを振りほどいて貴重なゲイン。同37分には自陣からグラウンド中央を鮮やかに駆け抜けた。
「試合前から細かいパス(を使うことで)でスペースが空くという話が出ていて、前半の最初から積極的に狙っていました。退場で相手の人数が減ったこともあって、僕の前に大きなスペースができたので、パスをもらえて良かったです」
明快にチームと自身のプレーを説明したあとには朗らかに笑った。
「珍しいと思ってもらって大丈夫です。あんなに走ったのは久しぶりなので疲れました(笑)。抜けたときにみんなが良いサポートをしてくれて、右からも左からもコールがあったのでパスの相手を探すのが大変でした」
報道陣から「速かったですね」と声を掛けられると、声のトーンを抑えて「実は意外と速いんですよ」と答えて取材現場がドッと沸く。
普段の練習から厳しさと明るさでチームを引っ張る30歳が、再び強い意志を言葉に込めたのは日本代表で活躍した原田衛がいる中で背番号2を着けて先発していることについて語ったときだった。
「ホストゲーム開幕戦で今季から新しくなった赤色のジャージーで2番を着るのがうれしかったです。着られて光栄でした」
昨季に“東芝のフッカー”について聞いた際も、「2番のジャージーを着るのは特別なことです。このチームのフッカーは周りから見られる目も違うと思いますし、プライドを持ってプレーしています」と、力強く言い切っていた。
伝統の背番号にプライドを持ち、明るくタフに戦う。冬晴れの中で行われた一戦は、橋本の存在の大きさを、あらためて感じさせた。
(安実剛士)
東芝ブレイブルーパス東京
東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ
「まずはホストゲーム開幕戦をたくさんのファンの前で迎えられたことをうれしく思います。この1週間だけでなく、プレシーズンから取り組んできたことが形になり、チームを誇りに思います。先週勝利して、今週も勝てたことで一歩前に進むことができました。今日は特にフォワードが良かったです。今季から加入したジョシュア・シムズ フォワードコーチの下で鍛えていることが形になりました。前半からリードできたおかげで余裕をもって選手交代もできましたし、プレータイムが必要な選手にチャンスを与えることができたので、全体的にこれ以上求めることができないような素晴らしい1日でした」
──後半にリッチー・モウンガ選手と、リーチ マイケル選手を交代させましたが、収穫や課題はありましたか?
「ポジティブな点で言うと控えの選手にプレータイムを与えられたことです。今後は長いシーズンでけがもあるかもしれないので、そうした事態を想定した良い準備となりました。今日は前半のスコアによって、主力選手に休みを与えて控えの選手に経験を与えるという良い結果になったと思います。リーグワンはどんどんタフになっているので、長いシーズンを見据えて必要な判断をしていきます」
──プレースキッカーがモウンガ選手ではなく、松永拓朗選手だった理由は?
「今週はモウンガに少し足の張りがあったので、拓朗に任せようという判断になりました。拓朗が日本代表に参加したことは成長の良い機会になったと思いますし、もともと成長曲線は右肩上がりでしたが、さらに成長が加速していると思います。日ごろからモウンガを見て、10番としての能力も確実に伸びています。今後も伸びるしかない素晴らしいポテンシャルを秘めた選手だと思っています」
──途中出場の池戸将太郎選手は出場時間が約5分でしたが、もっと早く交代させることは考えませんでしたか?
「将太郎は当初のプランではもっと早めに出す予定でしたが、バックスで少し足がつっている選手もいたので、いろいろなシチュエーションを想定しながら進めて、結果的にあのタイミングでの交代になりました」
東芝ブレイブルーパス東京
リーチ マイケル キャプテン
「多くのファンの前でホストゲーム開幕戦ができてうれしかったです。先週に続いて立ち上がりの10分はリズムをつかめずにスタートしましたが、その後は修正して自分たちの強みを出していきました。修正能力は高いのですが、反省点としては立ち上がりの悪さと後半の自陣でのプレー時間の長さが挙げられます。来週の相手のコベルコ神戸スティーラーズは違う形のプレッシャーを掛けてくるチームなので、準備をしていきます。今季のリーグワンはすごく面白くて、タイトなゲームが多いので、どのチームが相手でもしっかり準備しないといけないとあらためて感じています」
──後半に自陣でのプレー時間が長くなってしまった要因は?
