2025.04.06NTTリーグワン2024-25 D1 第14節レポート(埼玉WK 55-17 トヨタV)

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第14節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月5日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ 55-17 トヨタヴェルブリッツ

坂手淳史、感謝の100キャップ。さらに成長した姿を目指し、次なる一歩へ

通算100キャップの節目の試合で、自らトライも記録した埼玉パナソニックワイルドナイツの坂手淳史選手

2016-2017シーズンにパナソニック ワイルドナイツ(当時)に入団した埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)の坂手淳史キャプテンが、ジャパンラグビー トップリーグ・リーグワン通算100キャップを獲得した。

英雄のメモリアルゲームは前半に一進一退の攻防が続いたが、後半に数的優位を生かして一気呵成となった埼玉WKが55対17でトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)を突き放した。なお、このゲームではトヨタVの茂野海人もトップリーグ・リーグワン通算100試合出場を達成した。

ともに通算100試合出場を達成したトヨタヴェルブリッツの茂野海人選手(左)、坂手淳史選手

ゲームは、坂手のトライで幕を開けた。前半11分、敵陣深くのモールで坂手がボールを抱えると、チームメートの力を借りながら一気に押し込んでみせた。坂手へのチーム全員の気持ちが集約されたかのようなトライで、100キャップ戦勝利へ幸先良いスタートを切った。

「あのトライは全員で奪った得点。100キャップは一つの通過点としての区切りであると同時に、これまで支えてくれた方々に感謝を伝える場所だと思っていました。こういう舞台を設定してもらって感謝しています」

坂手はキャプテンシーを発揮し、チームをけん引した。後半28分までプレーし、ピッチを離れた坂手にはスタンドから大きな声援が送られた。割れんばかりの拍手に右手を挙げて応えるキャプテンを、チームメートたちは破顔のハイタッチで出迎えた。

ロビー・ディーンズ監督は「どんなゲームも素晴らしいプレーをしてくれているが、大きな器と素晴らしい人格が彼の特長の一つ。10年前に帝京大学でプレーしていた彼をリクルートしたことが思い出される」と入団当初を懐かしんだ。

試合後には、セレモニーが実施されて家族から花束が贈呈された。チームメートたちは彼の功績を称えて、おそろいのTシャツでセレブレート。埼玉WK、そして日本ラグビー界において激闘の時間を戦い続ける坂手は感慨深げにスタンドを見上げた。

「家族の支え、出会った人の支えがあって100キャップを達成できました。チームとしても個人としてもまだまだ成長できる。101試合目からさらに成長した姿を見せていきたい。ワイルドナイツに声を掛けてもらって、ここを選んだのは自分。その選択は間違っていなかったと思います」

100試合出場の足跡を刻んだ坂手は、この瞬間から次なる一歩を踏み出していく。

(伊藤寿学)

埼玉パナソニックワイルドナイツ

埼玉パナソニックワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督(左)、坂手淳史キャプテン

埼玉パナソニックワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ監督

「とても楽しい一日となりました。まずは、いくつかの記念の試合を迎える選手がおりまして、坂手(淳史)選手の100キャップのほか、数名がリーグワンデビューしたことなどがあります。今朝、練習試合も行われて、すごく良いゲームができました。自分たちにとっては良い一日だったと思いますし、良いラグビーができたと思います。その中でも(アクシデントなど)試されることもありましたが、けが人が出たところをカバーしてくれた選手が良いパフォーマンスをしてくれました。非常に満足しています」

──100キャップを迎えた坂手選手は、どんなキャプテン、どんな人物像でしょうか。

「人格としても素晴らしいものがあります、チームではリスペクトされていて、器の大きさもあります。大きな器と素晴らしい人格が彼の特長の一つだと思います。試合でも素晴らしいプレーをしてくれています。10年以上も前になりますが、帝京大学の学生だった彼をリクルートしようとして、練習試合に呼んだのですが、その練習試合でけがをさせてしまいました。自分たちのリクルートが失敗してしまったと思っていたのですが、幸運にも彼がこのチームを選んでくれたことを本当にうれしく思いました。そのあとの彼の成長は、みなさんがご存知のとおりです。100キャップを獲得しましたが、彼のキャリアはまだまだこれからだと思っています」

──今節の結果でプレーオフトーナメント出場が決まりました。

「本当に素晴らしいことだと思います。リーグ戦はプレーオフトーナメント(に進出するチーム)を決めるために実施されているものなので、プレーオフトーナメント出場はうれしいことです。ただ、これは始まりに過ぎません。自分たちのやるべきことを増やしていくだけです。ここから対戦するチームは必死になって戦ってくるので、それはプレーオフトーナメントに向けての準備になると思います。それに対応していかなければいけません。成功は決して約束されたものではないので、自分たちのやりたいことを突き詰めていきたいです。チームの選手層の厚さを見せられていることは、リスクマネジメントの部分では今後のチームの助けになってくれるのではないかと思います」

