2025.05.11NTTリーグワン2024-25 D1 第18節レポート(浦安DR 34-21 相模原DB)

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第18節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年5月9日(金)18:35 秩父宮ラグビー場 (東京都)
浦安D-Rocks 34-21 三菱重工相模原ダイナボアーズ

プレーする機会を与えてくれたチームへの感謝。残留を置き土産に胸を張ってこのチームを去る

これぞインパクトプレーヤー? 浦安D-Rocksで活躍、ネイサン・ヒューズ選手

雨の秩父宮ラグビー場で浦安D-Rocks(以下、浦安DR)が今季3勝目を飾った。開幕戦で敗れていた三菱重工相模原ダイナボアーズに一度もリードを許すことなく、好内容で勝利。2週間後からはじまるD1/D2入替戦に向けていい形でレギュラーシーズンを締めくくった。

スタジアムを沸かせたトライが生まれたのは、前半24分だった。チーム全体でグラウンドを広く使った攻撃を仕掛けていた中、左サイドの大外で待っていたネイサン・ヒューズは、シェーン・ゲイツからのキックパスをキャッチではなく、右足の外側で巧みにコントロール。前に転がったボールを自ら拾い上げ、豪快にグラウンディングした。

「本当はノーバウンドで取りたかったけど、思ったよりも自分の足が遅くて、気が付いたら足を出していました(笑)。そこにちょうどボールが来たので、運良くトライを取れました」

前節に続く、2試合連続トライに大きくガッツポーズし、スタンドに投げキッスした姿からは、喜びが伝わってきた。

在籍期間はわずか2カ月弱と限られた時間となった。4月17日に、今季からできた制度である期限付移籍でリコーブラックラムズ東京から加入したヒューズの名前は、クラブが7日に発表した今季限りでの退団選手の欄にあった。プロの世界での契約事である以上、仕方ないことであるが、この短い時間でもナンバーエイトのポジションで力強い存在感を発揮していた男はすっかりチームの一員となっていた。

「シーズン序盤はコントロールできないところでいろいろと不運が起きたけど、いまはようやくプレーできています。このような機会を与えてくれた浦安DRには非常に感謝しているので、そのありがたみを感じながら、プレーをとおして貢献していきたいと思っていました」

ただ、まだシーズンは終わりではなく、浦安DRが来季もディビジョン1で戦うために大事な2試合が控えている。「今日、勝てたことでいい流れは作れたと思うので、とにかく、自分にできることを全うしてやっていきたいです」。あと3週間、浦安D-Rocksのネイサン・ヒューズとして、大仕事がまだ残っている。

(須賀大輔)

浦安D-Rocks

浦安D-Rocksのグレイグ・レイドロー ヘッドコーチ(左)、飯沼蓮キャプテン

浦安D-Rocks
グレイグ・レイドロー ヘッドコーチ

「チームのことを誇りに思います。厳しい戦いを強いられるシーズンでしたが、(今日の試合では)積極的に戦っていくラグビーを悪天候の中でも見せられたと思います。レギュラーシーズンのラストの試合をいい結果で終えられて満足です。この先も(D1/D2)入替戦という素晴らしいチャレンジが待っていると思うので、それを楽しみに向かっていきたいと思います」

──今日は、入替戦を見据えた戦いをできたと思いますが、どう感じていますか。

「相手よりも多く得点することを達成できたことは満足しています。チームとして、シーズンをとおして課題にしてきたところは、ポジティブに積極的に攻めるところとキックを使っていくところ。勢いがあるか、ないかでその判断をしていかないといけないところを課題にしてきて、そこにはすごく成長が見られたので、この先もそういった成長をしっかりと見せて、積極的なラグビーを見せていきたいと思います」

──プレッシャーの掛かる入替戦に向けて、どういう準備をしていきたいでしょうか。

「(飯沼)蓮の言うとおりです。豊田自動織機シャトルズ愛知さんもすごくポジティブな結果を得てきて、優勝したということでかなり自信をもっていると思います。自分たちは自分たちに目を向けて準備して、自信をもって臨むだけだと思うので、これから2週間、シーズンをとおしての学びを生かして準備していきたいと思います」

──厳しいシーズンを戦った中で、入替戦に向けてつかんだ手ごたえや自信を教えてください。

「今夜勝てたことがかなり大きなポジティブな部分だと思います。ダイナボアーズさんもすごく強いチームでそういう強敵相手に勝つことができたことはすごくいいことだと思います。クボタスピアーズ船橋・東京ベイと戦ったときも前半は22対0(※正しくは前半で15対0。後半5分まで22対0)で勝っている状況もありましたし、自分たちのラグビーをできれば、相手が嫌がるラグビーをできるチームだと考えています。先週の静岡ブルーレヴズ戦でも大量得点は取れましたので、プラスの部分にしっかりと目を向けながら、現実もしっかりと見て、チームとして改善していきたいと思います」

浦安D-Rocks
飯沼蓮キャプテン

「最終節、雨の中とコンディションが悪い中で全員がハードワークして、この結果になったことはすごくうれしく思います。キックの使い方とセットピースに勝因があると思います。でも、正直なところ、もっとラクに勝てた試合だったし、お互いにミスが多かったです。トライゾーン前で(スコアを)取り切れないシーンが印象的だったので、勝ちはしたもののあまり満足はできていないです。ただ、最後に勝って、このまま勢いに乗って入替戦もしっかりと勝利して、来季もディビジョン1で戦えるようにチームで一丸となって、コネクトして、課題を修正してやっていきたいと思います」