「ボールを持って攻めている際にタッチラインに出てしまったり、脱出したいのにノックオンをしたり、変なオフロードパスを出したりしてしまいました。スタッツを見ないと分かりませんが、30分ぐらい自陣にいたイメージです。これからどうするべきか、森田佳寿コーチングコーディネーターらと話して修正していきたいです」
──前半にどのような修正を行いましたか?
「確実な判断をすることです。『東芝=タフなプレー』なので、そこに立ち戻りました。来週は立ち上がりから強いプレーで壁をどう壊すかを考えていきます。また、ディフェンスで前に出て止めるシーンがあまりなかったのですが、そこも本来は自分たちの強みだと思っているのでフォーカスしたいです」
三菱重工相模原ダイナボアーズ
三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ
「前半のパフォーマンスにびっくりしているところです。最初の20分間は良い勝負ができていました。その後の20分間に東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)が素晴らしかったこともありますが、自分たちのスタンダードのプレーができず、ハーフタイムには試合が決まってしまいました。先週の試合からつなげようとしてきたことができなかったので、切り替えなければいけません。BL東京は素晴らしいパフォーマンスでしたが、それよりも自分たちの出来がよくなかったので、そこを修正します。BL東京にはおめでとうと言いたいです」
──エピネリ・ウルイヴァイティ選手が退場になり、今日はウォルト・スティーンカンプ選手も欠場でしたが、フォワードをどう立て直しますか?
「来週に向けて良い準備ができると信じています。レッドカードは確かに想定外でしたが、対応が遅過ぎました。途中出場のティモテ・タヴァレアや佐藤弘樹もインパクトを見せて前に出ていましたが、ダイレクトに強いキャリーをする選手がいなかったのは痛かったです。われわれとしては対応力を修正しないといけません」
──レッドカードでも20分後に別選手が出られるルールついてどう感じましたか?
「ラグビーもカードが出てからどう対応するのかがとても大切です。コーチとして想定してプランニングをして、20分後に誰を出すかを考えていましたが、その20分間で痛い目に遭ってしまいました。一番大事なのはそもそもカードを出さないことだと思います」
──カートリー・アレンゼ選手とチームの連係についてはどのように思いますか?
「われわれとしては連係のところはうまくいっていると思っています。今日は20回ほどターンオーバーされてしまったので、彼にボールを渡すチャンスがありませんでした。ハイボールキャッチやカウンターアタックで良いところも見せていましたが、先週の試合から何度か強いコンタクトもあったので、試合の結果が見えたところで交代させました。フィットはしていると思います」
三菱重工相模原ダイナボアーズ
岩村昂太キャプテン
「前半の後半部分に自分たちのスタンダードではないプレーがたくさん出てしまって、非常に情けなく思いました。プレシーズンの23週間で、本当にハードワークして準備してきたのですが、こんな試合をしてしまってもったいないです。相模原を代表して、会社を代表してプレーしているはずですが、情けなく思いますし、こんな試合は二度としてはいけないと思います。次はショートウィーク(中5日)なので切り替えて、静岡ブルーレヴズ戦に向けて準備していきます」
──残念な結果となった要因は?
「横とのつながりや細かいコミュニケーションに課題があると思います。ラグビーは一人ではできないスポーツなので、15人でどうプレーするのかが大切ですが、一人ひとりで(つながれずに)プレーしてしまったのが要因だと思います」
──レッドカードでも20分後に別選手が出られるルールついてどう感じましたか?
「基本的にはレッドカードを出さないのが一番大切です。15人がそろってからは安定したプレーもできたので、まずはカードを出さないことが大切だと感じました」