2025.03.02NTTリーグワン2024-25 D2 第7節レポート(S愛知 54-19 日野RD)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第7節
2025年3月1日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 54-19 日野レッドドルフィンズ

ルーキーにみなぎるフッカーとしての自覚「フォワードをまとめ、勝利に貢献する」

豊田自動織機シャトルズ愛知の大山卓真選手。ポジションはフォワードの要となるフッカー。1年目から全試合に出場を続けている

春の訪れを告げる穏やかな気候の中で行われた豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)対日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)の一戦は、S愛知が強さを存分に見せつけ、54対19で日野RDを破った。

今季最多の8トライを奪い、快勝したS愛知。徳野洋一ヘッドコーチは以前から「2月は自分たちのラグビースタイルをもう一段階引き上げないといけない」と語ってきた。その2月に行われた2試合は、勝利を収めながらも「良い準備ができているぶん、それを試合中に発揮していくところをレベルアップしていく必要がある」と課題を残していた。

3月に入った今節では、その課題も十分に改善された。「キャプテンを中心に、リーダー陣が向き合ってトレーニングしてくれたので、選手の努力に感謝したい」と徳野ヘッドコーチは選手たちを称えた。レベルアップした姿を、結果と内容の両面でファンに見せることができた。

それでも、S愛知のラグビーはまだまだ未完成。ルーキーながらここまで全試合に出場しているフッカーの大山卓真は「セットピースが不安定だったので、もっと成長しないといけない」と反省を口にする。台所事情が厳しいフッカー陣の中で、グラウンドに立ち続けている大山。今節も前半終了時点で交替したが、代わりに出場した藤浪輝人のけがを受けて再び出場し、「いつもどおりのプレーを心掛けた」と平常心でリードを保った。

今節でディビジョン2に所属するチームとの対戦が一巡し、次節からは後半戦に入る。相手チームもS愛知の勢いを止めるため、さまざまな対策を講じてくるだろう。特にセットピースは、S愛知の生命線の一つ。より厳しい戦いになることは、大山も自覚している。

「フッカーとして自分からフォワードをまとめて、セットピースを安定させることで勝利に貢献したいと思います」

キャリアやこれまでの実績は、グラウンドに立てば関係ない。彼がチームをけん引する働きができれば、きっと後半戦も勝利を重ねられることだろう。

(齋藤弦)

豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知の徳野洋一ヘッドコーチ(右)、ジェームズ・ガスケル共同キャプテン

豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一ヘッドコーチ

「本日は素晴らしい天候の中、たくさんのファンの方々の前で試合ができたことを、チームを代表して感謝申し上げます。ありがとうございました。試合につきましては、勝ち点5を獲得できたという点はすごくポジティブだったと思います。そして、直近の2試合で課題になっていた部分においても、後半10分ぐらいまでは大幅に改善できた部分がありました。その点についてもキャプテンを中心に、リーダー陣が向き合ってトレーニングしてくれたので、選手の努力に感謝したいと思っています。本日はありがとうございました」

──後半10分以降の戦いについての評価をお願いします。

「イエローカードについては反省すべきところです。あとはスクラムについて、われわれの認識とレフリーのジャッジが少し合わない部分がありました。もちろんそういったことは起こり得ることですが、そういった自分たちでコントロールできない部分で少しフラストレーションを溜めてしまい、ミスを頻発させていく負の連鎖が良くなかったところかなと思います。ただ、前半はすごく良い戦いができていたので、試合を重ねながら立て直していくというところ、しっかり自分たちのプレーに立ち戻ってやれば、コントロールできると思っているので、非常にいい学びになりました。次に成長できるポイントかなと思います」

──80分間をとおして試合を支配する力が、ディビジョン1で戦っていくためには必要だと思いますが、いかがでしょうか。

「そうですね。60分まではゲームを支配できたと思っています。ただ、ラスト20分は自分たち自身で流れを手放してしまっている部分があるので、そういう意味で言うと、われわれが目指しているところを見据えると、今日は80分をとおして試合をしなければいけなかったです。そこは自分たちの伸びシロかなと思います」

