NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第6節(交流戦)
2025年2月1日(土)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ vs 東京サントリーサンゴリアス
本領発揮のアタッキングラグビー。苦境を経て、つかんだ連勝

開幕から4戦勝ちなし(2分2敗)と苦しんでいた昨季3位の東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)。前節で三重ホンダヒートから今季初勝利を挙げると、試合間隔が2週間空いてリフレッシュした今節では、今季好調で3位につけていた静岡ブルーレヴズに33対14で快勝して2連勝。順位も7位に上げて、ようやく本領を発揮しつつある。
そんなチームを勢いづける1勝で、半分以上の18得点を稼ぎ出したのが、23歳の髙本幹也だった。正確な左足のキックでペナルティゴール3本、コンバージョンゴール2本、そして自らトライも1本決めた大活躍だったが、本人は決して驕ることはない。
「チームとしても個人としても1週間やってきたことを出せた部分が多かったんですが、課題が少し残る試合だったと思います。レヴズがボールをキープすると分かった中で、自分たちがタッチ(キック)をしっかり蹴り出す精度は少し低かったので、次に生かしていきたいと思います」
とはいえ、苦しかった時期と比べてチームとして自分たちのラグビーを取り戻しつつあることは実感できている。
「一人ひとりに勝ちたい気持ちがあって、それがだんだんコミュニケーションにつながって、フィールドレベルでもオフフィールドでもしっかりコミュニケーションを取って試合ができていると感じます。だから今日は、ほとんどの時間で自分たちが望んでいたラグビーができたと思います。精度はまだ低い部分があるんですが、遂行力は今日は良かったかなと感じます」
キャプテンの堀越康介も「結果が出ないときも一喜一憂せずやっていこうとみんなで言っていて、今週はもう一度自分たちのラグビーは何なのかを一番のテーマとしてやってきました。僕たちはやっぱりアタッキングラグビーですし、自分たちのテンポでラグビーをしたいチームなので、そのために何が必要なのかというところが今日はできたと思います」と振り返る。
その上で堀越は「今後もやり続けることが必要だと思うし、それができれば勝ち続けられる自信もあるので、みんなで方向性を間違わずに、全員で同じ絵を見ながらやっていきたいと思います」と付け加えた。
現在リーグの得点ランキングトップで、チームの未来を背負うべき存在である髙本は、「少しずつではありますが全体の精度、個人の精度は上がってきていると思います。自分のパフォーマンスに対してどうあるべきかを常に考えているので、そこをもっともっと上げていきたいです」と冷静に語る。
東京SGが今後も安定して自分たちのラグビーを表現していくという予感は、試合内容からも彼らの言葉からも十分に感じとることができた。
(前島芳雄)
静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「今日はたくさんの人に応援に来てもらって、その中でしっかり勝ちたかったんですが、相手よりほぼ倍のペナルティをしたことによって自分たちの勢いがすべて失われた感じでした。それをしっかり修正できるように、次の試合まで準備していきたいと思います」
──昨季はペナルティを少なく抑えていた印象でしたが、今季増えているのはどういう原因が考えられますか?
「(今日の試合のペナルティの場面を)何度か見直したんですが、ちょっと分からないところがあったので、もう1回しっかり見直して、次の試合にはなくせるようにしたいと思います」
──ペナルティをなくせそうな感覚はありますか?
「何度か見たんですが、どれが(ペナルティだったのか)というのはよく分からなかったので、それが本当にペナルティなのかどうかというところも含めてレフリーとコミュニケーションを取りながら、規律をしっかり保てるようにしないといけないと思います」
──セットピースについて、どう感じていますか?
「スクラムは基本的にはスクラムコーチ以外分からないので、それは向こうの勢いとの差だと思います」
──相手の特徴に対する今日のゲームプランについて教えてもらえますか?
「アタックに関しては、そこまで複雑なアタックをしてくるわけではないのでしっかりタックルすること、ジャッカル(スティール)に来る選手が多いので、そこのクリーンアウトの部分(を伝えました)。そこは今日なかなかうまくいかないところがありましたし、オフサイドしないようにしていたところでオフサイドになってしまうこともありました。アタックにやられたというよりは、自分たちのペナルティの部分でやられて自分たちのベースにならなかったというのが大きいと思います」
──横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)、東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)、東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)と昨季の上位チームとの3連戦でしたが、得た手ごたえや課題はどんなところでしょうか?
「前に行ったときは勢いが出るのですが、今日のように苦しい展開になったときに自分たちでさらに首を絞めているところがあったので、そのへんを修正していきたいです。どういうふうに次に向かっていかないといけないかというのは、今日は学べたと思います」
静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス キャプテン
「東京SGはすごくいいプレーをしたと思っています。自分たちのミスからモメンタムを失ってしまい、ボールを持つことができないことがありました。あとはペナルティの数ですね。ディフェンスのところでのペナルティが、この試合の結果に影響してしまったと思います。これからしっかりと自分たちが修正するところを学んでいきたいですし、まだまだリーグワンの試合はたくさんありますので、ここからしっかりと前に進んでいきたいと思います」
──後半開始早々にトライを取って、かなり勢いが出たように見えました。その後のプレーの流れに関してどう感じていますか?
