NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第10節(交流戦)
2025年3月2日(日)13:05 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ 44–14 三重ホンダヒート
大勝にも気を緩めず。150キャップも通過点に 大戸裕矢はさらなる成長を誓う

クラブレジェンドの一人である大戸裕矢が、今節でクラブ通算150キャップを達成した。磐田市の最高気温が22度を超えたこの日、スタンドの熱気はキックオフ直後から一気に最高潮に達した。
今節でクラブ通算50キャップを達成したサム・グリーンのキックオフに対して、静岡ブルーレヴズは全員で相手レシーバーに襲い掛かり、鮮やかなターンオーバー。一気に攻勢を掛けた。
その流れから、前半4分には先制トライが生まれる。ラインを突破した日野剛志から大戸にオフロードパスがとおって大きくゲイン。長くチームを支えてきた同期コンビの阿吽の呼吸によるビッグプレーは、まさに“胸熱”な瞬間だった。「日野ちゃんはフォワードだけど相手をズラせるタイプなので、チャンスがあるかなと思い切って(ボールを)もらいに行きました」(大戸)。そこから最後は大戸がシルビアン・マフーザに渡して先制トライ。その後もトライを重ねて、前半27分の時点で29対0と大きくリードを広げた。
後半は、三重ホンダヒート(以下、三重H)に押される時間帯も長くなり、一時はイエローカードが2枚出て、前節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦に続いて13人で戦う時間帯があったが、全員で耐えて三重Hのトライを1本に抑えた。ただ、大戸は「13人になるのは本当に良くない。仕方ないペナルティというものは絶対にないと思うので、そこはチームで厳しく言っていくしかないと思います」と強く引き締めた。
試合後、150キャップ記念Tシャツを着たチームメートから祝福された大戸は「うれしかったです」と語りつつ、次に向けて気持ちを新たにすることを忘れなかった。「いまはプレーオフトーナメントが見える順位にいますが、先を見過ぎるようなチームではないと思うので、一つひとつしっかり勝っていくために、しっかりと自分の役割を果たしていきたいと思います」。チームとしての伸びシロを実感できた今季7勝目の裏で、150試合を通過点としてさらなる成長を誓う34歳がいた。
(前島芳雄)
静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「前節でけっこう点差をつけられたので、今回は点数を取って勝ちたいという思いがあって、そのことは選手にも言いました。前半からプランどおりに選手がそれを体現してくれて、いい形でブレイク(バイウィーク)を迎えられます。次は埼玉パナソニックワイルドナイツ戦なのでしっかり準備して、勝ちにいきたいと思います」
──今日は本当に素晴らしい試合の入りだったと思いますが、選手たちにはどんな声掛けをしたのでしょうか。
「特別な話はしていないです。ちょっと前回の試合では、相手に体の大きな選手や、突破力のある選手が多くて、おそらく選手がちょっと相手のことを意識し過ぎたと思います。なので、今日はしっかり自分たちにフォーカスして、やるべきことを、自分の仕事をきっちりと遂行することについて言いました。それぞれが自分の役割をしっかり理解した上でプレーしてくれたと思います」
静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス キャプテン
「本当に先週は自分たちにとってすごく残念な結果となってしまいました。クボタスピアーズ船橋・東京ベイさんはすごく強いチームでした。自分たちとしては、今週はしっかりチームとして一つになってプレーをしていくことを意識してやってきました。前半は、自分たちの中でそういうところをすごく見せることができたと思っています。今後もしっかりとこういうパフォーマンスを、一貫性をもってやっていくことが重要だと思っています。毎試合こういう試合をしていくことは、もちろん簡単ではないですが、そこをしっかり意識してパフォーマンスを上げていきたいと思っています」
──13人になった時間帯がありましたが、どんな声を掛け合っていましたか。
「自分たちとしては、先週の試合からたくさん学んでいたこともありましたし、イエローカードが二枚出た時点で、自分たちのプランをしっかりとやるという話をしていました。そのプランをしっかりやり切ることができていたし、自分たちが試されたところがあったのですが、そこでも良い形でできたと思っています。結果として最後のところで良い得点を取れました。今までの試合でも、トップレベルの相手チームからいろいろなことを学んできて、横浜キヤノンイーグルス戦でもそうですし、いろいろな試合でトップレベルの相手チームと戦うときにどうなってしまうのかを学んできました。今日は13人になったときに1トライしか(相手に)与えなかったことは、自分たちにとっては成果だったと思います」
