NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第2節
2024年12月29日(日)14:30 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 22-30 レッドハリケーンズ大阪
窮地にもコントロールできることにフォーカス。漂い始める“レッハリ旋風”の予感

豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)対レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)の一戦。ともに開幕戦をモノにしたチーム同士の戦いはRH大阪が勝利を収めた。
試合をとおして両チーム合計4枚のカードが飛び交った。その中でも数的不利を長く背負ったのはRH大阪のほうだった。前半17分、危険なプレーによってジャック・オーサリバンにイエローカードが提示されると、オフ・フィールド・レビューの結果、レッドカードにアップグレード。そのときRH大阪はブレイク・ギブソンもシンビンにより一時的にグラウンドを離れており、13人での戦いを強いられた。
それでも、RH大阪は「人数が減ったという結果はコントロールできないが、時間の使い方やエリアマネジメントは自分たちでコントロールできる」(茂野洸気)と冷静に試合を進めた。前半を14点差で終えると、人数が整った後半には途中出場した選手を含め全員が「役割を果たしてくれた」(松川功ヘッドコーチ)ことで逆転劇を演じてみせた。
逆転の最大の要因は、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出されたマイケル・アラダイスをはじめとしたフォワード陣が、セットピースやブレイクダウンで優位に立ったから。再三相手のペナルティを誘うと、雪だるま式に勢いが増していった。その勢いを得点に結びつけ、順調にスコアを重ねてみせた。
「S愛知のジェームズ・ガスケル選手はラインアウトにおいてとても賢いプレーヤーなので、チェスのようにいろいろな駆け引きをしていた」とアラダイス。外からでは感じられないバトルがそこにはあったという。
「今季はディビジョン2以外の試合を観ても分かるように、チーム同士の実力差が縮まって、接戦が増えています。その中でどれだけ準備ができるか。これからもトップ2を目指して成長を続けていきます」(アラダイス)
昨季の2位と3位チームに対して挙げた連勝は地力が付いてきた証左。今季の“レッハリ”はさらなる旋風を巻き起こすかもしれない。
(齋藤弦)
豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一ヘッドコーチ
「本日、ウェーブスタジアム刈谷でホストの開幕戦を迎えられたということで、本当にたくさんの人のサポートがあってこの日を迎えられたことに、チームを代表して感謝申し上げます。ありがとうございます。そして、レッドハリケーンズ大阪の皆さま、勝ち点4を獲得されたということで、『おめでとうございます』ということをチームを代表してお送りしたいなと思っています。
結果として勝ち点が取れなかったことは非常に残念でしたが、まだ開幕して2戦目ということで、われわれはこの場から学んで成長していくところがまだまだあるのかなと思います。自分たちの成長を見据えたときに、良い負けであったと言えるような、今後の自分たちの振る舞いが大事かなと思っています。また新たに次節に向けて準備していきたいなと思っております。本日はありがとうございました」
──後半、自分たちのやりたいことができなかった要因は何だったのでしょうか?
「風上に立っていたので、後半はその風を使いながら敵陣に入っていくことを、われわれはやるべきだったのかなと思います。しかし、ペナルティが多かったというところ、あとは相手のコンテストボールのセカンドボールが拾えなかったところ、セットピースで少しプレッシャーを受けてしまったことが要因で、思い描いていたような後半の40分にはならなかったかなと思います」
──前半は短いパスをつないだアタックが見事でしたが、目指している形だったのでしょうか?
「そうですね。特に今日の試合は、よりアグレッシブにアタックしたかった。前半が風下だったので、簡単にボールを蹴り出してもなかなかテリトリーが取れない状況でした。前半はどうしても、ボールを持って攻めるしか方法がなかったということもあって、そのぶん自分たちのやりたかった形が出せたかなと思います」
豊田自動織機シャトルズ愛知
ジェームズ・ガスケル 共同キャプテン
「たくさんのファンの方々が来てくれたことを本当にうれしく思います。アタックのところでは、最初の時間帯はよくできていたかなと思いますが、その後はペナルティが重なってしまいました。後半からは相手のプレッシャーに負けてしまって、そこが一番の問題かなと思います」
──悔しい敗戦だと思いますが、この試合で学んだ教訓はありますか?
