NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第9節(交流戦)
2025年2月23日(日)13:05 JIT リサイクルインク スタジアム (山梨県)
東京サントリーサンゴリアス 40-35 浦安D-Rocks
同日に刻んだ「1」と「100」 リスペクトし合う二人がチームの舵を取る
ディビジョン1第9節、山梨県甲府市で行われた東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)対浦安D-Rocks(以下、浦安DR)の一戦は、40対35でホストチームの東京SGが勝利。最後は東京SGの黄色い壁が同点トライを狙う浦安DRの猛攻をなんとかしのぎ切った形だ。
両チームの間で転がるボールをいち早くつかみ、グラウンドの外に蹴り出して試合を締めくくったのは、この日がデビュー戦となった東京SGのマックス・ヒューズ。大阪出身の日本人の母とニュージーランド人の父をもち、ニュージーランドでラグビーを学んできた若き新鋭は後半33分、スクラムハーフとして交替出場した。
「守備のフェーズが重なっていた場面だったので、ボールを取り返した瞬間はほっとしました。このチームでのデビューという特別な試合で勝利につながって、自分にとって特別な1週間でしたね」
リーグワンでのファーストキャップという記念すべき一戦で学んだのは、奇しくもこの試合で公式戦100キャップという節目に到達し、プレーヤー・オブ・ザ・マッチにも輝いたスクラムハーフ・流大の偉大さだったという。
「流がグラウンドに立っているときは、常にエナジーを上げて、みんなとコミュニケーションを取り、チームをどんどん動かしていく。本当に世界トップの9番で、世界でも稀有な選手。そのゲームマネジメントの部分はもっと学んでいきたいです」
一方の流も、ヒューズの加入に刺激を受けていると語る。
「日本にいないタイプで、僕も彼のプレーを見ていて発見がある。サポートのコース取りやトライへの嗅覚といった、日本ではあまり教えられないことをニュージーランドで培ってきている選手です。しかもキャラクターもいいし、すごく尊敬できる。彼から学ぶこともたくさんあります。僕の100キャップよりも、彼のファーストキャップのほうがチームとして大きな意味合いをもちますね」
頼もしい仲間とともに臨む、後半戦。勝った試合でも厳しく手綱を締めるのもまた流のチームマネジメント術だ。
「勝てたことは良かったけれど、自分たちのもろさもすごく出た反省の残るゲームでした。しっかりと厳しめのレビューをして次の試合に準備したいです」
一心発起のファーストキャップと、百戦錬磨の100キャップ。個性豊かなスクラムハーフたちが後半戦を戦うチームの舵取り役を果たしてくれるはずだ。
(オグマナオト)
東京サントリーサンゴリアス

東京サントリーサンゴリアス
小野晃征ヘッドコーチ
「本当にタフな80分間で、特に前半と後半のスタート部分では、相手にモメンタム(勢い)を与えてしまいました。その後、選手たちが自分たちのテンポでゲームを組み立て、アタックできたことで勝利につながったと思います。来週に向けては、そのスタート部分をしっかり修正して、いい準備をしたいです」
──ちょうどレギュラーシーズンの半分を終えました。どのように前半戦を振り返りますか?
「リーグ全体を見ても、どのチームもスター選手や個人のプレーに頼らず、チームプレーが多いと思います。本当にクロスゲームが多い中、チームプレーができたチーム、80分間自分たちのカラーを出せたチームが勝っているのかなという印象です。今日の試合も、自分たちのプレーができた部分もあれば、できなかった時間帯もあった結果、クロスゲームになったと思います。
次の試合に向けて、どれだけ自分たちの「アグレッシブ・アタッキング・ラグビー」の時間帯を増やすかが大事になってきます。現在7位ですが、順位は関係なく、どのチームにも勝てる準備はしていると思うので、もう一度、来週の80分に向けて、自分たちらしい準備をしたいと思います」
東京サントリーサンゴリアス
流大ゲームキャプテン
「山梨という素晴らしい地で、素晴らしいグラウンド環境でラグビーができたことを幸せに思います。試合に関しては自分たちのもろさが出た、反省の残るゲームでした。勝ったことは良かったですけど、内容を見れば悪いシーンもたくさんありました。しっかりと自分たちに目を向けて、厳しい目線でレビューをしたいです。1週間後にはまた次のゲームが来ますので、いい準備をしたい。その気持ちでいます」
──「悪いシーン」とは具体的にどんな部分でしょうか?
