NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第7節(交流戦)
2025年2月8日(土)12:00 Jヴィレッジスタジアム (福島県)
リコーブラックラムズ東京 24-32 静岡ブルーレヴズ
トンネルを抜け出すための“もうちょっと”。一人ひとりの奮起が転換点を手繰り寄せる

今季2勝目を目指し、1カ月ぶりのホストゲームに臨んだリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)。リアム・ギル、池田悠希のトライなどで一時9点のリードを奪ったものの、ペナルティがかさみ、また静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)の安定したセットピースには陣地を下げられ、最終スコアは24対32。勝ち点1を獲得できる7点差以内の敗戦まで、わずか1点届かない悔しい敗戦となった。
先発したネタニ・ヴァカヤリアの出血・HIAチェックのため、まずは前半に17分間の一時交替。そして後半30分に正式交替と、この試合で合わせて27分間の出場時間を得たのはルーキー・伊藤耕太郎。
「コリジョンとハードワーク」を自身の課題に掲げて臨んだ一戦で、「これまでの6試合とは違う形でのパフォーマンスを出せた」と自信を手にした。
そう、この日はボールを持てば、蹴らずに自ら当たりにいった。そして数mゲインし、ボールを仲間に託すことを繰り返す。
意識がプレーに表れた局面が、この日は何度も見受けられた。
「僕のディフェンスの詰めが良くなかったところも、チームとしてやってきたことができなかったところもありました。そこはしっかりと修正したいです。ただ自分自身のフィジカル面、ハードワーク面はこれまでの試合よりも意識してプレーできたと思います」
静岡BRのスクラムハーフが、國學院栃木高校時代にハーフ団を組んでいた北村瞬太郎だったことも大きかった。
小学生のころに通っていたラグビー教室で出会い、10年以上の付き合いを有する良き仲間だからこそ「誰よりも負けたくないという気持ちになった」と奮起もした。
チームとして結果が伴わず、長く暗いトンネルを通過中のBR東京。一人ひとりの『ちょっとずつ』を積み重ねながら、転換点を手繰り寄せるしかない。
伊藤は「もっとインパクトを見せなきゃいけない。まずはプレータイムをもらうところから、一歩ずつ始まっていく」と気を引き締めた。
伊藤には、目標とする選手がいる。世界最高峰のラグビープレーヤーであり、自身と似通った背格好のリッチー・モウンガ(東芝ブレイブルーパス東京)だ。
2週間後にはBL東京との対戦が待ち受けるが「そのときに10番をつかみ取ることが一つの目標」と語り、さらなる成長を誓った。
(原田友莉子)
リコーブラックラムズ東京

リコーブラックラムズ東京
タンバイ・マットソン ヘッドコーチ
「また今回も残念な敗戦となりました。ハイライトになるようなシーンもいくつかありましたが、静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)さんにチャンスを与え過ぎて、トライスコアリングエリアに入られ過ぎてしまったと感じます。そして静岡BRはちゃんと(チャンスを)決め続けたゲームでした。
特に後半は、それに加えてゲームのテンポを静岡BRがうまくコントロールしているなと感じました。彼らにフィットした流れになって、勝利につなげられてしまったと感じます」
──規律が乱れた大きな原因は何だと考えていますか?
「ディフェンスするほうがペナルティは多いですよね。今日はボールをコントロールできなかった結果、ディフェンスの時間が長かった。なので、もっとボールをキープできるようにしていかないといけないと考えています。そうすればペナルティの数は減るのかな、と。
あとはタックラーのノットロールアウェイが多かったですね。アシストタックラーも(タックルの位置が)高くて、倒れるときに相手のほうに倒れてしまっていたので、レフリーとしても(ノットロールアウェイを)取らざるをえなかったと思います。オフサイドペナルティが多かったことも残念です」
──難しい試合となった前節から1週間。短い時間の中でリビルドする上で、どういうことにフォーカスをしたのでしょうか?
「ターンオーバーを減らしたいということ。そこは良くなったと思います。また静岡BRのポイントであるフィジカルにもフォーカスしました。今日はわれわれの選手たちもフィジカルに戦ってくれたと思います」
──フィジカルやエフォートの面では上向きだと感じている、ということでしょうか?
