NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第16節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年4月25日(金)19:05 秩父宮ラグビー場 (東京都)
浦安D-Rocks 19-61 東芝ブレイブルーパス東京
「最後の最後まで戦い続ける」(リーチ マイケル)。大勝の中で王者が見せた妥協なき姿勢
秩父宮ラグビー場での金曜ナイトゲームは、7点差と接戦で折り返した前半から一転、後半に大量得点を挙げた3位・東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)が勝利した。
ラストプレーで繰り広げた連続アタックに、BL東京の真髄を見せつけられた。
マイボールスクラムの状況でスタジアムには80分経過を告げるホーンが鳴り響く。その時点でスコアは54対19。勝利は確実でボーナスポイントも手中に収めていた。さらに後半32分にはロブ・トンプソンが負傷退出。グラウンド上には14人しかいなかった。いくらでも試合を終わらせる選択は取れた中で、BL東京はプレーを切る素振りなど一切見せずに迷いなくアタックを継続する。残り時間にも得点差にも目をくれず、果敢に攻め続けた。
「今季をとおして、勝ってもいても負けていても最後の最後まで戦い続ける、戦いたいという意思の強さがありますし、せっかくみなさんがラグビーを観に来てくれているので、そういう姿を見せたかった。それもあってアタックしたいと思い、あの決断をしました」(リーチ マイケル)
後半43分、最後は小川高廣からのパスを受けたセタ・タマニバルが右サイドぎりぎりにグラウンディング。この日9個目となるトライを奪い、駆け付けた多くのファンを興奮させた。
クイックスタートでトライの起点を作ったリッチー・モウンガは「勝利は確定していましたし、ボーナスポイントを取れることも理解していたけど、いい形で終わることを目指した中でトライを取って最後の笛を聞けたことは、次の試合に向けても元気の出る終わり方をできた」と振り返り、その先を見据えた。
「プレーオフトーナメントがすぐそこまで来ていて考えたくなることもあるけど、1日1日、1試合1試合に地に足をつけて目の前のことに集中して戦うことがいまは必要。自分たちがコントロールできることは、次の試合に勝つために努力していくことだけ」
王者強し。リーグワン史上初の2連覇へ、BL東京にスキはない。
(須賀大輔)
浦安D-Rocks

浦安D-Rocks
グレイグ・レイドロー ヘッドコーチ
「今日戦ってくれた選手たちのことを誇りに思います。チームとして本当によく頑張ってくれたと思います。後半に入ってからは守る時間が長く、自分たちがボールを持つ機会がほとんどなかった中、個々でたくさんの努力を見せてくれた選手がいたので、そこは感謝しています。東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)さんのような成熟したチームからはたくさんの学びがあったので、それをしっかりと残りのシーズンで生かしていきたいと思います」
──具体的に、BL東京から得た学びとはなんでしょうか。
「世界有数の選手がそろっています。リッチー・モウンガ、シャノン・フリゼル、セタ・タマニバルと優秀な選手がいることをはじめとして、プレッシャーが掛かった中でのキャッチやパスの精度、80分間しっかりと一貫性のあるセットピースを出せる能力、それに質の高い日本人選手もそろっていますね」
──残りのシーズンは順位のプレッシャーも掛かってくると思いますが、ヘッドコーチとしてどんなことを大事にしたいですか。
「ポジティブにアプローチしていくだけですね。自分たちのラグビーを楽しめる環境をしっかりと作り、自分たちのラグビーを見せる機会は残り少ないので、その機会をしっかりと生かして、残りのシーズンに向けて気持ちを上げていく。あとは、静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)戦、三菱重工相模原ダイナボアーズ戦、そしてその先の入替戦も見据えて、素晴らしいチャレンジが待っているので、プレッシャーのある中で試合のできる機会をしっかりと生かしていきたいと思います」
──今節でトヨタヴェルブリッツが勝ち点を挙げると、浦安D-Rocks(以下、浦安DR)のD1/D2入替戦への出場が決まります。
「その時々によってしっかりと準備をしていくだけです。まずは来週の静岡BR戦に向けて一戦一戦準備していって、そうなるのであれば入替戦に向けても準備しますし、チーム内では『何が起きようとしっかりと準備していこう』と話しています」
──厳しいシーズンになっていると思いますが、ヘッドコーチとして初めてのシーズンを戦う中で難しいと感じていることや学べていると感じていることを教えてください。
「もちろん苦しい状況もありましたが、自分はそれをプラスに捉える人間なので、リーダーとして、コーチとして、人としてかなりたくさんの学びの機会がありました。選手に聞いてみないと分からないですが、自分としては選手たちと一緒にリーダーシップを取っていって、お互いに指摘し合いながら楽しむところは楽しむ環境作りを心掛けているので、チームとしていいラグビーをできている局面もたくさんありますし、それをしっかりと続けていって、今までどおりやることをやっていけば結果は付いてくると思うので、残りのシーズンも引き続き頑張っていきたいと思います」
浦安D-Rocks
金廉ゲームキャプテン