「何度も同じようなソフトなトライを与えてしまっています。また、キックオフから外をブレイクされるなど、(繰り返し)外を突かれているのに修正できない。タックルミスもあって相手に食い込まれ、相手の外国籍選手にモメンタムを許してしまう。そういった攻めをされると分かっていたにもかかわらず、ブレイクされてしまっています。
ただ、自分たちがボールを持って我慢強くアタックすればスコアにつながっています。ディフェンス時にその我慢強さが出せていないので、その部分で緩さが出たのかなと思います」
──現在7位。得失点差が「+2」というチーム状況も含め、どのようにシーズン前半戦を振り返りますか?
「レギュラーシーズンの半分が終わって、どのチームにもけが人が出てきていると思いますし、だからこそ選手層の厚みをもたせないといけない。ここに来て、日本人選手、若い選手たちがいいプレーをしています。練習からいい競争をして、それに勝った人間が試合に出る。そのサイクルは変わりません。そういった意味では、全員にチャンスがあると思っています。
得失点差に関しては、得点は取れているものの、これだけ失点が多いと強い相手には勝てません。自分たちはあくまでも優勝をターゲットにしているものの、ディフェンス面を改善しないことには『優勝』とはなかなか言えません。まずは次の試合に向けて、100%の準備をしたいです」
浦安D-Rocks

浦安D-Rocks
グレイグ・レイドロー ヘッドコーチ
「今日の試合は、アタック力の向上が見られたという点では満足しています。ですが、重要な局面で自分たちの求めている結果を得ることはできていません。そこは引き続き、課題として直していきたいところですが、選手たちが見せてくれた努力、80分間立ち向かっていった姿には感銘を受けています」
──キャプテンの飯沼蓮選手も出場している中、ゲームキャプテンに藤村琉士選手を起用した狙いはどこにあったのでしょうか?
「意図としては、飯沼にもっと自由にプレーしてもらうためです。ときにキャプテンシーというものはプレーの幅を狭める要因にもなります。そういった影響が出ないようにという意図がありました。このチームでは、キャプテンシーというものにプレッシャーを感じてほしくありません。選手が自分の力を最大限に発揮できるかどうかが大事なので、そのことは飯沼にも話をしました。
また、藤村もチームのために戦ってくれる選手で、相手チームに対してリスペクトし過ぎず、自分たちに対してリスペクトを見せる選手です。今日もいいプレーをしてくれていましたし、今週ずっといいパフォーマンスを練習で出してくれていました。シーズンをとおしても、リーダーとして体を張って先頭に立ち、チームを率いてくれている存在だと思っています」
──シーズン前半戦をどう振り返りますか?
「選手たちも同様だと思いますが、結果が出ないことに対して、フラストレーションは溜まっています。ただ、自分たちはポジティブなスタイルのラグビーを目指していて、今日の試合でも見せられた部分はあります。重要な局面で集中力を発揮し、アタックがうまくいったときは相手チームもイヤがるプレーができています。そういったイヤがることをやり続け、どれだけ重要な局面で突き詰められるか。チームとしてはかなり改善ができているので、あとはその改善をどう加速して、来週に向けていい準備をするか。次の週のチャレンジに向けて、また気持ちを上げていきたいと思います」
浦安D-Rocks
藤村琉士ゲームキャプテン
「前半の20分はすごくいいアタックができていましたが、残り20分は相手のペースにもっていかれてしまいました。ハーフタイムでもう一度切り替え、『ここからエンジンを上げて勝つ』というマインドで臨んだ後半、ディフェンスの時間が多かったものの、チーム全員が体を張ってくれていました。最後の部分でミスが起きてしまい、流れを取り切れませんでしたが、またすぐ次の試合があるので、修正するべきところは修正して、ここからまた成長していきたいと思います」
──いいパフォーマンスを結果につなげるために必要なことはどんなことでしょうか?
「選手としてはいい練習をして、試合が始まれば1週間やってきた練習内容を80分間の中でしっかり出すだけ。ゲームプランはコーチ陣が示してくれているので、あとはそのプランを80分間遂行するだけだと思います」