「良くはなっていたと思います。トライライン(ゴールライン)際で、相手のアタックを何本も止めました。すごく良いエフォートが出ていないと、止められないと思います。
最後のほうのスクラムに関しては、(ヘッドコーチ自身が選手時代は)バックスなので全然分からないのですが必ずしっかりと振り返ります」
──いま、チームで一番自信をもっていること、また早急に改善しなければならないことをそれぞれ教えてください。
「外からは見えないかもしれませんが、準備の一貫性はすごく良いです。まだそれがゲームフィールドには直接つながっていないのですが、フィットネスレベルの数値などは伸びてきたと感じています。
改善すべき点は、敵陣22m内に入ったら得点して終わることです」
リコーブラックラムズ東京
TJ・ペレナラ ゲームキャプテン
「ヘッドコーチと同じ意見です。静岡BRは自分たちのテンポでプレーできていたと思います。特に後半は相手のゲームマネジメントも良かったですし、加えて自分たちも多くのペナルティを与えてしまいました。なかなかボールを持って相手陣に進めず、チャンスを生み出せませんでした。
後半35分ぐらいのアタックが、後半初めてアタッキングゾーンでボールをキープできたという感覚です。相手にチャンスを与えないために規律をしっかりしないといけないですし、静岡BRがしっかりとコントロールしてチャンスを生かし切ったところは彼らの良かったところかなと思います」
──規律が乱れる中でのゲームは、やりづらさがありましたか?
「もちろんです。今日はおそらくペナルティ数が19(3つのフリーキック含む)を数えたと思うのですが、どんな相手でも19ものペナルティを取られていたら勝つのは難しいですよね」
──ゲームキャプテンとして試合中にはどんなメッセージをチームに伝えていたのでしょうか?
「『次の仕事は何か』、ということに基本はフォーカスしています。どんな状況でも、次のこと。過去に起きたことはどうしようもないので、ゲームの最中は、『次の瞬間にどうやって勝つか』、と次のアクションを考えます。
今日は苦しい時間帯にもディフェンスで粘って、役割の調節をしながら進められました。静岡BRがスローゲームにしてくれたことで、少し手助けしてくれたところはあったかなと思います」
──結果の伴わないゲームが続いているときに、チームが一番やらなければならないことは何でしょうか?
「僕が一番自信を持っているのは、このチームについてです。とても良いコーチングスタッフも、選手もいます。結果が出てないのでフラストレーションも溜まってしまうけれど、進んでいる方向、そして、このチームに対してはとても自信をもってラグビーをしています。
なので、自分たちに必要なのは、一人ひとりそれぞれが自信をもつこと。もちろん優勝したいですが、まずはグラウンドで一貫性のあるプレーを見せ続けること。あとはすでにツールは集まっているので、それに自信をもって磨き続けること。そうすれば、こういうタフな試合でも8点差で負けるのではなく4点差で勝てるようになります。こういうゲームで勝てるようになると、(チームが)また変わっていくのかなと思います」
静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「7時間掛けて浜松からやってきて、勝てて良かったです。いろんな方が設営に携わってくださって、大変な準備があったと思いますが、良い状態で試合に臨むことができました。
数は少なかったんですけれども、地元(静岡)からファンの方々が応援に来てくれたので、声援を受けて勝てたことは良かったなと思います」
──今日最もフォーカスしたポイントはどこでしょう?
「今日は日本中で天候が荒れている状態です。(Jヴィレッジスタジアムも)予報では風速12mだったので、気温も低く、12時キックオフということもあり、先にスイッチを入れて先に得点を取ったほうが有利だなと(考えていました)。
みんな、朝から気合いが入っていました。前節は自分たちの形を出せなかったので、今日はボーナスポイントこそ逃しましたが、自分たちの形で勝利ができたかなと思います」
静岡ブルーレヴズ
庄司拓馬ゲームバイスキャプテン
「藤井さんが言ってくれたとおりです。浜松など遠くから応援に来てくださった方々に、しっかりと勝って、勝利を届けられたことが良かったかなと思います」
──前半は目まぐるしく風向きが変わっていたように思いますが、グラウンドに立ってみてどのように感じましたか?
「基本的に前半は風下という感覚で自分たちは戦っていました。そういったところを踏まえ、セットピースを優位に進めていきたいと考えていました」
──リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)というチームに対して、意識していた部分があれば教えてください。
「BR東京が相手だから、というよりも、今週は『レヴズスタイル』を意識しました。先週の敗戦から自分たちの強みはどこにあるのかと立ち返って、自分たちにフォーカスして戦いました」
──3月下旬の再戦に向けて、改善したいことやさらに伸ばしていきたいことは何でしょうか?
「この試合はフォワードで前に出ていくこと、セットピースを意識して取り組んできました。そういったところは良かったのですが、敵陣に入って(スコアを)取り切れないところやペナルティをしてしまったところは再戦よりも前、次の試合への課題です。しっかりと改善していきます」