──「2月までは木の幹の部分を鍛え上げて、3月からは枝葉を付けて花を咲かせる戦いをしたい」とおっしゃっていました。本日の仕上がりとしてはいかがでしたか。

「後半戦に向けて、さらに良い枝葉が付いていくかどうかという意味では、今日の試合が桜の開花宣言と言いますか、そういうきっかけになる試合だったかなと思います。また、その部分は、コーチングスタッフがその木に対して花を咲かせるのではなくて、その木の幹になっている選手たちが自分たちの意思で花を咲かそうとしたところは、特に今週のリーダー陣の努力が素晴らしかったです」

豊田自動織機シャトルズ愛知
ジェームズ・ガスケル 共同キャプテン

「徳野(洋一)ヘッドコーチのおっしゃったとおり、時間の配分という部分で、特に最初の20分、30分をすごく大事にしてきました。そして、80分間しっかりやり切ることにフォーカスしてきたので、できて良かったと思います」

──今節で前半戦が終了しました。昨季の後半戦は対策などを受けて苦しみましたが、今季はどういったことが大切になってきますか。

「昨季に続いて、今季もスタートダッシュはとても良く、良い形でここまできていると思います。これからはリーダーを中心に、いまできていることを継続して続けていくことが大事だと思います」

日野レッドドルフィンズ

日野レッドドルフィンズの苑田右二ヘッドコーチ(右)、中鹿 駿バイスキャプテン

日野レッドドルフィンズ
苑田右二ヘッドコーチ

「本日は素晴らしい環境の中、試合ができたことに感謝申し上げます。試合としては豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)さんの強力なランナーに走られる場面が多く、その中で規律が崩れる場面が多くありました。そこから相手にチャンスを多く与えてしまったので、われわれの時間帯が少なかったゲームでした。先ほどのチームのハドル(円陣)で中鹿(駿)バイスキャプテンが言っていましたが、一人ひとりが責任をもって役割を果たしていくことで次のチャンスが必ず生まれてくると思うので、それまでは我慢強くみんなで努力を続けていくことが大事だと思います。次の日本製鉄釜石シーウェイブス戦に向けて、チャレンジしないとわれわれの目標を達成できないと思うので、常にチャレンジし続けたいと思います。本日はありがとうございました」

──前節のレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)戦と今節で、D2の上位2チームと続けて対戦しましたが、そういったチームとどのような差や手ごたえを感じていますか。

「われわれが彼らと違うところは、昨季、RH大阪さんもS愛知さんもD2の強度の高い中でシーズンを送り、タイトなゲームの戦い方を経験しているのが大きな違いだと思います。われわれは昨季D3を1位で通過することができましたが、点差が開くようなゲームもあり、タイトなゲームの経験に関しては、まだまだ経験を積めていない部分があります。ただ、われわれが力を出しているときは戦えるという感覚を選手みんながもっていると思うので、そのタイトなゲームの中で自分たちがどれだけコントロールして、目の前の仕事にベストを尽くしていけるかがすごく大事になってくると思います。みんなが責任をもって、誰かがやってくれると思うのではなく、どんどんチャレンジし続けていくことが大きな力に変わってくると思いますので、あきらめずに我慢強くやっていきたいです」

──次節からは後半戦に入りますが、どのように向かっていきたいとお考えですか。

「アタックの部分に関しては、アタックを継続できれば相手のディフェンスを崩せる感覚をみんながもっていると思うので、あとはディフェンスの際に相手の強いランナーであったり、フェーズを重ねられたりしたときに、どれだけ我慢強く規律を守りながらできるかという部分ですね。それができる場面も試合の中では見えていると思うので、さらにわれわれの武器にできるように、後半戦に向かっていきたいと思います」

日野レッドドルフィンズ
中鹿駿バイスキャプテン

「苑田(右二)ヘッドコーチがおっしゃったように、外でゲインを切られて、S愛知さんのやりたいアタックをずっとさせてしまいました。勢いを止めることができず、規律を守れなかったことで、相手にすぐボールを渡してしまう展開が多く、前節とほぼ同じ反省になってしまいました。一人ひとりがペナルティだったり、ミスだったり(があったので)、責任をもっと果たさないといけないと思います」

── 一人ひとりが責任を果たすためにはどういったことが必要になりますか。

「今日もセットピースが不安定になり、相手に食い込まれたとき、しんどいときにペナルティをしてしまいましたが、練習からも見受けられるところはあるので、練習前のミーティングの時点で全員に声掛けして、プレー中にもそういったコールを出し続けて、全員でコネクションしながらやっていきたいと思っています」

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