NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第17節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年5月3日(土)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ 62-52 浦安D-Rocks
フル出場の中で得た充実感と自分の現在地。“先輩超え”への強い思いが23歳を突き動かす

ヤマハスタジアムに12,406人の観衆が詰めかけた、静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)と浦安D-Rocks(以下、浦安DR)の一戦。両チーム合計17トライが生まれる乱打戦は、62対52で静岡BRが浦安DRを下し、4連勝を飾った。
この試合でハットトリックを達成するなど活躍を見せ、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた作田駿介は試合前、藤井雄一郎監督に「80分いくぞ」と伝えられていたという。
今季は前節まで10試合に出場していた作田だが、そのほとんどがリザーブからの途中出場。先発メンバーに選ばれたのは第12節のリコーブラックラムズ東京戦以来だった。この一戦に向け、「体の準備より、心の準備をしていました」。
「これまでは途中から出場することが多く、役割がはっきりとしていましたが、80分の出場となると試合の始まりから終わりまで、自分がスクラムを統一したり、ラインアウトを安定させたり、責任感が大きいと思っていたので、常に相手を支配し続けられるような準備をしました」。その丹念な準備が実を結び、ラインアウトモールから3つのトライを奪取するなど、静岡BRのセットピースをけん引した。
「大学時代にも80分間出場した経験はありましたが、さすがにレベルが違い過ぎて、終盤には体がついてこない感じでした(笑)。ラインアウトのスローなど、疲れてきたところでのプレーの精度を上げて、次に80分出たときには最高のパフォーマンスをしていきたいです」
「ここでとどまらずに、もっと高いレベルで」。やり切ったというような清々しい表情を見せながらも、向上心は忘れない。その根底には「いつか日野(剛志)さんを超えたい」という強い思いがある。今節の出場はなかったが、静岡BRの2番としてチームを支える日野へのライバル意識が、メラメラと燃えている。
「日野さんと競争しながら、良いプレッシャーを与えて、吸収できるものは吸収していきたいです」。日々成長し続ける23歳のキャリアにとって、貴重な財産となる80分だったに違いない。
(齋藤弦)
静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「試合をする前から、おそらくこんな感じになるのではないかなというような、すごく難しい試合でした。お互いシリアスなモチベーションをもち続けるのは難しいです。なんとか試合は勝ち切れて勝ち点5を取れたので、次に向けていろいろと修正しながら、これからの試合は大事な試合になってくると思うので、気持ちを切り替えたいと思います」
──成果と課題が両方見えたような試合だったと思いますが、具体的にどんな成果と課題があったか教えてください。
「攻撃は点数もたくさん取れたので、プランどおりだった部分もありました。ただ、ディフェンスに関しては、負けたくないという気持ちが先に出ていないと難しいと思います。頭と体が一致しないと、人に任せてしまう、簡単なプレーをしてしまうことが多かったです。今日は本当にたくさんのファンの方に見に来ていただいて、そこでかっこつけようとした選手がいたので(笑)、それが多く失点してしまった要因じゃないかなと思います」
──作田駿介選手が3トライの活躍を見せ、久しぶりに出番を得た選手もいました。それらの選手の評価をお願いします。
「今週、日野(剛志)と大戸(裕矢)は年齢もいっているので(笑)、少し休ませたいという思いがありました。今まで6週連続で試合をすることはなかったし、難しい状況でした。その中で、今日は代わりに出た選手が、三浦(駿平)を始め、すごく頑張りましたし、本当にモーターズ(ノンメンバーの呼称)のプレッシャーの中で彼が一番リードしてやってくれていたので、今日の評価としては良かったと思います。作田には今日は最初から『80分いくよ』と話をしていたので、スクラムも良かったですし、いくつかミスはありましたけど、それも少しずつ自分の課題として克服していくと思います」
──今季ここまで躍進している要因を教えてください。
「昨季の最終戦の東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)戦で大敗して、そこからどうやったら優勝できるかというのと、どうやったらBL東京に勝てるかというのを逆算して、プレシーズンからかなり厳しい練習を課しました。それを一つずつ選手がクリアしていって、結果を出せるようになってきたことで、少しずつ自信と確信をもってきました。そういう一つひとつの成功の積み重ねが、土台になっていると思います」