「ペナルティやイエローカードとなっているところで、シンプルに規律のところをしっかりしないといけないというのが今日学んだところです」
──試合後はすぐに選手同士で話し合いを行っていましたが、どんなことを話し合いましたか?
「シーズンは長いので、この試合から学ぶべきことを早く生かせるようにしようと話しました。また同じことをしていたら次にもつながらないと思うので、早く学んで次の試合に生かしていきたいです」
レッドハリケーンズ大阪

レッドハリケーンズ大阪
松川功ヘッドコーチ
「まず豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)の皆さま、応援していただいたファンの皆さま、ありがとうございます。良い会場で試合ができたこと、感謝しています。試合の総括としましては、前半に二人イエローカード(前半17分、ジャック・オーサリバンへのイエローカードはオフフィールドレビュー後、レッドカードにアップグレード)が出て、13人の中で劣勢になりましたが、そこからわれわれのタフさというのが表現できて、後半に向けて14点差で前半を乗り越えたことがすごく良かったかなと思います。後半に途中から出場したメンバーについても、しっかり自分たちの役割を果たしてくれて、逆転に成功したことはすごく良かったと思うので、選手の頑張りに感謝しています」
──スクラムにはかなり手ごたえがあったのではないでしょうか?
「そうですね。セットピースのところ、ラインアウトやスクラムのところでも優位に立ったのが、最後まで崩れずにチャンスを生むきっかけになったかなと思っています。そこで自分たちの持っているものを出せたと思います」
──前半には二つほどトライを取り切れそうな場面があったと思います。
「われわれは取るべくして取らないといけないシーンだったと思いますが、毎回トライを取ることは難しいので、常にチャンスをうかがうシーンが必要だと思っています。ですので、もちろん取りたいところはありますが、1本取れなかったとしても次に向けてまた最善の努力をし続けることが必要かと思うので、常に取れるようにこれからも成長させていきたいと思いますし、そのチャンスを作ることに対してもフォーカスしていきたいです」
レッドハリケーンズ大阪
茂野洸気バイスキャプテン
「この試合を開催するにあたってご尽力いただいた関係者の皆さま、ありがとうございます。それとレフリーの皆さま、S愛知の皆さまも本当にありがとうございました。試合に関して言えば、松川(功)ヘッドコーチが言ったように、前半に二人(前半17分、ジャック・オーサリバンへのイエローカードはオフフィールドレビュー後、レッドカードにアップグレード)のシンビンが出て、相手に数的優位を作られてしんどくなるシチュエーションも多くなりましたが、その中でも『自分たちのタイミングで時間をコントロールしよう』と声を掛けました。なんとか前半は14点差のビハインドで終えることができて、後半は控えにいいインパクトメンバーがそろっているので、必ず彼らが入ってきたタイミングで逆転できるであろうと思っていました。そのとおりの結果となって本当にうれしく思います」
──13人で戦う時間もありました。ピッチ内ではどんな話をされましたか?
「人数が減ったという結果はコントロールできないのですが、そのあとの自分たちの時間の使い方や、エリアマネジメントは自分たちでコントロールできます。トライを取られたあとのシーンは時間を使ったり、追い風だったので、シンプルにロングキックを蹴ったりして、敵陣に入って時間を稼ごうという話はしていました」
──その中で特にチームとして良かった部分はどこですか?
「そのメッセージを伝えたあとの土橋(郁也)のロングキックは良かったと思います。あとはキックチェイスのところはこだわってやっているので、全力で相手にプレッシャーを掛けるところはできていたのかなと思います」