「浦安DRとしましては、3位のBL東京さんを相手に受けずに積極的に攻めていこう、プレッシャーを掛けていこう、80分間自分たちのやりたいことをやり続けようということで挑みました。最初は受け身に回ってしまったところはありましたけど、時間が経つにつれて自分たちのラグビーができた部分はありました。でも、後半は自分たちが我慢しないといけないところで、BL東京さんが一枚上手で、そこからズルズルいってしまいました。自分たちがボールを持つ時間を作れずに我慢の時間が増えたと思います。落ち込んでいる暇はないので、(レギュラーシーズン)残り2試合をまずはチームとしてコネクトして戦っていきたいと思います」
──準備はしてきた中で受けてしまった原因についてはどう考えていますか。
「準備してきたものはあったけど、一瞬の気の緩みやコネクトを切られたちょっとしたところをBL東京さんに突かれて、そこでテンポに乗られてしまい、前半は受けてしまったと思います」
──前半の終わりに掛けては盛り返していたと思いますが、その時間帯はどこが良くなったのでしょうか。
「ぬるかった部分、コネクトが緩かった部分をもう1回しっかりと守ろう、言い合おうとハドルで話して、そこが改善され、自分たちがボールを持つ時間が増えて自分たちのアタックができて得点もできたと思います」
東芝ブレイブルーパス東京

東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ
「これ以上思うことはない素晴らしいパフォーマンスをしてくれたと思います。今日だけではなく、今週1週間をとおした選手たちの頑張りを誇りに思っています。リーチ(マイケル)をはじめ、リーダー、ゲームドライバーが素晴らしい仕事をしてくれたと思います。(第15節の)静岡BR戦に負けてしまったところから選手たちはしっかりと自信を取り戻してくれました。もちろん、試合の中ではもう少し我慢強くアタックできればというシーンはありましたけど、その中でも自分たちのシステムを信じることをやめずにミスがあってもアタックをし続けて、ミスがあってもお互いのために体を張り続けるというところを最後までできたと思います。セットピース、特にスクラムは選手とコーチともに時間と労力を掛けて取り組んできた部分がしっかりと形に出たのかなと。ラインアウトもお互いにいい戦いになったと思います。この試合に向けたチームとしての意思、意図というところ、最後(ゲームを)終わらせられるところで終わらせず、アタックをし続けて最終的にトライをもぎ取って試合を終われたところは素晴らしいと思います」
──欠場した松永拓朗選手の代わりに豊島翔平選手を先発で起用した意図を教えてください。
「非常に単純です。豊島は練習からすごく良かったですし、チームをしっかりとリードしてくれていて、直近の試合でもリザーブに入っていたので、拓朗がアウトになった瞬間に次はトヨ(豊島)だと決まっていました。今日は巡ってきたチャンスをしっかりとつかんでくれたというようなパフォーマンスだったと評価しています」
東芝ブレイブルーパス東京
リーチ マイケル キャプテン
「BL東京としては今季初めてのナイターでのゲームでしたが、いい結果を出せたと思います。最初から最後まで自分たちの意思がはっきりと見えて、自分たちがやらないといけないことを80分をとおしてできたと思います。セットピース、特にスクラムはたくさん練習してきたので、その成果が見られて良かったです。今日はジョネ(・ナイカブラ)、拓朗選手がいない中で、今季初めて出た桑山聖生選手がすごく大活躍して、初先発のトヨ(豊島)も大活躍できて良かったと思います。次の試合に向けてチームの状態を良くしていきたいと思います」
──最後のプレーでもう1トライを取りにいったときの考えを教えてください。
「今季をとおして、勝っていても負けていても最後の最後まで戦い続ける、戦いたいという意思の強さがありますし、せっかくみなさんがラグビーを観に来てくれているので、そういう姿を見せたかった。それもあってアタックしたいと思い、あの決断をしました」
──前半はいい入りを見せながら終盤に連続トライを奪われてしまいましたが、後半に向けてハーフタイムにどのような修正をしましたか。
「自分たちのDNAであるオフロードですね。普段のようにオフロードを修正しました」
──2週間前の静岡BR戦の敗戦を受けて、このバイウィークで取り組んできたことはありましたか。
「自分たちのスタンダード、リーダーのところはリーダーがちゃんとできているのかを見直しました。本来、自分たちがやらないといけないことをもう1回見直して厳しくやってきました。静岡BR戦に負けたあとの1週間はロッカールームにいい緊張感もありましたし、残り3試合に向けて立て直す機会になりました」
──「やらないといけないこと」とはなんでしょうか。
「まずはボールキャリーに出ること。相手のデカい選手をどうやって止めるか。(最初に止めに行く選手のあとの)二人目の質ですね」
──レギュラーシーズンを2位以上で終えるか、3位で終えるかはプレーオフトーナメントに向けて非常に大きな意味をもつと思います。そこについてはどういうふうに考えていますか。
「もちろん意識はしています。ただ、1試合、1試合を見ないといけないので、本当に目の前の試合が大事なことは自分たちも分かっています。1試合、1試合、準備をしてディフェンスもアタックも厳しくやっていきたいです」
──静岡BR戦後に、「負けから学ぶことが大きい」と話していましたが、どういう学びがあり、それがどう今日につながって、残りのシーズンにもどういうふうにつなげていけると考えているでしょうか。
「二人目の質をすごくよくできたと思います。最初の25分は、自分たちの意思であるとにかく前に出ること。それが自分たちのDNAなので、それをどれだけ、どんな相手にもできるかが大事です。そこが一番です」