「自分たちがボールを持っているときは、良い形でああいうトライを取ることができました。勢いやメンタルを維持することができなかったところがあったと思っています。トライを取ったあとにまたモメンタムが失われてしまい、相手に取られてしまうことがありましたし、22mラインの中に入ったときに、そこから得点することができなくなりました。いくつかチャンスはあったんですが、その中で取り切ることができないということがあったので、そこの22m内に入ったところの得点力をしっかり上げていかなければならないと思っています」
──ミスやペナルティが多いという話がありましたが、ピッチ内で修正するためにどんな話をされていましたか?
「ハドルの中で、ペナルティをなくしていかなきゃいけないという話はもちろんしていました。ただ、相手に得点されて、自分たちが追い掛ける形になるときに、選手たちの中で自分が何かしなきゃいけないというやる気の部分が前に出てしまったところがあったので、そこのバランスだと思います。しっかりディフェンスをすることや前に上がるということもそうですし、ペナルティをしないということのバランスを考えることも大事です。自分たちのシステムの中でしっかり動いていくということが必要だと思っています」
──今日までで横浜E、BL東京、東京SGと昨季の上位チームとの3連戦でしたが、得た手応えや課題はどんなところでしょうか?
「トップチームと戦っていくということに関しては、自分たちにとっても試される部分がすごくあると思います。横浜Eとの試合でも自分たちでしっかりボールを持てずに、ペナルティで相手に得点された部分がありましたので、しっかりと今日の試合から学んで、正しいことをしっかりとやるということはもちろん、正しいエリアに自分たちで入っていかなければなりません。そういうところをしっかり意識しながら試合をしていきたいと思います」
東京サントリーサンゴリアス

東京サントリーサンゴリアス
小野晃征ヘッドコーチ
「まず、両チームのファンのみなさん、寒い中応援ありがとうございました。チームとしては、最初の5節でなかなか求める結果につながらなかったところがあったんですが、この試合に向けて試合のメンバーやメンバー外も含めてセイムページを見て戦うように準備してきたことが、今日の80分間の結果になったと思っています。これをしっかり自信にして、来週に向けて頑張りたいと思っています。ありがとうございました」
──バイウィークの2週間の過ごし方と、どういうところを修正してきたかについて教えてください。
「最初の5試合ですごくタフな試合が続いた中、しっかり選手たちのコンディションを整えることが1週目は大事だと思っていました。今週はノーマルゲームウィークとして、いつもどおり準備するプロセスは大きく変えなかったんですが、ホリ(堀越康介キャプテン)が言ったように、お互い自分たちの戦い方のカラーがある両チームだったと思うので、しっかり自分たちのやりたいテンポで『アグレッシブアタッキングラグビー』ができるように1週間準備してきました」
──ここにきて2連勝。苦しかった時期と比べて、どんなところが良くなったと感じていますか?
「2回引き分けて、1点差で負けた試合もありました。もちろん最後に勝ち切らないとダメで、そこでサンゴリアスらしさを出したいと思っているのですが、決してやっているラグビーは間違ってないというのもみんなが信じていましたし、その勝つチャンスが最後の1分なのか、今日であれば後半の10分ぐらいにトライチャンスがあったときにしっかり取り切ったところが、スコア以上のリードができた展開になったと思います。まずしっかり勝つチャンスを生み出す、勝ち切るというところは、チームとしてこれからも大事にしていかなければいけない点だと思っています」
東京サントリーサンゴリアス
堀越康介キャプテン
「本日はありがとうございました。本当に両チームとも我慢の時間が多くありました。勝ったんですが、自分たちのゲームプランを信じて、我慢強くプレーし続けた結果が今日の勝利だと思うので、良かったなと思います」
──相手の強みを抑えたように見えました。特にスクラムでどういうところが上回ったのでしょうか?
「レヴズは良いバックスが外にたくさんいると思いますが、その前にフォワードでモメンタムを作ってくるチームで、そこのフォワードの戦いになるというふうに1週間言い続けました。レヴズの対策というよりは、自分たちのスクラム、自分たちのモールディフェンス、自分たちのモールを、もう1回100%やり続けようとバイウィークを経てみんなで確認できて、それが今日のゲームの結果になったと思います。フォワードのバトルで優勢になったことは良かったと思います」
──ここにきて2連勝。苦しかった時期と比べて、どんなところが良くなったと感じていますか?
「もう1回、自分たちのラグビーは何なのかというところを今週一番のテーマとしてやってきました。僕たちはやっぱりアタッキングラグビーですし、自分たちのテンポでラグビーしたいチームなので、そのために何が必要なのかというところが今日はできたと思います。それを今後やり続けることが必要だと思うし、それができれば勝ち続けられる自信もあるので、そこに対してみんなで方向性を間違わずに、全員で同じ絵を見ながらやっていきたいと思います。ただ、結果が出ないときも一喜一憂せずやっていこうとみんなで言っていました。来週また試合があるので、今日は喜んでいいと思いますが、また一喜一憂せず1週間積み上げて、次の試合に向かっていきたいと思います」