──試合が終わったあと、大戸裕矢選手のクラブ通算150キャップのお祝いをしましたが、どんなことを感じましたか。
「彼のことをすごく誇りに思います。自分が来たときにはすでに彼は長くこのクラブでプレーをしていて、シニアメンバーの一人として活躍していました。彼はキャプテンではないとはいえ、チームの中でもリーダーとしてすごくチームを引っ張ってくれていると思いますので、今日150キャップを迎えられたこと、そして試合に勝てたことは本当に自分たちにとってうれしく思います。ともにサム(・グリーン)が50キャップを取れて、大戸選手とサムの二人を祝えたことがすごくうれしいです」
三重ホンダヒート

三重ホンダヒート
キアラン・クローリー ヘッドコーチ
「ひと言目に言えるのは、ブルーレヴズさん勝利おめでとうということです。最初の27分の段階で29点を奪われてしまって、自分たちとしてはちょっとパニックに陥ってしまったかなと思っています。簡単に言うとそこからリカバリーし切れずに試合が終わってしまったという感じです。生命線となるような部分でのミスから点を与えてしまったので、そこについてはハーフタイムに話して修正できたかなと思います。ただ、後半は良かったものの相手のディフェンスも良くて、点を取り切れなかったという部分がありました。攻撃に関しては、自分たちが重ね切れなかった部分もあります。50%のポゼッションと、テリトリーも50%から60%近くあったと思いますけど、自分たちが結局チャンスで(得点を)取り切れずに、相手はしっかりチャンスを得点にしたというところが大きな違いだと思います」
──入りの20分、かなり押されたというところは、どんな差があったと感じていますか。
「一番大きな違いとしては、ペース、スピードの部分だったと思います。クイックボールがかなり出ていたので、相手もしっかりクイックボールでアタックをしてきていたという印象で、自分たちがボールを持って敵陣に行ったときも、ボールを落としてしまったりとか、そこから長い距離のトライを決められてしまったりとか、(相手には)そういう能力があるチームというところで自分たちは苦労しました。フィジカル的にもとても強いチームだったので、いま思い返してみると、80分間ずっとフィジカルでやられていたのかなと思います。そのことによって向こうはラックでのスピードを作り出せて、良い攻撃をしていたと思います」
──スクラムが強い静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)に対して、終盤の数回以外では優位に立っていたように見えましたが、手ごたえはどうでしたか。
「自分が思うところでは、スクラムは最後の3つを除けば良かったと思いますけど、やはり静岡BRさんのスクラムはすごいという印象を今日また受けました。最後のスクラムではこちらが(イエローカードで)ロックを失っていたのもありましたが、また同じような状況になったときにどうするのかという改善方法を考えていきたいと思います」
三重ホンダヒート
パブロ・マテーラ ゲームキャプテン
「自分も(ヘッドコーチと)似たようなコメントにはなりますけど、シンプルに言うと相手のほうが自分たちより良かったということです。特に初めの20分、相手はたくさんのチャンスをモノにして点を取って、そこでかなり引き離されてしまいました。試合内容に関してはまたあとで見ますけど、自分たちはチャンスがあったものの、最後に取り切ることができなかった。そこが静岡BRさんとの違いになったと思います。いろいろと学びにはなったと思うので、しっかりそれを生かして次に進んでいきたいと思います」
──入りの20分、かなり押されたというところは、どんな差があったと感じていますか。
「簡単に相手を自分たちのプレッシャーから逃してしまったという部分が、初めの20分にはあったと思います。自分たちがボールを失って相手を40mも進めさせてしまう。自分たちがボールを持ったときにキープできずに簡単に相手にボールを渡してしまう。そういうことによって、相手にテリトリーを与えていたというのが初めの20分の印象です」
──スクラムが強い静岡BRに対して、終盤の数回以外では優位に立てていたように見えましたが、手ごたえはどうでしたか。
「静岡BRさんはスクラムを武器にしていて、モールもそうですけど、だから自分たちは1週間、相手のモールとスクラムを止めるという部分にフォーカスを置いて練習をしてきました。モールはよく止められていたと自分は思っています。スクラムも、おっしゃるとおり最後のところを除けば良いスクラムを組めていたし、プレッシャーも相手に掛けられていたと思っています。残念ながら最後のところは、自分たちが最後までプレッシャーを掛け切ることができなかったためにトライを奪われてしまって。最後に関しては残念な思いがあります。ただ、全体的なところを見ると、スクラムというのは今日とてもよくできて、自分たちも成長していると感じます」