──プレッシャーの掛かる入替戦に向けて、どういう準備をしていきたいでしょうか。

「僕たちがそうだったように、D2のチームは入替戦に照準を合わせて戦ってくるので、油断せずに僕たちもチャレンジャーという気持ちで戦うこと。普通にやれば勝てるというメンタルでいると、足元をすくわれて、焦って、そのままの勢いでもっていかれてしまうと思うので、しっかりと相手をリスペクトして、いつもどおり自分たちもチャレンジャーという気持ちで向かっていく。僕たちは2年間、悔しい思いもうれしい思いも(入替戦で)しているので、その経験者たちが伝えながら、2週間あるので気持ちにスキを作らないようにしっかりとやっていきたいと思います」

──厳しいシーズンを戦った中で、入替戦に向けてつかんだ手ごたえや自信を教えてください。

「前半戦ではリードされるとそのまま突き放されてしまうゲームが多かったですけど、どんな状況でも自分たちの仕事にフォーカスして、状況に流されず、過去を切り離して、次のプレーに集中するということを言い続けてきました。勝ち切れない試合は多かったですけど、強豪のチーム相手に食らい付くゲームはここ数試合できていました。あとは最後に勝ち切れる試合を増やせればというところで、やれる自信を付けながらこの試合では勝利できたので、少しずつ成長しているし、(D1でも)戦える自信は付いてきています。あとは残り少しのところを突き詰められれば、勝ち続けられるチームになれると思います」

三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(左)、吉田杏ゲームキャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ

「浦安D-Rocks(以下、浦安DR)のみなさん、おめでとうございます。この天候の中で試合を支配したと思います。われわれとしてはすごくがっかりする結果で、内容も自分たちがやりたいことをまったくできなくて、ミスもすごく多く、まったく遂行できず、相手はすべて遂行できた。そこがすごく残念でした。今季の最後の試合であり、(来季が始まる)12月まで試合ができないので、すぐに忘れたい結果ですが、忘れずにこれを力に変えないといけないと思います。すごく残念な結果でしたけど、浦安DRは素晴らしいパフォーマンスでした。おめでとうございます」

──昨季と同じような成績になったと思いますが、今季を振り返って、どんな感想でしょうか。

「まずはリーグ自体、昨季よりも全チームが強くなっていると思います。われわれも今週の結果で7位まで上がるチャンスもあれば10位まで落ちる可能性もあった。とてもタイトで全チームが素晴らしい争いをしているリーグだと感じています。われわれにも素晴らしいところはありましたけど、(シーズンをとおして)一貫性が足りなかったところがあったと思います。今夜の結果はショックなのでポジティブなマインドになるのは難しいですけど、いい部分は多かったので、一貫性をもってどれだけできるか。来季は、このディビジョンで4シーズン目になりますので、自分たちがどれだけ成長できるかのカギになってくると思います。その成長をしっかりと結果で見せていきたいです。もちろん、簡単な道のりではないですが、我慢しながら一貫性をもって成長していきたいです」

──今日のゲームでもディシプリンやスクラムなどで、うまくいかないシーンが目立ちました。そういったところが今季を象徴しているように映り、来季への課題だと感じましたがいかがですか。

「スクラムは今季ずっと苦労した部分でずっと課題だと思いますけど、クータ(クフチャ・ムチュヌ)も入ってきて、11節からちょっと安定したことでみんなが自信をもってスクラム全体が良くなったと思います。ただ今日は、滑川(剛人)レフリーの判定にわれわれがアジャストしないといけないのですが、試合をとおしてそれをできなかったところがあります。そこも一貫性をもってやれるようになれば、もっといい試合ができると思うので、大事なポイントかなと思います」

──今季で退団する選手が20名発表されました。

「プロの世界で一番つらい部分ではありますが、プロの世界では仕方ない、自然なことでもあります。みんながこの4年間貢献してくれて、いまのチームがあると思うので、そこは先ほどロッカールームでみんなで話しました。引退する選手もいる中、チームを引っ張ってくれた選手もいますし、そういう選手たちがいたからこそ、いまのチームがあると思っています」

三菱重工相模原ダイナボアーズ
吉田杏ゲームキャプテン

「試合前にロッカールームで、シーズンラストの試合ということで、『ダイナボアーズ初の勝利数(※チーム史上D1でのシーズン最多となる7勝の意)で歴史を変えよう』と話しましたし、(チームを)離れていく選手のいる中、絶対に勝って、いい送り出し方をしたいと思っていました。ですが、残念な結果に終わってしまいました。ただ、この悔しさを忘れずに、まだまだ時間はあるのでしっかりと成長して来季につなげたいと思います」

──今季を振り返っての感想をお願いします。

「シーズンをとおして、いいところ、悪いところがはっきりとしたシーズンだったと思います。ヘッドコーチが言ったとおり、一貫性が少しなかったと思います」

──プランを遂行できなかった原因はどう考えていますか。

「個人のミスがすごく多かったことと、ディシプリンのところですね。そこはどうレフリーとアジャストしていくかが課題になります。あとは、スクラム。セットピースで勝てなければゲームはいい方向に進まないですし、そこがシーズンをとおしての課題とも分かっていたので、その課題が今日は出たかなと思います」

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