静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス キャプテン
「今日の試合はポジティブな部分もありましたし、ネガティブな部分もあった試合だと思っています。しかしながら、自分は選手たちのことを誇りに思います。満員に近い観客のみなさんの中で、このような勝ち方ができたことは素晴らしいと思いますし、ファンの方々にとっては、トライがたくさん生まれたのもあって、すごくエキサイティングなラグビーを見せることができたと思います。これから大きな仕事が待っているということで、自分たちはハードワークをし続けて、しっかりとスイッチを入れ続けて、次に向かっていきたいと思っています」
──成果と課題が両方見えたような試合だったと思いますが、具体的にどんな成果と課題があったか教えてください。
「先ほど藤井さん(藤井雄一郎監督)が言ったように、個人任せのプレーになってしまった部分があったと思います。このような形でこれから試合をしていくようでは難しいと思っていますので、しっかりと改善をしていかないといけないと思いますが、アタックに関しては、たくさんトライを取ることができたことはポジティブな結果だったと思います。ディフェンスのところで今日出た課題を、しっかりと修正していく必要があると思っています」
──今季ここまで躍進している要因を教えてください。
「自分たちのやってきたことを昨季から積み上げてきて、それが今季につながったと思います。あとは、チームの選手層がすごく厚くなって、競争が激しくなってきたことだと思います。今日のように誰かの代わりに入っても、変わらずプレーできるということは、選手層の厚さをしっかりと証明してくれたと思います。これから自分たちとしては、チーム一丸となってプレーしていくことがすごく重要だと思いますし、それができると思っています」
浦安D-Rocks

浦安D-Rocks
グレイグ・レイドロー ヘッドコーチ
「チームに対するメッセージとして、試合の終盤に(2トライをマークして)強い締めくくりができたというところは、ポジティブに捉えていると伝えました。ですが、大量に得点を取られてしまうと、勝つのは難しくなってしまいます。それを踏まえても、自分たちは最後、いい実力を見せたというところで、あとは80分間それをどれだけ見せ続けるか。それをやることができれば、結果は付いてくると思います。選手たちの努力と強いフィニッシュが見られたというところに関しては、誇りに思っています」
──粘り強さを見せられた要因を教えてください。
「全体的に強いフィニッシュができたと捉えています。今季は結果こそ出ていないですが、最後まであきらめない強い精神力というところは出始めていますし、シーズンの最終盤に向けて、(田村)煕が言ったように、チームにはまだファイトする姿勢がたくさん残っていると思うので、あとはどれだけそれを出していけるかだと思います」
浦安D-Rocks
田村煕ゲームキャプテン
「ヘッドコーチが言ったこととほとんど同じです。うまくいかない時間もありましたが、疲れが溜まってきていたり、アウェーの雰囲気であったりした中、全員があきらめずに最後までファイトできたところはポジティブだったと思います。シーズンの残りの試合もわずかなので、今日の試合の終盤のように、クラブとして強い終わり方ができるようにしようという話をしました」
──D1/D2入替戦に進むことが決まりましたが、最後に強い終わり方ができるように、どのような部分を成長させていきたいか教えてください。
「自分たちから崩れていく規律の部分を、まず自分たちでコントロールできるようにしたいです。毎試合同じ課題が出ているので、まずは来週の試合に向かって、前に進んでいくことが大事だと思います。今日に関しては最後までファイトして、点差を離されなかったところは前節から変わったところだと思うので、最後勝ち切るところまでいくために、自分たちの規律をしっかり正していくというのが一番大事かなと思います」
──今季最多の52得点を挙げましたが、攻撃の手ごたえについてはいかがでしょうか。
「チームとして本当に各ポジションにインパクトのある選手がいますし、プレシーズンからやってきたことをしっかり出せていると思います。本当にこれぐらいやれる実力はもちろんあって、17試合戦った中で得点力はあると思います。ただ、先ほども話したように、自分たちが規律を乱して、ミスやペナルティをしてしまうと、やっぱりこれだけ得点を取っても勝てないのが現実で、これがディビジョン1の学びだと思います。もう一度チームとして規律を正していきながら、強みの得点を取れるところはキープして、必ず来週は勝ちたいと思います」