埼玉パナソニックワイルドナイツ
坂手淳史キャプテン

「本日もありがとうございました。ロビー(・ディーンズ監督)さんの言っていたことが100%でした。今朝の練習試合も良いゲームでしたし、けが人が出る中でも自分たちの役割を理解しつつ、ワイルドナイツのために努力をしているというのは、ありがたいですし、自信になります。チームは、さらに伸びていけると感じましたし、今日の一日でそれが確信に近づいたと思いました。それが一番の収穫だったと思います。

プレーのところでは、最初からディフェンスのコミュニケーションやタックルでの良い部分が多かったです。相手の14番の選手に何度かキック(からエリア)を取られたシーンもありましたが、そこは詰めていきたいと思います。ゲームの中でのコミュニケーションの声も聞こえていましたし、それらも良かったなと思いました」

──今節の結果でプレーオフトーナメント出場が決まりました。

「やることは変わらないです。足りない部分を伸ばして、自分たちの自信がある部分を増やすだけです。自分たちのラグビーの幅を広げる、その作業だと思うので、幅を広げて、そこからプレーオフトーナメントに行ければ自分たちのラグビーができると思います。その部分を意識して常に良くなれるようにみんなやっていきたいと思います」

──100キャップ獲得について、感想を教えてください。

「100キャップ獲得はうれしいですし、このチームメートとともに100試合を迎えることができて光栄に思います。100キャップを獲るにあたって、家族や多くの人の支えがありました。今まで出会った方々にお世話になってこの日を迎えられたと思っています。さらに成長した姿をみなさんにお見せしてきたいと思います」

トヨタヴェルブリッツ

トヨタヴェルブリッツのスティーブ・ハンセン ヘッドコーチ(左)、彦坂圭克ゲームキャプテン

トヨタヴェルブリッツ
スティーブ・ハンセン ヘッドコーチ

「スコアだけを見ると、ワンサイドゲームに見られるかもしれませんが、私自身に関してはそうだとは思いませんでした。24対17の時点では、どちらに転んでもおかしくないゲームだったと思います。私自身が賛同できるか、できないかはさておき、14人で戦うことを強いられて非常に厳しい展開になりました。トヨタヴェルブリッツにとってそこまでのパフォーマンスは誇りに思えるもので、しっかりと戦えていたと思います。この現状に関してはしっかりと受け入れ、われわれ自身と向き合い、次の日曜日のリコーブラックラムズ東京戦へハードワークして、準備を進めていきたいと思います。今日の試合に関しては(イエローカードとレッドカードで合計)30分間を14人で戦うことになったところで、試合を振り返ってみると、一つ目のイエローカードに関してはレフリーの判断ですけれども、それはさておき、ワイルドナイツのようなトップレベルのチーム相手に14人で戦うのは非常に難しい。結果が付いてこないときは、視点を変える必要があると思っています。今日の選手に関しては、良いキャラクターを見せて、お互いのためにハードワークする姿が見られたと思います。とはいえ、14人での戦いは非常に厳しいものがありました」

──小村真也選手の評価をお願いします。

「彼がどんな点で順調かというと、チームを指揮する能力、彼自身のパスや、トライのきっかけにもなっているジョセフ・マヌ選手のキックゲームに関する関係性が良いです。彼自身、ディフェンスにもタックルに入るような姿勢が見られています。まだ若い選手ですので、スキルや経験について伸びシロがあると思っていますが、そこは時間を掛けて成長していくものです。現状のパフォーマンスについては満足しています」

トヨタヴェルブリッツ
彦坂圭克ゲームキャプテン

「後半20分まではぎりぎりのところで戦えていましたが、ラスト20分で離されてしまったのが残念だったと思います。試合を通じてペナルティが多かったので、来週は規律の部分を見直していきたいと思いました」

──アタックについての評価をお願いします。

「スキルもありましたし、実行力があったので手ごたえを感じました。ただ、最後までやり切るところは課題として残ったので、そこは来週までに見直していきたいと思います。全体的にはうまくできていたと思います。相手のディフェンスよりも自分たちのスキルにフォーカスしてやっていきたいです」

──14人になってからの戦い方については、どう捉えていますか。

「イエローカードが出た1回目の14人での時間帯は、消極的になるのではなく、抜けた一人のために残り14人のエナジーでカバーしていこうとしました。それをレッドカードが出たラスト20分で、もっとできれば良かったです。気持ちが切れたことはないですが、もっとできたと思っています」

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